提供元:遠藤隆尚
地図を見る鉱山の景色を想像してみてください。
木や山は切り崩され土があらわになり、大きな岩が無造作に転がっているような光景ではないでしょうか?
銀山公園から「龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)」までの約3kmの遊歩道を歩くと、想像とはまるで違う風景に驚かされるはずです。
石見銀山が世界遺産として評価された理由の1つに「環境に配慮し、自然と共生していたこと」があげられます。銀の採掘から精錬をすべて手作業で行い、木の伐採後には植林をしてきた為、鉱山をとりまく自然が大幅に損なわれなかったのです。
木々に囲まれた遊歩道の先には、見学ができる「龍源寺間歩」(間歩=坑道)が。森の美しさとは打って変わって、暗くて狭く高温多湿な坑道内では、当時の様子を江戸時代の巻物から伺い知ることができます。
詳細はMEMOの「石見銀山世界遺産センター公式サイト」を参照下さい。
坑道内での作業は苛酷さを極め、坑夫の寿命は『間歩(坑道)に入ったら十年まで』と言われていました。
彼らの労働と引き換えに得られた莫大な富は、当時の面影をそのままに残す「大森の街並」にある、「代官所地役人 旧河島家」や「重要文化財 熊谷家住宅」などの、役人や商人の住宅からうかがい知ることができます。どの建物も天井が高く豪盛な造り。調度品からも当時の裕福な暮らしを想像できるのではないでしょうか。
詳細はMEMOの「石見銀山の魅力徹底ガイド」を参照下さい。
鉱夫の安全と供養の為に数多くの仏閣が建立された大森地区。
その中央付近に鎮座するのが、「羅漢寺五百羅漢(らかんじ ごひゃくらかん)」です。
銀山で亡くなった人々の霊と先祖の霊を供養するために、約25年の歳月をかけ完成した五百羅漢には、石見銀山で培われた石工技術が活かされています。
石造りの反り橋の見事な曲線、岩山を繰り抜いて造られた三つの石窟に安置されている501体の羅漢像は様々の面相と姿態で表され、同じ姿の羅漢像は1体もありません。
羅漢寺に立ち寄る際には、ペットボトルをお忘れなく。
境内には「島根の名水100選」にも選ばれた「三百水」が湧き出し、自由に持ち帰る事ができます。
詳細はMEMOの「羅漢寺公式サイト」を参照下さい。
鉱山で産出・精製した銀は、石見銀山街道を経て港町、沖泊(おきどまり)に運ばれます。そこには日本の温泉町で唯一『重要伝統的建造物群保存地区』に指定されている温泉津温泉(ゆのつおんせん)が。
旅の僧が湯に浸かって傷を治している狸を見つけたとか、縁結びの神様が病気のうさぎをお湯に入れて救ったことから始まったとも云われている温泉津温泉は、約1300年の歴史を持つ由緒正しい温泉。当時の坑夫達もここで疲れを癒やした事でしょう。
外湯の「元湯泉薬湯(もとゆせんやくとう)」と「薬師湯(やくしゆ)」は、源泉掛け流しの温泉。湯は46度前後と熱めですが、湯にじっくり入るというよりも、出たり入ったりを繰り返しながら楽しむのがコツだそうです。
宿も豊富な温泉津温泉。
ここを拠点にして、石見銀山を観光するのがお勧めです。
詳細はMEMOの「銀の旅路(ゆのつ温泉)」を参照下さい。
「石見神楽(いわみかぐら)」は、神職による神の御心を和ませる為の神事が、明治政府の神職演舞禁止令により、土地の人々の手に渡り受け継がれた民俗芸能。
神社に奉納されるのが習わしだったのですから、龍御前神社(たつのごぜんじんじゃ)で見る石見神楽が、本来の姿を捉えているのではないでしょうか。
観客席から数10センチしか離れていない神楽殿を、まさに所狭しと踊るその姿と祭ばやしのリズムは、人々を神話の世界に誘います。
詳細はMEMOの「ゆのつ温泉夜神楽公式サイト」を参照下さい。
世界遺産に登録されている鉱山は、ヨーロッパや南米に何箇所かありますが、今でこそ良く言われるエコロジーの概念と、それを現在でも見ることが出来るのは、世界でもここ石見銀山だけと言っても過言ではありません。
銀山だけでなく、銀の積み出しのための港と銀山を結ぶ二つの街道、町並み、山城と実に多くの範囲が登録されている世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」。じっくりと時間をかけて巡ってみて下さい。
きっと新しい発見があるはずです。
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