フィレンツェ「メディチ・リッカルディ宮殿」外観とは真逆の豪華さ!

フィレンツェ「メディチ・リッカルディ宮殿」外観とは真逆の豪華さ!

更新日:2025/10/29 15:10

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
フィレンツェ旧市街の中心地ドゥオーモ広場はドゥオーモに洗礼堂、ジョットの鐘楼などが集まり町一番の華やかな広場。ここから北へ徒歩数分にあるのが「メディチ・リッカルディ宮殿」。

この宮殿は15世紀にメディチ家が築いた邸宅で、16世紀にはリッカルディ家所有となった宮殿。武骨な外観からは想像できないほど、優雅な中庭と絢爛豪華な装飾が施された部屋の数々や芸術品・展示品に目を瞠るばかり!見応え大ありです。

武骨な外観でも優雅な中庭「メディチ・リッカルディ宮殿」

武骨な外観でも優雅な中庭「メディチ・リッカルディ宮殿」

写真:Hiroko Oji

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中世のままの美しい町並みが残るフィレンツェ。「屋根のない美術館」とも呼ばれ、旧市街の中心地のひとつとなるドゥオーモ広場にはドゥオーモに洗礼堂、ジョットの鐘楼などが集まる町一番の華やかな広場。ここから北へ歩くこと数分のロケーションにあるのが「メディチ・リッカルディ宮殿」。フィレンツェで最初のルネサンス様式の邸館建築で、古典的な力強さと知的優雅さを兼ね備えています。

かつての有力貴族たちが、妬みや中傷や陰謀などで政界から追放されていくのを見ていたコジモ・デ・メディチは、「見た目を質素に」と設計をミケロッツォ・ミケロッツィに依頼したため、荒削りのままの石を積み上げただけの3層にわたる武骨な外観となっています。

武骨な外観でも優雅な中庭「メディチ・リッカルディ宮殿」

写真:Hiroko Oji

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門から入り建物の奥に進むと、外観からは想像できないほど優雅なミケロッツォの中庭につながります。中庭を飾る16世紀の彫刻は、バッチョ・バンディネッリ作『オルフェウスの像』。台座にはメディチ家の紋章が見られます。

柱頭装飾が施された細身のイオニア式列柱が中庭を取り囲み、柱頭の上に続く連続アーチとレリーフ装飾が美しい中庭です。アーチ上の部分には黒地に白い花が浮かびあげるように装飾が施され、それらの間にはメディチ家の紋章と交互に古代風の円形メダイヨンが並べられています。列柱の造る回廊の壁面装飾も見逃せません。

かつてここには、コジモのお気に入りで15世紀の大彫刻家ドナテッロの大傑作、ブロンズ製の『ダヴィデ』が置かれていましたが、1494年の政変でのメディチ家追放後、ヴェッキオ宮殿に移され、現在はバルジェッロ美術館に展示されています。

武骨な外観でも優雅な中庭「メディチ・リッカルディ宮殿」

写真:Hiroko Oji

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デ・ジノリ通りに面した西側の庭園は白い彫像とオレンジの木と芝生の緑が美しく配置され、奥のヘラクレス像のある噴水も目を惹きます。

かつて噴水には、ドナテッロの晩年の名作『ユディトとホロフェルネス』のブロンズ像が設置されていましたが、1494年の政変でのメディチ家追放後ヴェッキオ宮殿に移され、現在も保存されています。シニョリーア広場にはコピーが置かれています。

素晴らしい壁画と天井装飾!「マギ礼拝堂」

素晴らしい壁画と天井装飾!「マギ礼拝堂」

写真:Hiroko Oji

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メディチ家の邸宅として完成したのは1459年。建物の2階に上がって先ず見られるのが東方三博士の礼拝堂「マギ礼拝堂」です。

礼拝堂内の正面祭壇に掲げられている絵画は、フィリッポ・リッピがイエスの誕生を描写した『神秘の降誕』。こちらは複製で、現在、オリジナルはベルリン国立絵画館に展示されています。

素晴らしい壁画と天井装飾!「マギ礼拝堂」

写真:Hiroko Oji

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礼拝堂では色彩豊かなフレスコ画の連作『ベツレヘムに向かう東方三博士』が壁面を覆っています。

『受胎告知』で知られるフラ・アンジェリコの弟子ベノッツォ・ゴッツォリが描いたもので、東方三博士の行列の中にはロレンツォの馬に乗る姿、メディチ家のメンバーやピウス2世、ヨハネ8世パレオゴス、ミラノのガレアッツォ・マリア・スフォルツァなどに加え、画家本人も描きこまれています。

素晴らしい壁画と天井装飾!「マギ礼拝堂」

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天井装飾も美しい幾何学模様で飾られています。

豪華な内装の居室たち

豪華な内装の居室たち

写真:Hiroko Oji

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宮殿内の居室には、豪華な家具、重厚なタペストリー、煌びやかなシャンデリアなどが備わっています。

居室は、メディチ家が整え、リッカルディ家やロレーヌ家によって引き継がれたもので、現在はフィレンツェの所有となっており、イタリア共和国大統領が来た時の滞在先として使用されています。

豪華な内装の居室たち

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部屋の壁面には漆喰装飾や天井には美しい豪華な格間装飾やフレスコ画が施され、出窓周りの装飾も凝ったものとなっています。

写真の部屋はザ・サロン・チャールズ8世の間。煌びやかなシャンデリアがぶら下がる天井は手の込んだ木彫りの格間装飾が一面を覆い、壁には大きくて重厚なタペストリー、壁際や美しい装飾が施された窓際には高級ベンチも置かれ、贅沢な空間となっています。

豪華な内装の居室たち

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寝室は比較的落ち着いたムードでまとめられています。

メディチ家の歴史が描かれた絢爛豪華な「鏡の間」

メディチ家の歴史が描かれた絢爛豪華な「鏡の間」

写真:Hiroko Oji

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宮殿内で最も壮麗で豪華なお部屋が1682年〜1685年のルーカ・ジョルダーノによる天井画がある「鏡の間」。お屋敷の中にある通路のような「ガッレリア」といわれる部分で、舞踏会や特別な催し物が開かれました。

メディチ家の歴史が描かれた絢爛豪華な「鏡の間」

写真:Hiroko Oji

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鏡の間と呼ばれるのは周囲の壁に装飾を施した鏡が貼りめぐらされているからで、この鏡効果で空間を大きく見せているのです。

メディチ家の歴史が描かれた絢爛豪華な「鏡の間」

写真:Hiroko Oji

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天井の装飾画『メディチ一族の寓話』の上部には神々を模したメディチ家のメンバー、下の青い布の下は夜を表しています。

四隅には枢機卿の美徳が描かれ、中央のメディチ家への賛美を神話的な物語で表しており、リッカルディ家のメディチ家に対しての感謝の証といわれています。

博物館部門も充実

博物館部門も充実

写真:Hiroko Oji

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この宮殿は地下の基礎部分にも入ることができます。地下への長い階段を下りると途中で見ることができるのは遺跡のような発掘途中の基礎部分です。

この地下はメディチ家に遡る時代には馬小屋だった部分で、ミケロッツィアン様式の床と飼い葉桶、宮殿に水を供給していた古代の井戸2つ、1875年に建てられた大きな円形ヒーターなどに加え、ムニョーネ川の元の河床の一部を見ることができます。

博物館部門も充実

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地下階にある展示室は、大理石美術館と考古学部門になっていて、多数の大理石製彫刻コレクションや考古学コレクションを見ることができます。

大理石美術館では、ローマ皇帝カラカラやハドリアヌス帝の妻ヴィビア・サビーナ、エウリピデス、ソフォクレスらに加え、立派なアスリートの胸像など、英雄、皇帝、神々などを表す古代ローマ時代の大理石の胸像が並びます。また、考古学コレクションでは、西暦5世紀〜7世紀の埋葬地で発見された遺物も展示され、埋葬された人の下肢の一部も保存されています。

博物館部門も充実

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さらに、フェリチェ・カレーナの展示室も解放されており、カレーナ(※)の古典期の傑作といわれる『聖なるもの』『アトリエの自画像』『学校』などを見ることができます。

※フィレンツェのアカデミーで教鞭を執り、後に学長となった人物

世界遺産の町並みが広がるフィレンツェには有名な見所が盛りだくさん!ついつい見た目にも華やかな観光スポットへと足が向いてしまい、この「メディチ・リッカルディ宮殿」の前を通っても、あまりにも愛想のない武骨な外観に素通りしてしまいそうになります。でも、ひとたび敷地内に足を踏み入れれば、そこは優雅で絢爛豪華な宮殿内であることを実感できるはず。ぜひ、この宮殿もご訪問くださいね。フィレンツェカード対象施設なので、無料で入館できます。

メディチ・リッカルディ宮殿の基本情報

住所:Via Camillo Cavour 3,50129 Firenze FI
電話番号:+39-055-276-0552
開館時間:9:00〜19:00
休館日:水曜日
その他:フィレンツェカード対象施設

2025年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2024/12/12 訪問

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