お祭りは、久喜中央に作られた八雲神社御仮屋での祭典から始まります。時間は午後0時20分、祭典が終わったら各町内で人形山車の引き回しが始まります。各町の人形は、本壱(本町1丁目)が、素戔鳴尊(スサノヲノミコト)、本二(本町二丁目)は、武内宿禰(タケノウチノスクネ)、本三(本町三丁目)は、神功皇后(ジングウコウゴウ)、仲町(中央)は、織田信長(オダノブナガ)、志ん一(新町一丁目)は、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)、志ん二(新町二丁目)は、神武天皇(ジンムテンノウ)です。
各町それぞれに個性のある山車は、祠に鮮やかな彫刻や幕に飾り作られています。その内側には、大太鼓、小太鼓、笛、鉦のお囃子を演奏する5人2組が乗車していて、お祭りの最中途切れることはありません。
午後3時頃になると山車は各町に帰り、提燈山車の組替えに入ります。まず、最上部にある人形、その次に彫刻や幕など全てを外します。そこから提燈を下げるため、4か所に柱を組み付け横梁を張っていきます。
その後、1つずつ提燈をぶら下げていきます。提燈には本物の蝋燭が使われていて、その炎は祭りが終わるまで燃え尽きることはありません。久喜の提燈祭りは、お囃子は実演奏、山車を組替えるのも全て人の力、提燈にも蝋燭を使用し、昔のやり方をそのまま引き継いでいます。
他の祭りでは山車を組替えるところを見ることはありません。力を合わせ、解体から組替えを進めていく姿を見られるのも久喜の提燈祭りの隠れた見どころです。
昼間の人形山車の引き回しが終わり、提燈に切り替えるこの時間は、普通では「一旦家に戻る」時間でしょう。しかし、昼間の姿と全く違う山車に組替える工程は何とも楽しいものです。本三はこれから提燈を下げる工程に入りましたが、お隣の本二はまだ、横梁を張っている最中。「間に合うのだろうか」と各町の組替えるさまを見られるのも久喜の提燈祭りの楽しみの一つです。
写真は、やっと横梁を張り終え、提燈を下げる段階に入った本三の山車の横を、早くも提燈山車に組替え終わった仲町が意気揚々と通り過ぎる姿です。いかに速やかに組み換えするかというところも、各町の腕の見せ所なのです。
仲町に先を越された本三も神功皇后を御神酒所に飾り、約400の提燈を下げ火入れも終えました。人形山車の時には、順次よく行列を組んで行進していた各町の山車も、提燈に変わると、ぶつけ合ったり、山車の提燈部分を勢いよく回転させたりと喧嘩祭りに変わります。そのため、時には提燈に蝋燭の火が燃え移ることもあります。
気合を入れて本三の山車が出陣します。出発の手締めは、「シャン、シャン、シャン・・・シャン」の伊達の一本締めです。
この提燈山車が、夏の夜を彩るイベントとして最大の見どころです。賑やかな笛や鉦・太鼓のお囃子にのせ、町内を引き回し、山車を回転させる様は迫力があります。クライマックスは午後8時過ぎ、町内曳き回しを終えた全ての山車が、久喜駅西口ロータリーに集合します。7台の山車が一堂にそろいロータリーを曳き回す様は圧巻です。
久喜市は埼玉県東部にあり、都内から50km圏内に位置します。JR宇都宮線、湘南新宿ラインと東武伊勢崎線の2つが交差する久喜駅は通勤に便利なため、都内に勤めるビジネスマンのベットタウンの印象が強い街です。
しかし、お祭りで見せる久喜の人たちは、町の年寄が暖かく様子を見守り、若年寄が若い人たちに号令をかけ祭りを進めていきます。今でも提燈に蝋燭を使い、お囃子を実際に演奏する昔のやり方を忠実に守る姿は、感動を与えます。
昼間の人形の華麗な山車、夜は関東一と言われる幻想的な提燈山車。どちらも見どころ満載です。また、串焼きや焼きそば、お好み焼きとたくさんの屋台も出ているので冷やかして覘くのも楽しいですよ。そんな久喜は、JR上野駅から宇都宮線に乗り約50分です。
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