写真:Hiroko Oji
地図を見るトレドは紀元前3000年から人々が暮らし、ローマ帝国時代にはトレトゥムと呼ばれ、6世紀には西ゴート王国の首都となりました。8世紀〜11世紀にはイスラム勢力のウマイヤ朝の支配下に。さらに、その後レコンキスタでキリスト教国が力を強め、カスティーリャ王国の首都となるなど、トレドは時代の変遷とともに数多くの勢力の中心地として発展してきた結果、「三文化の都市」といわれるように、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教が融合する文化が形成されました。
三方をタホ川に囲まれた小高い丘の上にあり、天然の要塞都市として独自の文化を築いたトレドは、1986年に古都トレドとして世界文化遺産に登録されています。この町の丘の頂に聳えるのがアルカサルです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るアルカサルは、3世紀にローマ帝国の宮殿として建てられ、11世紀にトレドを再征服したアルフォンソ6世によって大幅に改築されました。その後も幾たびも破壊・修復を繰り返し、現在の建物は皇帝カルロス5世が帝王にふさわしい邸宅を建てるよう命じて改築させたものが原型になったと言われています。
アルカサルは正方形の建物の四隅に小塔があり、東のファサードは中世、西はルネサンス様式、北がプラテレスコ様式(写真)、南がチュリゲーラ様式と、それぞれ異なった様式になっています。北のファサードの扉上部にある切り妻屋根型のフロントには、西ゴート王国のレカレドとレセスビント両王のレリーフに挟まれた紋章が飾られています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るアルカサルの外壁は、東側のユニオン通りに設置されました。石造りのネオ・ムデハル様式で、一番上には煉瓦造りの通路や胸壁(城壁の最上部に設けられた、兵士を敵の射撃から守るための凸凹した壁)が設けられています。壁面の中央には、二つの細かな装飾が施されて壁に組み込まれた半円形の塔の間に歩兵部隊の守護聖人である無原罪の御宿りの像が設置されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るアルカサルは、幾度とない火災に加え、1710年のスペイン継承戦争、1808年からのスペイン独立戦争、さらには1936年のスペイン内戦と、激戦によりほぼ壊滅状態となった後、1940年から再建が始まり、1961年に落成式を迎えました。
現在、アルカサルは、北面に新しく付属された部分が入り口となる軍事博物館となっています。またカスティーリャ・ラ・マンチャ州立図書館が最上階に併設されており、最新の設備と見事な景観で人々の人気を集めています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る建物内に入った地下には、ローマ時代の貯水槽だった一部がそのまま残されています。
ここに1936年の内戦でフランコの反乱軍が72日間立てこもったのですが、激戦の舞台となってほぼ壊滅してしまいました。その時の遺構が残っており、すぐそばから見られるようになっているのです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る遺構の近くに展示されている車は、スペイン陸軍が所有する最初の自動車となったもので、1899年に騎兵隊中尉だったプエルト・セグロ侯爵がパリで購入し軍に寄贈したものです。また、保守党党首が銃撃された際に使用された車やその様子を記したプレートなども展示されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るエスカレーターで上階へ移動すると、軍事博物館の歴史を紹介するエリアが続きます。現在の博物館は、陸軍の兵器・部隊博物館が合併して誕生しました。その起源は1803年に遡り、この年に王立軍事博物館が設立されました。当時の収蔵品は教育的な目的を持っており、士官学校に資料を提供し、兵士の訓練を支援するものでした。1827年には、砲兵博物館と工兵博物館の二つに分断され、19世紀後半には新たな軍事博物館が設立。1932年には軍事史博物館としての展示部門が設立され、現在のブエン・レティーロ宮殿に落ち着きました。宮殿にはアラブの漆喰細工、ルネサンス様式の天井、19世紀のステンドグラスの窓などの装飾が残されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る広くて見応えたっぷりの館内には、古代ローマや中世の大砲や銃、ナイフ、軍服、旗、模型などが展示されています。
展示品には、ミニチュアのリボルバーをはじめとする精巧に作られた品々や望遠鏡、大砲と砲弾、多数の紋章やバッジ、エンブレムやボタンなどが並び、展示ケースの奥の壁には旗や横断幕、当時の様子を表した絵画が掲げられています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るこちらは年代ごとに変遷していく数多くの軍服が並ぶ部屋。
オーストリア配下では統一された制服が存在しなかった中で、王室近衛兵だけ軍服が義務付けられていた時代があったり、フランスの慣習に基づいた軍服が採用された時代では歩兵は白の軍服で、コートの裾を折り返すと決められたり、竜騎兵は黄色、砲兵・工兵・王室関係はターコイズブルーに限られたりと、変遷が見てわかるように展示されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る19世紀後半の作家、政治家、収集家であったロメロ・オルティスが1870年に設立した展示室がこちら。
こちらは、19世紀のロマン主義博物館の一例であり、1888年の武器、歴史的物品、古代および美術や自然史にかかわる珍しい品々、アルバムや書類一般に分類された多様なコレクションから厳選された展示品などが並びます。また磁器、東洋および中国の美術品、アフリカの武器、軍服、1554年のフィリップ2世の王室勅許状など重要な歴史的人物に関するアルバムや文書も見られます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る18世紀設立のメディナセリ公爵の兵器庫では、15世紀〜17世紀の多数の鎧兜や刀剣や銃器などが並びます。防御用の武器であるため装飾のない戦闘用半装甲、胸当て、背もたれが揃っており、角笛、旗、火器、「サン・ラファエル」と呼ばれる92門の艦の模型、双眼鏡、将校たちの肖像画や胸像、戦場の風景画、音楽隊の楽器なども展示されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る日本の侍時代の鎧・兜や刀も展示されており、日本人には目が惹かれるスペースです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る中央にカール5世像が建つ中庭では、2階建てのコリント式柱頭装飾の列柱と帝国の紋章や州の紋章が描かれた連続アーチを持つ柱廊が取り囲んでいます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るカール5世の中庭から続く帝国の階段室から国境ギャラリーの三つの中央アーチを潜ると、テラスに出られます。左右には2つの区画があり、上階のギャラリーへ続きます。
右側の皇帝礼拝堂の扉は半円形のアーチで飾られ、三角形の破風が設置されています。壁はコリント式柱頭を持つ列柱で区切られ、屋根は樽型ヴォールトで覆われています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るアルカサルの北正面に設置された広々としたテラスには、1925年にベンリウレ氏によって制作されたビジャマルティン司令官の記念碑が建っています。
この司令官はカルタヘナ生まれで、哲学者、作家、兵士であり歩兵部隊に所属し、19世紀のヨーロッパで最も著名な戦争理論家の一人とされていました。彼の右側にはアラゴン王に仕える傭兵アルモガバル像、左側にはフランドルのテルシオス兵士が控えています。
このテラスからはトレドの町並みとトレドを取り囲む素晴らしい平原風景が見渡せますので、ぜひこのテラスにも足を踏み入れてくださいね。
住所:C.de la Union,s/n,45001 Toledo
電話番号:+34-925-23-88-00
開館時間:10:00〜16:30
休館日:月曜日
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