薬井門から角度30度はある急な石段の向こうに仁王門が見えます。雨引観音では四季折々の植物も見どころです。春の桜とボタン、夏のあじさいや百合、秋の紅葉、そして木々の葉が落ちた後に広がる筑波山や関東平野の展望は格別です。
息を切らせながら一歩々上っていくと、右手に鐘楼堂が見えます。この建物は、建長6年(1254年)宗尊親王の御願によって建立しましたが、大破のため文政12年(1830年)第29世原生元盛が再建したもの。その後、瓦葺きに葺き替えられましたが建物は当時のままです。
正面の仁王門は鮮やかな朱色で彫刻に施されている着色も華麗ですが、鐘楼堂は色がすっかり抜け落ち全体的に黒ずんでいます。そのため建物に180年の時の刻みを感じることができます。今では鳴らすことがない鐘楼堂ですが、建設当時はどのような姿だったのか想像は尽きません。
対照的に鮮やかに朱色を残す仁王門の周囲の彫刻は、宝永(1704年)年間に無関堂円哲が彫刻をしたもので、豪壮華麗の彫刻は日光東照宮の表門と対比されるそうです。
建長6年(1254年)に建立された門には、鎌倉時代の彫刻し康慶が彫刻した仁王尊を祠っています。現在の建物は、天和2年(1628年)14世堯長が再建したものであり、茨城県指定文化財です。
仁王門をくぐると、本堂に続く階段の右側に樹齢推定1000年の樫の霊木が見えます。文明4年(1472年)本堂・諸堂が炎上した際、御本尊がこの大木の元で難を避けたことから「宿樫」と称されるようになりました。大木に漂う霊気には観世音菩薩の神通力が感じられます。
雨引山・楽法寺の本尊は通常秘仏であるため、本堂右横の収蔵庫に保存されています。左右4本の腕を持つ延命観世音菩薩は、茨城県の仏教彫刻研究者の第一人者である後藤道雄氏(茨城県文化財保護会委員)によれば、「平安後半の制作と考えられる。茨城県の木彫では最古」と推定されています。
平成26年は、坂東三十三観音午年特別結縁巡礼に伴って80年ぶりの御開帳の年となっています。また、特別御開帳期間中は、本堂正面外部に本尊「延命観世音菩薩」の御手に結んだお手綱(五色の紐)を鰐口の綱に沿わせているので観音様と心をつなぎ最大の御縁を結ぶことができます。
本堂の裏手の杉林には、法輪独守居士が持っていた延命観世音菩薩の袖から滴り落ちた水が泉となったと伝えられる「延命水」が有ります。この霊水には観世音菩薩の神通力があると伝えられています。
仁王門手前を第一駐車場に降りると薬膳中華茶坊・三笠が有ります。三笠は、「医食同源」「地産地消」「手作り」が基本。地元の厳選食材をバランス良く調理した、薬膳本格中国料理のお店です。元オークラフロンティアホテルつくば料理長・袖山博明シェフによる、薬膳中国料理が手頃な価格でいただけます。
ランチは、週替わりランチセット、スペシャルランチセットや、薬膳ラーメン、地野菜入りあんかけ焼きそばや中華丼。ディナーは、桜、孔雀などのコース料理になっています。
写真は、本日のランチ「海老のマンゴーソースがけ」です。薬膳スープには、金針菜、松の実、クコの実や銀杏など5〜6種類の薬草が入り香り豊かに仕上がっています。メインの海老は表面がサクとしていて実はプリプリしていて甘酸っぱいソースと相性抜群です。
多宝堂、鬼子母神堂、東照宮など歴史を刻む建物や、境内を流れる滝や池、そして、クジャクや鶏、鴨、アヒルなどが自由に動き回る姿は、大きな力で包容されている気持ちになります。また、春の桜やボタン、夏のアジサイなど四季折々の植物も楽しみのひとつです。
電車の場合、「JR水戸線乗換岩瀬駅下車、駅前よりタクシーにて雨引山境内まで10分」と決して交通が便利な所ではありませんが、「山全体がご利益の霊力に溢れる、雨引山・楽法寺」で延命観世音菩薩の大きな神通力を感じてください。
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