これぞ奇祭!松明が夏の夜空を舞う日野町(滋賀)の火ふり祭

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これぞ奇祭!松明が夏の夜空を舞う日野町(滋賀)の火ふり祭

これぞ奇祭!松明が夏の夜空を舞う日野町(滋賀)の火ふり祭

更新日:2014/07/15 12:57

成沢 崇のプロフィール写真 成沢 崇 名古屋仏像研究会 会長、旅ライター

霊峰・綿向山を東に望む滋賀県蒲生郡日野町。
近江商人発祥の地である日野町は、室町時代から江戸時代にかけて商業を中心に発展しました。
歴史ある美しい家並みが残る日野商人の町では、お盆の時期に松明が空を飛び交うなんとも奇妙な祭りがあります。

その様子から奇祭ともいわれる「日野の火ふり祭」をご紹介します。

祭りで使われる松明の長さは約3メートル!?

祭りで使われる松明の長さは約3メートル!?

写真:成沢 崇

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お盆の8月14日・15日の両日に開催される「日野の火ふり祭」。
松明に火を灯すという夏祭りは滋賀県以外でも多く見られますが、火ふり祭は百本近くの松明に火が灯る勇壮な夏祭りです。

この火ふり祭は松明の扱い方が特徴で、松明を手にした大人たちが松の大木を囲み、その松明を投げ上げるというもの。消防団も待機する中、多くの歓声と熱気に包まれます。

午後7時30分から午後8時30分の間に行われる火ふり祭りの全貌をお伝えします。

午後6時30分――。
祭りの始まりまで、あと1時間。日野町上野田(こうずけだ)の五社神社から、松の大木のあるひばり野までの街道を歩くと、提灯が各家々に掲げられています。

そして、ほとんどの家の軒先に立てかけられているのが3メートル近くはあるかという細長い棒。その棒は竹で出来ており周りを紐で結われ、先端には藁が差し込んであります。これが火ふり祭で使われる松明となるのですが、その大きさに驚きです。

祭りのはじまりは午後7時30分から

祭りのはじまりは午後7時30分から

写真:成沢 崇

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午後7時――。
祭りの出発地である五社神社に到着すると、先ほどまで軒先にかかげられていた長い松明を持った大人たちと、祭り姿の子どもたち。

この日だけは火遊びをしても怒られないようで、子どもたちはかがり火で無邪気に遊んでいます。松明を持った男衆の服装はみんな普段と変わらぬ軽装で、世間話をしながら祭りが始まるのを待っている様子。

午後7時15分――。
五所神社本殿の前に建つ拝殿では、稚児と宮司達による神事が始まります。
拝殿の中は電灯がなく提灯の明かりだけ。厳かな雰囲気の中で執り行われる神事は、この祭りが町にとって大切なものであるということが分かります。

午後7時30分――。
神事を終えた稚児と神職の方々が拝殿を出ると、両脇に提灯持ちの子供を置いて火まつりの目的地であるひばり野へと向かいます

いよいよ祭りが始まるようで、外で世間話をしていた大人たちもこの時ばかりは静かに辺りを囲んでいます。その中には消防団の人たちも並んでおり、何やら物々しい雰囲気です。

ついに点火!そしてなぜか向かい合う大人と子供たち

ついに点火!そしてなぜか向かい合う大人と子供たち

写真:成沢 崇

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神職の方により、境内に置かれていた山積みの藁に火が点けられます。
太鼓や鳴り物などの音楽は一切なく粛々と松明に火を点けていき、立ち昇る炎と次第に灯されていく松明によって辺り一帯は猛烈な熱さと明るさに包まれます。

火の点いた松明を持った大人たちは順に鳥居の方へと向かい、20分もすると鳥居から拝殿までの参道には松明を持った大人たちで溢れます。

これから祭りのメイン会場となるひばり野へ向かい歩いて行くのですが、ここで一つ気になることが。

竹の棒を持った子供たちが、大人たちに向かい合うようにして立っています。仲良く一緒に歩くといった雰囲気は感じられず、対峙するその姿に緊張感が漂います。

飛び散る火の粉!一斉に松明が叩かれる

飛び散る火の粉!一斉に松明が叩かれる

写真:成沢 崇

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午後7時45分――。
境内に出てみると、松明を持った行列は700メートルほど先のひばり野へ向かっています。大人たちの持つ松明は、ずっと地面を向いたままで進んでいきます。

すると、竹の棒を持っていた子どもたちが大人たちの松明めがけて棒を振り落しました!

バンバンバン!バンバンバン!

竹の棒で叩かれた松明からは火の粉が飛び散り、辺りがいっそう明るくなります。
目近で火の粉が飛ぶ中、子どもたちは恐れることなく叩き続けます。

バンバンバン!バンバンバン!

子どもたちが必死に松明を叩き続けるという異様な光景。
竹の棒で叩かれた松明は、燃えカスが道路へ落ち、まだ火のくすぶっている状態の藁もあります。

松明を持つ大人たちの行列は延々と続くので、子供たちも最後の方には疲れている様子。しかし、大人たちはそれでも叩け!叩け!と囃し立てる。子どもたちもヘトヘトになりながら松明を叩き続けます。

これから分かることですが、こうして子どもたちに松明を叩いてもらうことが大人たちには重要なのです。子どもたちもその重要性を分かっているので必死に叩き続けます。

百本近くの松明が松の木めがけて空を舞う

百本近くの松明が松の木めがけて空を舞う

提供元:日野観光協会

http://www.biwa.ne.jp/~hino-to/

午後8時――。

行列がひばり野に到着すると、子どもたちの役目は終わり。
大人たちは松明を持ったまま松の周りを大きく囲みはじめます。

すると太鼓の合図とともに大人たちの手に持っていた松明が松の大木に向かって投げ上げられます。この頃には3メートル近くあった松明も、子どもたちに叩き続けられ50センチほどの短さになり、百本近くの松明が松の木に向かって弧を描く様子はまるで花火のような美しさです。

この祭りは、松の木に松明を乗せることが目的で多くたまればたまるほどその年は豊作と言われています。

しかし、松の木は老木のために枝と枝との感覚は大きく、数分間で一回乗れば良いくらいの低い確率。松の木に松明が乗ると周囲から大きな歓声がわきます。

そうして30分ほど松明が空に舞うのを眺めていると、どこからともなく拡声器で「そろそろ終了します〜!」との声が。この合図で火ふり祭は終了、消防団による放水活動がされお開きとなります。

松明を多く乗せることが火ふり祭のポイント

火ふり祭というのは、松の木に松明が多くたまればその年は豊作とされています。子どもたちが松明を叩き続けるのは、短くして投げやすくする為だったのです。

また、8月14日・15日のお盆の時期に行われることから、盆行事の精霊火が転化したものと考えられています。この点は京都の大文字焼きなどと同じですね。

松明が乗った30代くらいの男性に話を聞くと、毎年やっていて今年初めて乗せることが出来たと興奮気味に話していました。それだけ多く乗せるのは難しく周りの歓声も大きなものです。

また、枝に乗ることなく下へと落ちていった松明は再度投げても良いようで、打ちた松明を拾いに行く人たちがいます。上から落ちてくる松明を避けながら拾いに行く姿を見ているのも緊張感があり面白いものです。

そして、祭りのはじまりは14日が午後7時30分、15日が午後8時からとなりますが、やはりいちばん盛り上がる初日の14日に訪れることをおすすめします。五所神社には遅くとも午後7時に到着されていると、ひばり野へ向かうまでの街道で子どもたちが必死に松明を叩き続ける姿も見ることができます。松明の行列と一緒に進んでいくといいでしょう。

日野の火ふり祭へ行かれる際は、夜祭とはいえ火の熱さを間近に感じるためかなりの熱気です。水分補給と汗拭き用のタオルは忘れずに持って行ってくださいね。


火ふり祭開催場所:滋賀県蒲生郡日野町上野田 五社神社・ひばり野(口之宮神社)
開催日時(2014年):8/14(水)〜15(木)
(14日は19:30〜20:30、終了後に盆踊り大会開催、15日は20:00〜21:00)
電話:0748-52-6577(日野観光協会)
交通:近江鉄道「日野」駅から北畑口行バス高校前下車、徒歩すぐ

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掲載内容は執筆時点のものです。 2013/08/14 訪問

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