提供元:松田 橙子 レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》2004
地図を見る金沢市のショッピングゾーン香林坊や片町から徒歩圏内、そして兼六園と金沢城のすぐそばにある金沢21世紀美術館は、敷地をへだてる柵も塀もなく、街の中のオープンな庭のようです。
美術鑑賞が目的ではなくても、市民や観光客がただ敷地内を散歩したり、くつろいで過ごせる場所でもあります。それになんといっても、庭の芝生で子どもたちが生き生きと明るく過ごしているのが日常の風景になっていますが、これは従来の美術館にはなかったものでしょう。
金沢21世紀美術館は、コンセプトの4つの柱の1つに「こどもたちとともに、成長する美術館」というのを掲げています。未来の文化を作り出す担い手である子どもの成長とともに美術館も進化すると考えるからです。
2004年のオープン時には金沢市内の小・中学生全員を招待し、さらに「もう一回券」と名付けた期限付きのチケットを渡しました。子どもにとって、「自分のため」に用意されたチケットにいかに夢があるかということを考えてそのチケットは作られたそう。
目論見通り、たくさんの子どもたちが次は家族や友だちを連れて、再び美術館に来てくれたそうです。また今でも毎年、コレクション展に金沢市の小学4年生全員を招待し、「もう一回券」を渡すという試みは継続されています。
このように、金沢21世紀美術館は子ども大歓迎の美術館なのです。
提供元:松田 橙子 フローリアン・クラール《アリーナのためのクランクフェルト・ナンバー3》2004
地図を見るせっかく子どもを連れて行っても、子どもは本来とても飽きっぽいもの。
「美術館なんてつまんなーい」なんて子どもがぐずりだすと、親も結局楽しめません。
しかし、その点、金沢21世紀美術館は子どもが楽しめるように、本気で取り組んでいるというから、子どもたちの食い付きが違うはずです。
あちこちで子どもが楽しそうに、また興味深そうに、美術作品と自然と触れ合う形になって、遊んでいる姿を見かけます。
「子どもに美術なんてわかるわけない」「子どもは美術品を壊してしまうのではないか」という心配の声もありますが、実は子どもに作品を壊されたことはほとんどないそうです。それは子どもたちが退屈しないで、本気で美術館を楽しめている証だと言えそうですね。
庭には、まるでジャングルジムのように内部に入ることもできる複雑な立体オブジェ「ラッピング」や、3色の色ガラスの組み合わせによって見える風景が変わっていく「カラー・アクティヴィティ・ハウス」など、子どもたちが身体を使って遊べる作品がいくつかあります。
12のチューバ状に開いた筒があり、これらが地中でつながっていて、管が音を伝えてくれる「アリーナのための クランクフェルト・ ナンバー3」も子ども達に大人気の作品。管はそれぞれペアになっているのですが、必ずしも隣のものと繋がっているわけではないので、音は意外なところから聞こえてくる仕掛けです。ペアの管を探して、子どもたちが広大な庭を駆け回っています。
館内の作品も、身体や五感を使って感じ取れるものが多く、難しいコンセプトを理解しないでも子どもが十分に興味を示してくれます。
プールの上部と下部で水をはさんで人々がコミュニケーションする「スイミング・プール」は、特に子どもの喜ぶ作品です。
金沢21世紀美術館には、キッズ・スタジオという場所があります。
写真がそのキッズ・スタジオで、土・日曜日の午後1時〜4時は、子どもたちが無料で工作などの体験ができる「ハンズオン・まるびぃ!」としてオープンしています。(まれに開催していない週があるので事前に公式サイト等で確認をおすすめします)
テーマはほぼひと月ごとに変わりますが、紙やアルミホイル、ビニールテープなど身近な材料を使って創作活動が楽しめます。また、アート感覚を刺激してくれそうな素敵なおもちゃも揃っているのでそれで使って遊ぶこともできます。
透明なフイルムに自由に海の生物を描いて貼り付けていき、キッズ・スタジオをまるで海のなかのようにみたてる制作をしているのが写真の様子で、他にはおがくずを利用してミノムシを作る…など、シーズンに合わせて楽しい企画が用意されています。ハサミやノリ、サインペンなどの材料は用意されており、誰でも予約なしで無料で参加できます。
指導員の方がついていてくれて、遊びや創作をサポートしてくれますよ。(幼児は保護者の同伴が必要です)。
また、展覧会と連動している子どもも楽しめるワークショップが随時開催されているほか、コレクション展にちなんだ絵本を読んだあと、実際に作品も見にいく「絵本を読もう」という催しも月に一度開催されているので、MEMOにある公式HPのイベント案内でチェックしてみてください。(ワークショップは、事前申し込みや参加費の必要なものもあります)。
金沢21世紀美術館の中には、「Fusion21」というカフェレストランがあり、ガラス張りの明るい店内ではメインメニューの他にビュッフェがつくランチが楽しめ、お子様連れにはとても好評です。
また休日(4月〜10月)になると敷地内には、移動販売車のカフェや、能登の牧場のミルクや石川産のフルーツで作られたというジェラート屋さんなど、個性のあるお店が並んでいて、屋外でのびのび食べたり飲んだりすることもできます。
移動式のお店なので、いつどのお店が出ているかはその日の運次第です。
さて、もちろん子どもが一緒に入場しても途中で飽きて楽しめそうにない展覧会などもありますよね。また、子どもに邪魔されず自分だけでじっくり展示を見たいこともあるはず。
そんなときのために金沢21世紀美術館には託児室があります。託児室はキッズ・スタジオの隣にあり、ここでの託児サービスは美術館の周辺の観光や買い物をするときにも利用可能です。
事前予約が必要で、料金は1歳未満児で平日1時間600円、1歳以上で500円(土日や祝日ではそれぞれ200円アップ)です。保険証のコピーやおむつなど、持参するものがあるので事前によく確認を。利用方法や連絡先はMEMOの金沢21世紀美術館公式サイト内にあります。
また、館内には空いていれば誰でも無料で使えるベビーカー、授乳室も用意されているので乳幼児を連れていっても安心です。
だたしトイレに関しては休日は混雑しますので、お子さんのトイレは早めに連れて行くのがよさそうです。
いかがでしたか。
金沢21世紀美術館は子連れが多いので少しくらい騒いでも目立たない…のではなくて、むしろ子どもがとても熱中してくれるので親も一緒にのびのび過ごせる場所なのです。
人間は赤ん坊の時期からもう目も見えれば音も聞こえます。言葉は喋らないけれど、実はもう芸術を楽しめるのかもしれませんね。
ぜひ、親子で芸術に触れ合って楽しい時間を過ごしてくださいね。
この記事の関連MEMO
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索