アンコールトムから東に1kmに位置するタ・プロームは「梵天の古老」という意味。
バイヨン寺院を建立したジャヤヴァルマン7世が、母の菩提を弔うため、12世紀末に仏教寺院として建立、のちにヒンドゥー教に改修されました。東西約1000m、南北約700mの壁に囲まれた広大な遺跡は、アンジェリーナ・ジョリー主演の映画「トゥームレイダー」のロケ地としても有名。
東門をくぐってすぐ目に入ってくる、大蛇のようにうねりながら遺跡を押しつぶしそうな勢いのガジュマルの姿!写っている人の大きさで、どれほどガジュマルが巨大化しているか、よくわかるでしょ?
遺跡を浸食しているように見えて、実は支えているようにも見えるし、恐ろしくも感動的な光景が目の前に次から次へと拡がっていきます。
写真は中央祠堂近く。ガジュマルの根の上を、さらに別の植物の根がまるで毛細血管のように覆い尽くしているさまは、もはや自然の芸術であり、どれほど長い間密林にこの遺跡が隠れていたかをうかがわせてくれます。
このすぐ横には彫りの深い美しいデバターの姿もあり、そのやさしい微笑みに癒されます。デバターとは壁面に彫られた女性の像で、一体ごとに表情や動きが異なり、実在の女官や踊り子がモデルになっています。
参道など修復された部分もありますが、ガジュマルに浸食され、その大半が修復がままならない状況下ですっかり廃墟と化したタ・プローム。しかしながら建てられた当時は豪華絢爛!中央祠堂の内側には多数の穴が開いており、そこに宝石やガラスがはめこまれ、上から差し込む光に反射してキラキラ輝いていたとか。今では穴しか残っていませんが、想像しただけで、ワクワクしてきますよね。
アンコールワットをはじめアンコール遺跡群の中心、シェムリアップの町から車で片道1時間半以上と郊外にあるベンメリアは、「花束の池」という意味。以前はその周辺には地雷が多数埋まっていたため観光客もまばらでしたが、2007年、ようやく地雷除去が完了。安全宣言の看板が立てられ、交通の便は悪いにもかかわらず、「天空の城ラピュタ」を彷彿させる姿が人気となり、多くの観光客が集まるようになりました。といっても中心部の遺跡に比べるとかなり少なく、ゆっくり回ることができるんですけどね。
写真のとおり、幅約45mの環濠にかかる参道の入口付近はかなり整備されており、ナーガ(蛇神)も思いのほかしっかりとその姿を残しています。その先にある東門テラスのナーガに至っては「ベスト・オブ・ナーガ」と称されるほど、破損が少なくキレイな状態で残っていて、もしかしてここは遺跡の保存状態がかなりいいのでは?と一瞬期待してしまうほど。しかし・・・・
参道を進んでいくと目の前にどーんと現れた瓦礫の山のような遺跡の姿に唖然。
ハンパないスケールで崩壊してます。。。
アンコールワットより先に、アンコールワットの練習台として造られたベンメリアは、周囲約4.2kmとアンコールワットよりやや小ぶり。「東のアンコール」と呼ばれていて、アンコールワットと共通する部分が多数みられます。といっても発見当時のまま、崩壊した状態で見ることになるので、かなり想像力をかきたてなければなりませんが(笑)
失われた過去の記憶の象徴ともいえるベンメリア。これから目の当たりにするスペクタクルな光景は他の遺跡を凌駕しています。さあ、中へどうぞお入りください。
崩壊寸前とはベンメリアのような遺跡のことをいうんだろうと誰もが実感することでしょう。森に囲まれ、光もあまり届かず、まさに「密林に眠る」という表現がピッタリ。
基本的にどこでも歩き回ることができますが、崩壊寸前な遺跡だけに、くれぐれも無茶はしないように。樹木が生い茂り、苔むす中を歩いて行くと、思わず「天空の城ラピュタ」の城全体を崩壊に導く呪文「パルス!」を叫びたくなりそう・・・・ってすでに崩壊しちゃってるんですが(笑)
遺跡を浸食している樹木については、ガジュマルと紹介されることが多いですが、正確にはその一種のスアポンという樹木。そしてそれ以外の樹木や植物が、朽ち果てていく遺跡とは対照的に、ありあまる生命力を発揮して遺跡を覆い尽くしていこうとしています。
廃墟マニアならぬとも一度は見ておきたい遺跡タ・プロームとベンメリア。今後、自然の生命力とどう対峙していくかも気になるところですね。
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(2024/10/15更新)
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