撮ろう!写真家魅了の奈良・室生寺と世界的芸術家の巨大作品

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撮ろう!写真家魅了の奈良・室生寺と世界的芸術家の巨大作品

撮ろう!写真家魅了の奈良・室生寺と世界的芸術家の巨大作品

更新日:2014/07/18 11:17

タケモト スグルのプロフィール写真 タケモト スグル カメラマン、ライター、撮影コンサルタント

多くの参拝者が訪れる奈良「室生寺(むろうじ)」。国宝重文が溢れるこの名刹(めいさつ:名高い寺)は、土門拳や入江泰吉(いりえたいきち)など伝説的写真家をも魅了してきた山寺です。しかし、その輝きに目を奪われ、多くの方が世界的芸術家の手掛けたアート施設を見逃している事をご存知でしょうか? ここでは、室生寺の魅力に触れるとともに、ぜひご覧頂きたい近隣の世界的アートをご紹介します。

国宝 室生寺「金堂」

国宝 室生寺「金堂」

写真:タケモト スグル

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奈良駅周辺より車で約1時間。室生寺は、現宇陀市 旧室生村に位置します。付近は山間部で、室生寺のある室生山はもちろん、目に映る全てが深い山々です。

有名なものの一つが石段です。奥の院まで約720段もあります。世には2000段を超える山寺もありますが、室生寺は急な箇所も多いため苦行レベルは変わりません。修行の気持ちが必要です。

また、シャクナゲの名所としても有名です。約3000株が4月中旬から5月上旬に見頃を迎えます。イベントの集中もその頃です。

理科の観察がお好きな方には6月頃もお勧めです。モリアオガエルの泡巣(あわす)を見る事ができます。木の枝葉に産み付けられていることもすごいのですが、注目はその下が必ず池だということです。生まれた子供がそのまま池に落ちる事ができます。親ガエルは下に池があることを意識しつつ木に登り、卵を産んだということですね。

芸術的な視点に立つと、建築物と仏像群が光輝きます。境内の至るところで霊気を放つその多くが国宝や重要文化財です。中尊 釈迦如来立像、十一面観音菩薩立像、十二神像、国宝本堂など、魅力を語ればきりがありません。

その中で、特に写真に収めたい2つの建築物を紹介したいと思います。

ひとつは国宝「金堂」。平安前期の建物で、石段「鎧坂」から見上げる姿が絶品です。室生寺の主立つ仏像の多くが収められています。まるで竹取の翁とかぐや姫の出会いのように、離れて輝き、寄って悟る、そんな場所です。

国宝 室生寺「五重塔」

国宝 室生寺「五重塔」

写真:タケモト スグル

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もうひとつは国宝「五重塔」です。建立は西暦800年頃。奈良時代の後期で、法隆寺五重塔に次ぐ歴史を持ちます。

高さは16m程とかなり小型ですが、見上げる地に建つ姿は大建築の貫禄です。更には、包む樹々が光背(こうはい)の様で、大仏の姿にさえ見えます。思わずカメラに手が伸びる光景です。

1998年9月の台風7号の強風で、杉の巨木が倒れ大きく損傷しましたが、1年3ヶ月の修理を経て2000年7月に蘇りました。修復されても寂びる姿がまた見ものです。

では、感動を元に金堂と五重塔を撮影してみましょう。お好きに撮ったあとは、以下の設定も参考にして下さい。

感度:ISO3200〜1600
絞り:f8〜f11
露出補正:マイナスに少々(-0.3EV〜-1.3EV)

三脚を用いて低感度で撮るのもいいのですが、あまりノイズが目立たない被写体ですし、気持ちの現れやすい高感度での手持ち撮影を推奨します。耐手ブレに自信があれば、ISO800〜400でもかまいません。

また、ボケが全く似合わない被写体です。ボケは構図や色などの甘さを包み隠してくれますが、筋の通った被写体なので誤魔化しは不向きです。隅々まで神経の通った絵にするため、f8〜11に絞ってみてください。

露出補正は若干マイナスがいいでしょう。全体を少々暗くすることで重く落ち着いた印象に収めることができます。効果の適正量は気持ちや天候や時間によって変わりますので、納得のいくまでお試し下さい。

苦行と休息

苦行と休息

写真:タケモト スグル

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金堂や五重塔そして仏像群のほとんどは境内入口近くにありますが、弘法大師が祀られる奥の院「御影堂(みえいどう,重要文化財)」までは残り数百段を登る必要があります。楽ではありませんが、空海の苦行を想い挑戦してみてください。

達成の後は休憩所での一服をどうぞ。清々しい気持ちで緑を眺めることができるかもしれません。

境内を離れたら、癒しのスイーツはいかがでしょうか? 室生寺前の名物「よもぎ入り回転焼き」はなかなかにして美味です。値段は1個90円。甘いものがお好きでしたら是非にお試し下さい。

天の作品「室生山上公園芸術の森」

天の作品「室生山上公園芸術の森」

写真:タケモト スグル

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室生寺の存在感が大きいが故に、他に何もなさそうなこの旧室生村。奈良の山間部とあれば致し方ありません。が、実は、室生寺ほど近く(徒歩約30分, 駐車場有)に広大なアート施設が存在する事をご存知でしょうか?

その名は「室生山上公園芸術の森」。手掛けたのは世界的芸術家ダニ・カラヴァンです。

ダニ・カラヴァンはイスラエル出身の芸術家です。都市や環境などの景観と一体になった壮大な彫刻で知られています。作品の所在は世界規模で、日本では、宮城県美術館(マアヤン)や札幌芸術の森美術館(隠された庭への道)、霧島アートの森(ベレシート)が所蔵先です。

それらはそれぞれ超大型の野外彫刻なのですが、規模的に見ると当館に遠く及びません。広さはなんと8ヘクタール。東京ドーム約2個分の広さがあります。その敷地に点在する各作品も、公園全体のデザインも世界的芸術家ダニ・カラヴァンの手によるものです。つまり、公園という巨大な作品があり、その中に超大型の作品が点在しています。

各作品は基本的に要素を際立たせた簡素な姿です。その為、存在感はありますがリアリティ(現実感)はありません。ところが、自然というリアリティと抽象的作品という非リアリティによって、公園全体に奇妙な狭間が形成されています。

目の前の現実と非現実感、あるいは夢・現(うつつ)。

この空間の問いかけに、あなたは一体何を思うでしょうか?

地の作品、そしてアートアルカディア計画

地の作品、そしてアートアルカディア計画

写真:タケモト スグル

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美術館の職員さんは言います。こんな世界的芸術家の壮大な作品が奈良の山奥にあるわけがない、と。しかし、当地にはあります。それを成したのは、この地に生まれた日本人芸術家の才能と人徳によるものでした。

その芸術家の名は井上武吉(いのうえぶきち)。室生村生まれの彫刻家です。活躍の場は世界で、様々な実績を残しています。身近な作品としては、東京都美術館「my sky hole 85-2 光と影」(入口近くにあるステンレスの球体)、東京都庁前広場「my sky hole 91 TOKYO」(赤いアーチ状の作品)などがあります。覚えのある方も多いのではないでしょうか。

1997年に亡くなった巨匠は、故郷に「森の回廊計画」を残しました。村の玄関口に大地をイメージしたモニュメントを配し、そして、天に最も近い山の上にモニュメントを配すことで、天と地を結ぶ軸を作る、そんな計画です。その後その構想を元にした、経済・文化活性化の「むろうアートアルカディア計画」が実行に移されました。

室生村の玄関口である三本松・道の駅は、建築やモニュメント「my sky hole 地上への瞑想 室生(地の作品)」を含めて、計画に基づいた井上武吉の最後の作品です。写真に映る「地下の瞑想空間」はその一部で、光の射す天井のmy sky holeを通じ天とつながっています。是非に身を置きたい空間です。
※モニュメントは常時開放ですが、地下空間は施錠されています。道の駅の駅長さんに見学をご依頼下さい。

では、この作品と対となる天の作品「山の上のモニュメント」とは何でしょうか? そうです、先に触れた「室生山上公園芸術の森」です。井上武吉の友人、ダニ・カラヴァンが故人の意志を引き継ぎ完成させました。その友情も感じたいところです。

おわりに

今回は、奈良の名所「室生寺」と、近隣のアート施設「室生山上公園芸術の森」、そして「三本松 道の駅」のモニュメントを紹介しました。写真にうれしいスポットであり、世界的芸術家の比類なき作品と友情を感じるスポットです。

感動を心に、カメラをその手に。その場を楽しみ、感じたことに素直に写真に収めてみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/06/18 訪問

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