地底の竜宮城へご招待 〜満奇洞(岡山県新見市)

地底の竜宮城へご招待 〜満奇洞(岡山県新見市)

更新日:2015/08/10 11:57

津田 泰輔のプロフィール写真 津田 泰輔
かつて与謝野晶子が「奇に満ちた洞」と詠んだ事から名づけられた「満奇洞(まきどう)」は、その名前の通り変化の富んだ鍾乳石を見ることができる鍾乳洞である。
剣山のような尖った鍾乳石、地底に静かに水を湛える地底湖があり、それらが色とりどりの照明によってライトアップされた空間はなんともエロティックで怪しげでもある。
それでは地底の竜宮城へ案内しよう。

入るとびっくり、洞内の休憩所

入るとびっくり、洞内の休憩所

写真:津田 泰輔

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満奇洞の入口を入るといきなりびっくりさせられるのが、休憩所が設置されていることである。
丸テーブルと椅子が設置されており、洞窟内の涼しい空間で一休みすることができる。奥には涼しげにライトアップされた鍾乳石も見え、夏場なら天然のクーラーにで火照った体を冷してくれるだろう。
ただし洞窟内の気温は年中14度前後。冷えすぎにはご注意を。

怪しく照らされた地底湖

怪しく照らされた地底湖

写真:津田 泰輔

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満奇洞の照明は2014年2月にリニューアルされて、すべての照明がLED化された。総事業費2300万円と言うから、なかなかの大改装だ。
そしてこの新しい照明がまた怪しさを助長している。
満奇洞を進んでいくとすぐに地底湖が現れるのだが、色とりどりの照明が水面に反射して、まるで万華鏡のようになっている。
奇妙な形をした鍾乳石に、底まではっきり見えるほど静かに透き通った水。この世のものではないような怪しくも幻想的な光景だ。

地底の吉原

地底の吉原

写真:津田 泰輔

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さらに奥へと進んでいくと東吉原という場所がある。
吉原とはよく言ったもので、石柱によって仕切られた部屋はまさに遊郭そのもの。
満奇洞全体の怪しい…いや妖しい雰囲気はこの遊郭的なものだった。

竜宮城は地底にあった!?

竜宮城は地底にあった!?

写真:津田 泰輔

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満奇洞はほんとに水の多い鍾乳洞で、奥に進むにつれて一面の地底湖という様相になってくる。
地底湖には赤い橋が架けられており、竜宮城は地底にあった!?と言うような感覚を覚えてしまう。
タイやヒラメが舞い踊る姿や乙姫様が出迎えてくれたりしないけれど、帰りたくなくなるような幻想的な空間が広がっている。

天井には鍾乳石がツララ状になって無数にぶら下がっており、その先から落ちる雫が水面にポチャンと音を立てて落ちる。
鍾乳洞の中はほんとに静かでじっとしていたら何も音のしない空間で、訪れた水音だけが聞こえる静寂の空間を楽しんでみて欲しい。

ライトアップの色が変わる恋人達の聖地!?

ライトアップの色が変わる恋人達の聖地!?

写真:津田 泰輔

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鍾乳洞の最深部には展望台がある。洞窟の展望台って何?って感じもするのだが、ここからは地底を流れる川を見渡すことができる。
川の中を進めばもっと奥まで洞窟は続いているようだが、一般の人がたどり着けるのはここまで。
実はこの展望台が恋人達の聖地とも呼ばれるロマンチックな場所なのだ。
展望スペースはちょうど2人が並んで立てるぐらいのスペース。そこに立って洞内を眺めていると、照明のライトがブルーやピンクに時間とともに変化して、まさに夢の世界にいるような気分にさせてくれる。時間を忘れて見入ってしまうような場所なのだ。

あまりにも見とれていると、気がつけば後ろで他の観光客が待ってたりするのでご用心を。

地底の竜宮城にご招待

もともと岡山県は鍾乳洞の多い場所で、スケールの大きい井倉洞などが有名なのだが、内部の複雑さや鍾乳石のバリエーションの多さなどは満奇洞の方に軍配が上がると思う。
とくに色とりどりのライトアップが「奇に満ちた」洞内をさらに妖しくさせている。
岡山県の新見市と言う中国山地ど真ん中という山深い場所にあるのだが、その中は水が豊富な地底の夢殿。浦島太郎は海の底ではなく地底の竜宮城に招待されたのかもしれない。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/06/14 訪問

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