ヴェローナ「テアトロ ロマーノ」考古学博物館と素晴らしい眺望

ヴェローナ「テアトロ ロマーノ」考古学博物館と素晴らしい眺望

更新日:2025/06/20 13:55

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
イタリア・ヴェローナ旧市街の北東端、アディジェ川に架かるピエトラ橋を渡った対岸にある古代ローマ時代に造られたローマ劇場が「テアトロ ロマーノ」。

サン・ピエトロの丘の斜面に造られ、中世には劇場があった場所の上に別の建物が建てられたこともあり、19世紀には地元の考古学者によって発掘が開始。その後ヴェローナ市の遺跡調査事業によって発掘が続けられて今の姿となり、現在は考古学博物館が入っています。

アディジェ川畔の「テアトロ ロマーノ」

アディジェ川畔の「テアトロ ロマーノ」

写真:Hiroko Oji

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アルプスに源を発するアディジェ川が町の中央をS字状に流れ、赤い瓦屋根が並ぶ美しい古都ヴェローナ。イタリアのヴェネト州西部にあり、エルベ広場やシニョーリ広場を中心とする旧市街が「ヴェローナ市街」として世界遺産に登録され、あちらこちらにローマ遺跡が残っています。

今回ご紹介する「テアトロ・ロマーノ」もそのローマ遺跡の一つ。アディジェ川に架かるピエトラ橋を渡った対岸のサン・ピエトロの丘の斜面にあり、紀元前1世紀、アウグストス皇帝時代に建てられました。

アディジェ川畔の「テアトロ ロマーノ」

写真:Hiroko Oji

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同じヴェローナにある町で最も有名な観光スポットのひとつである円形闘技場「アレーナ」より古く、地震、戦争、大洪水などで破壊され、後の10世紀頃には、このローマ劇場の遺跡の上にシーロ聖人を祀った教会が建てられました。教会は14世紀と17世紀に修復され、隣にイエズス会修道院が建てられました。当時は薬草の使用技術で有名な修道士たちが住んでいたことで知られています。

19世紀初頭、ヴェローナ出身の考古学者が建物を壊して遺跡の発掘を行い、彼の死後はヴェローナ市所有となって考古学博物館になりました。

アディジェ川畔の「テアトロ ロマーノ」

写真:Hiroko Oji

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入り口は、アディジェ川に並行して走るリガステ・レデントーレ沿いのこの入り口でなく、向かって右の角を曲がったところにあります。

ローマ劇場

ローマ劇場

写真:Hiroko Oji

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博物館の敷地内に入って先ず見ることができるのが、19世紀に発掘されたローマ劇場。ローマ劇場では、修復後、1948年から毎年夏の間、シェークスピアの劇、バレエ、ジャズコンサートなどの催し物が行われています。

ローマ劇場

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ローマ劇場という遺跡内にあるこの教会は、10世紀の設立。14世紀に修復され、多色大理石と石の祭壇とその背後にある美しい18世紀の木造聖歌隊席を備えたバロック様式の内装は趣があります。中央身廊にはジャン・ベッティーノ・チニャローリ(ロココ・ネオクラシック時代初期のイタリアの画家)が埋葬されている墓やプッティ礼拝堂があります。

ローマ劇場

写真:Hiroko Oji

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考古学博物館は、このローマ劇場の階段の上にある修道院だった建物に入っています。

ご自身の足でこの階段状の座席を上っていくのもローマ時代にタイムスリップした気分が味わえていいのですが、それはしんどい!と思われる方は、テアトロの真ん中あたりからエレベーターに乗って、直接5階の展示室に入り、少しずつ下りながら見学する方法もあります。ご自分の体調に合わせて進んでくださいね。

考古学博物館

考古学博物館

写真:Hiroko Oji

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博物館内の展示は、テアトロを飾っていた大理石彫刻などのほか、このヴェローナ市内や近郊での発掘品、たくさんのブロンズ像、彫像、モザイク画、グラス、墓石や石碑、石盤、ドリント式・コリント式・イオニア式といった円柱の柱頭装飾なども並びます。

考古学博物館

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展示物も見応えたっぷりなのですが、建物自体にも必見ポイントが!フレスコ画のある修道院食堂だった部屋ではほんの一部だけ残る「最後の晩餐」を見ることができます。これは、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を参考にしたともいわれています。

考古学博物館

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また、円形闘技場アレーナの木造模型も置かれていて、実際どのような形であったか一目瞭然。戦いに使われたグローブや武器、当時の闘技の様子が描かれたモザイクなども展示されていて興味深く見ることができます。

落ち着いた修道院の回廊

落ち着いた修道院の回廊

写真:Hiroko Oji

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博物館の建物があるすぐ隣には修道院の中庭があり、古井戸を中心にした中庭を取り囲む回廊を歩くことができます。

落ち着いた修道院の回廊

写真:Hiroko Oji

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回廊の一部には小さな教会?礼拝堂?もあり、天井や壁面には15世紀のフレスコ画も見ることができます。

天井のフレスコ画は、よく目にする格間天井よりは大き目の枠にデザインされており、木の板に彩色した唐草模様とたわわに実ったレモンの実が描かれ、年季を感じさせます。

落ち着いた修道院の回廊

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こちらは壁面とドーム内側のフレスコ画のアップです。消えかけのままの保存ですが、興味深いものです。

最上階にある庭園からの眺め

最上階にある庭園からの眺め

写真:Hiroko Oji

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こちらはグレートテラス。かつて、ローマ劇場の背後にある丘の頂きの神殿があった庭園で、ローマ時代の数多くのモニュメント(名誉記念碑と墓碑)と、アリーナの柱廊玄関になっていた柱などがあります。

西ローマ帝国滅亡後、ゴート族のテオドリック王など多くの王がこの町を気に入り、この丘の頂きに宮殿を建てました。長い年月を経て、8世紀頃ピエトロ聖人を祀った教会が建てられ、後14世紀にミラノのヴィスコンティ家によって建てられたのが、現在丘の頂上にどっしり構えるお城です。教会の名前を使ってサンピエトロ城とよばれています。そのお城のすぐ麓にあるのがこの博物館で、博物館最上階の庭園には神殿の名残りが見られます。

最上階にある庭園からの眺め

写真:Hiroko Oji

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この庭園には、ジェスアティ修道院の回廊の遺跡をはじめ、たくさんの彫像や考古学的な品物、神殿の遺跡などがごろごろ置かれています。

ローマ時代に丘の壁に彫られた屋根付きのスペースと、背後の壁には半柱に挟まれたニッチのある建築のファサードを見ることができます。

最上階にある庭園からの眺め

写真:Hiroko Oji

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何より見逃せないのが、絶壁の最上階にある庭園のパノラマテラスからの素晴らしい眺め!旧市街から渡ってきたアディジェ川や橋、その向こうにはヴェローナ市内を見渡せますので、こちらへも忘れずに入ってくださいね。

テアトロ・ロマーノの基本情報

住所:Rigaste Redentore, 2, 37129 Verona
電話番号:+39-045-800-0360
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月曜日

2025年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2024/12/07 訪問

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