富士川の両岸に108の巨大たいまつを灯す奇祭「南部の火祭り」

富士川の両岸に108の巨大たいまつを灯す奇祭「南部の火祭り」

更新日:2014/07/12 11:46

山梨県の最南端の町、南部町では、毎年8月15日に盆の送り火や川瀬餓鬼(かわせがき・水死人の霊を弔うために、川岸や舟の上で行う施餓鬼供養)として受け継がれてきた盛大な火祭りが行われます。

富士川が燃えているような光景「百八たい」

富士川が燃えているような光景「百八たい」
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この祭りは、富士川に沿ってたきぎを燃やす「百八たい」や火のついた松明を投げる「投げ松明」など変わった伝統行事があることから奇祭とも呼ばれています。 江戸時代から続く伝統行事で、かつては富士川下流域の各地で行われていた行事ですが、現在大々的に行っているのはこの「南部の火祭り」だけとなっています。

「百八たい」は、富士川沿いに2kmに渡って組んだ108個の大きなたきぎの山に一斉に火をつける行事です。その巨大な火柱が立ち上る光景は、富士川がまるで燃えているように感じるほど凄まじさを感じます。

僧侶の読経で点火される大松明

僧侶の読経で点火される大松明
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108の松明の他に、お寺で古くなった板塔婆(墓の脇になどに立てる木製の長い板)を積み上げて作った大松明があります。僧侶が読経し、板塔婆の供養している中、大松明に火が灯されます。その雰囲気というと、とても厳かな気分になります。

夜の闇に浮かび上がる炎の軌跡「松明投げ」

夜の闇に浮かび上がる炎の軌跡「松明投げ」
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地元の子どもたちが、火のついた松明を「蜂の巣」と呼ばれるかごにめがけて投げ込む行事です。ひも状のものに松明を括り付け、ぐるぐる回す様にして投げ入れます。その際に出来る炎の軌跡は幻想的な風景です。うまく命中すると「蜂の巣」が燃え上がります。

運動会の玉入れの要領ですが、なかなか命中せず、外れると観客席からため息が漏れます。子どもが投げるので、時々とんでもない方向(観客席)に飛んできますので、ご覧の際はご注意を。

祭りのフィナーレに打ちあがる花火

祭りのフィナーレに打ちあがる花火
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火祭りのトリを務めるのは数千発の花火です。松明の炎で赤く染まった富士川の上空に、尺玉花火が打ち上がります。火祭りのフィナーレにふさわしい花火となっています。

編集後記 ワタクシ的ヤマナシ力

最後はワタクシ、ウェブ山梨案内人としてこのスポットの山梨の中での総合評価をお伝えします。

火祭りというと、山梨県では日本三大奇祭の一つ「吉田の火祭り」の方が有名ですが、「火」の扱いに関しては「南部の火祭り」の方が規模も大きく見せ場も多いです。(とはいえ、お祭りの趣旨が違うので、単純な比較はできませんが。)

この時期各地で花火大会が行われますが、大松明のもと行われる花火大会はそれほどないと思いますので、雰囲気が少し違う花火大会を味わいたい方にはおすすめです。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2011/08/15 訪問

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