写真:bow
地図を見る京都府のほぼ中央、丹波山地にある南丹市美山町はそのほとんどが森林に覆われた山里。貴重な自然が残る芦生原生林や、日本海に注ぐ清流・由良川の源流など、京都府内でも有数の自然の宝庫ともいうべき場所なのです。
そんな美山町の知井地区・北集落には古いかやぶきの住居がいまだ多数現存しています。そして、その集落は『美山かやぶきの里』と呼ばれています。
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地図を見るこの『美山かやぶきの里』には現在、38棟におよぶかやぶき住居が現存し、しかもそれらは現役で活躍している住居として利用されています。そのかやぶき住居と美山の豊かな自然の景観とが見事に調和していて、美山を代表する観光スポットになっています。
伝統的技法による建築物群を含めた歴史的景観の保存が高く評価され、平成5年には周囲の水田と山林を含む集落全体、127.5haが、国の「重要伝統的建造物群保存地区」として選定されています。
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地図を見る『美山かやぶきの里』が、重要伝統的建造物群保存地区に選定を受けた平成5年、約200年前の農家の形態をよく残していた建物が当時の姿を残したまま「美山民族資料館」として開設されました。
しかしこの「美山民族資料館」、実は平成12年に一度不審火によって焼失してしまうのです。ところが、その2年後には早くも再建!様々な技法を用いて焼失前の姿を正確に再現しており、一見したところ出来上がって10年ほどの建物には見えません。更には、200年前の北山型民家の特色の一つである上げ庭を土間に復活させるなど、より深く歴史・伝統を伝えるべくマイナーチェンジも行った上で再建されているのです。
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地図を見る「美山民俗資料館」は母屋、蔵、納谷の三棟で構成されています。蔵の中や母屋の天井裏など、隅々まで見る事ができますのでしっかりとチェックしましょう。
また館内には地区内から集められた、古くからの農機具や生活道具など貴重なものばかり200点以上が展示されており、美山のかつての生活を知ることができます。
美山ではこういった物的な保存だけでなく、かやぶき屋根を保存するために、職人・技術者を育てて伝えていく取り組みもなされており、かやぶき職人を養成して町内の民家の修復だけでなく、地域外への技術提供も行っているのです。
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地図を見る美山民族資料館の不審火がきっかけで、火に弱いとされるかやぶき屋根を火災の延焼から守るべく、集落内の各戸には放水銃が備え付けられています。
毎年春と秋には、地域住民の火災予防講習と放水銃の点検の為に一斉放水を行っています。『かやぶきの里』全体に水が放たれる姿は実に壮大なスケールで絵になる光景で、これをわざわざ見に来る観光客が増えている程!『かやぶきの里』にとっては火災予防訓練も重要な一つの観光資源ともなっています。しかし、放水銃が設置されたのは先にも述べた原因の為。日本が世界に誇れる貴重な文化財を守るため、観光客の我々も十分に気を付けたいですね。
また、「美山かやぶきの里」の集落入口付近の府道沿いにはこれまたかやぶき屋根のお土産屋と食事処が併設されています。地元産の食材を味わうも良し、持って帰るも良し、ぜひ立ち寄ってみたいポイントです。
日本各地でかやぶき民家が失われている現在、美山町は日本中で最も多くかやぶき民家が残っていると言われています。もはや美山町だけでなく、我が国にとっても貴重な歴史的景観を守る立場にもなっているのです。
特に近年は『美山かやぶきの里』を訪れる外国人観光客の姿が非常増え、日本人以上に日本の原風景を見て感動している姿も少なくないのだとか。我々日本人も負けていられません。まずは、訪れてお金を現地にお金を落とす、貴重な日本の原風景を目に焼き付け、そして守る活動に賛同しましょう。
『かやぶきの里』へのアクセスは下記メモ欄をご参照ください。
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この記事を書いたナビゲーター
bow
京都生まれ、京都育ちの生粋の京都人です。仕事で全国を飛び回り、京都の良さを再認識したため、京都の観光に携わる仕事をしています。全国を旅した経験と、観光業界に生きる人間としての視点、更には京都人ならでは…
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