写真:浅井 みら野
地図を見る徳島から本州へとつながる鳴門海峡大橋の完成をきっかけに、地元の魅力をさらに高めるため、そして地元への感謝を込めて、陶板で絵画を再現した唯一無二の「大塚国際美術館」が1998年3月に誕生しました。
こだわったのは、原寸と同じ大きさを陶板で再現していること。入館してすぐの「システィーナ・ホール」は現地と同じ広さ(高さ15m、幅19m、奥行き40m)で、ここが美術館の一部であることを忘れてしまう迫力です。
絵画の繊細な色調を忠実に再現するため、開発された色の数は2万色以上におよびます。写真を転写し焼き上げる陶板だからこそ、経年劣化が起こりにくく、その美しい色合いは2000年も残り続けます。写真撮影だけでなく、実際に展示作品にふれられるのも、陶板ならではの醍醐味です。
写真:浅井 みら野
地図を見る1,000点以上の作品を展示し、その中に同一作品が含まれているのもユニーク。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」は20年間におよぶ修復後とその前の状態(修復前)が対面しています。
見比べてみることで、修復前は閉じていると考えられていたイエスの口元が実は開いていて、まさに衝撃の真実を放った直後だったこと、裏切り者と考えられる人物にだけ光が当たっていなかったなど、修復後にはダヴィンチが意図していた表現が分かりやすく表れています。
写真:浅井 みら野
地図を見る写真が残されている限り、陶板として作品を生み出せる「大塚国際美術館」では、幻の1枚をよみがえらせることもできます。
フェルメールの傑作「合奏」は、ボストンで起きた美術史上最大の盗難事件で消失し、今もFBIが調査しているものの行方がわからないままです。「フェルメールギャラリー」では、その渦中の作品も他の作品と一緒に展示されています。
写真:浅井 みら野
地図を見る展示室「7つのヒマワリ」では、世界中に散らばっているゴッホの花瓶の「ヒマワリ」すべてを時系列で観賞できます。4枚目までは夏に実物を描き、その後は冬に自分の作品を模写して描いたため、構図が同じと言われています。
「芦屋のヒマワリ」と呼ばれていた2枚目は第二次世界大戦で焼失してしまい、幻の作品と化してしまいましたが、見事に再現され、シリーズに花を添えています。
写真:浅井 みら野
地図を見る絵画だけでなく、作品を取り巻く空間そのものを丸ごと再現した「環境展示」は、時空さえも飛び越えた展示を可能にします。
エル・グレコの祭壇画は6点から成る作品でした。しかし、戦禍により祭壇は破壊され、作品も5点はスペイン、1点はルーマニアへと渡ってしまい、さらにスペインにある5点も1点ずつで展示されています。「大塚国際美術館」では、絵を収めていた祭壇衝立そのものを復元したことで、作品から成る全体の様子、迫力を体感できるのです。
写真:浅井 みら野
地図を見るボッティチェッリの代表作「ヴィーナスの誕生」と「春(ラ・プリマヴェーラ)」。2点を並んで観賞できることも希少ですが、「春(ラ・プリマヴェーラ)」の右端にご注目を。
美しい精霊(ニンフ)が誘拐されている様子が描かれていますが、その精霊がひどく嘆いたことから慰めるために花の女神に変えられたというエピソードが残っています。その花の女神も精霊の隣に描かれており、時間の経過も表現されているのです。
写真:浅井 みら野
地図を見る悠然と構える2名の男性が描かれた絵にも秘められたメッセージが。ホルバイン・ハンス(子)の「大使たち」をよく見ると、調和を生み出す楽器のリュートは弦が切れています。地球儀も乱雑に転がっていることから、不均衡だったヨーロッパ当時の様子を静かに伝えています。特定の場所に立つと浮かび上がる頭蓋骨も雰囲気を重くしている要因のひとつです。
写真:浅井 みら野
地図を見るどの作品も制作工程は共通ですが、その道のりは決して簡単ではありません。特に「スクロヴェーニ礼拝堂」は、多くの現地調査を行った渾身の一作。
視界いっぱいに広がる鮮やかなブルーや、フレスコ画特有の漆喰の質感など、現地で味わった感動を陶板で再現しようと担当者はまさに奮闘しました。試作品を持参して実物と比較したり、照明を考慮して色彩を調整したりと、その試行錯誤の背景を知ることで、より見応えを感じられます。
写真:浅井 みら野
地図を見るヴェスヴィオ火山の噴火によって火山灰に埋もれていた「秘儀の間」。触れてみると、光沢のある油絵に用いられた陶板とは異なり、ざらついた質感です。実は壁画ならではの特徴を再現するため、あえてざらつきを出しています。現地では入口から覗き込むことしかできませんが、ここでは内部に入れるので当時の住民さながらに間近で観賞できます。
写真:浅井 みら野
地図を見る見て触れるだけでなく、実物になりきることでアートの楽しさを教えてくれるのも「大塚国際美術館」の魅力です。館内にはアートコスプレと称し、夏から秋にかけて作品にちなんだ衣装が登場します。誰でも簡単に参加でき、旅の思い出にもなる貴重な体験です。
写真:浅井 みら野
地図を見る約4kmにわたる観賞ルートを制覇したら、ぜひ美術館内に併設している3ヶ所のカフェ、レストランでひと休みを。美術館入ってすぐの場所にある「カフェ フィンセント」では、平日14:00〜16:30(土日祝は12:00〜)の時間帯で、絵画をテーマにしたケーキが大好評。ルノワール作「田舎のダンス」、クリムト作「接吻」、ドガ作「舞台の踊り子(エトワール)」など人気の作品をモチーフとし、その作品を想像しながら味わうスイーツは格別です。
世界26か国にわたる名作を一挙に鑑賞できるだけでなく、間近で触れることもできる「大塚国際美術館」。有名な作品も、その数奇な運命や隠された意味を知ることで、より魅力が増してきます。美しいだけでなく、もっと知りたくなる。アートへの知識欲がそそられる場所です。
住所:鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1
電話番号:088-687-3737
開館時間:9:30〜17:00(入館券販売は16:00まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)。1月は連続休館あり、その他特別休館あり。8月無休
アクセス:
神戸淡路鳴門自動車道「鳴門北IC」から車で約3分
徳島空港より路線バス/タクシーで約30分
JR「鳴門駅」より路線バス/タクシーで約15分
※大阪、京都、広島、神戸、洲本BC、淡路島、岡山、高松方面から向かう直通高速バスもあります
2025年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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