横浜市指折りの里山・舞岡公園には農村の生きものがいっぱい

横浜市指折りの里山・舞岡公園には農村の生きものがいっぱい

更新日:2014/08/14 11:29

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター
舞岡公園は、横浜市戸塚区と港南区にまたがる大型里山公園です。田畑を中心に雑木林や湿地帯などが広がり、洗練された都会の印象が強い横浜市内にあって、とりわけ緑の濃いスポット。最寄の「舞岡駅」へは横浜駅から地下鉄一本で行けますから、首都圏在住の方でも気軽にお出かけでき、かつ規模が大きいのでたっぷりと自然散策を楽しめます。年間通じてカワセミが頻繁に出現するほか、数々の生きものが出迎えてくれることでしょう。

青空の下で、開放的な田んぼを歩いてみよう

青空の下で、開放的な田んぼを歩いてみよう

写真:鷹野 圭

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雑木林が敷地の半分以上を占める舞岡公園にあって、特に開けた環境を有するのがここ。見ての通り森林に挟まれるようにして田んぼが広がっており、その様子はまさに地方の里山そのものです。公園の中心的なスポットで人気も高く、昆虫好きの子どもたちやバードウォッチャーなどが日々たくさん訪れます。

のどかな田園風景は、春夏秋冬と日本ならではの季節の移り変わりを実感できるスポットです。芽吹きの春に始まり、水田や山野草がピークを迎える夏、黄金色の稲穂と紅葉の美しさに虫の鳴き声がアクセントとなる秋、首都圏では珍しい冬鳥たちのパラダイスとなる冬……。あらゆる季節において見所があり、いつでも存分に楽しめることでしょう。

農村ならではの魅力を凝縮させた「小谷戸の里」は必見です

農村ならではの魅力を凝縮させた「小谷戸の里」は必見です

写真:鷹野 圭

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里山という言葉が市民権を得るようになった近年、学習または自然散策などの純粋な趣味として耕作地帯を訪れる人も多くなりました。そうした中で、特に日本本来の農業文化を見てみたいと思う方も多いことでしょう。そんな時は、迷わずこの小谷戸の里を訪れることをお勧めします。伝統的な茅葺き屋根の古民家が並び、壁に立てかけられた農業用具や水車小屋などが在りし日の農村風景を演出。かつて燃料として使われていた竹炭を作っている小屋などもあり、運が良ければ実際の炭づくりの様子を見学することもできます。ちなみに写真の中央にある小屋では、昔ながらの手づくりのおもちゃが展示・販売されています。木製の人形や懐かしの竹とんぼなどが並んでいますので、お子さんに買ってあげるもよし、あるいは童心にかえって自分で遊んでみるのもいいでしょう。

また、小谷戸の里の中や周辺には随所に山野草が植栽されており、華やかなお花畑とはまた違うしっとりとした落ち着きある「美」を演出しています。写真にあるヤマユリのほか、カワラナデシコやギボウシ、オカトラノオなどの花も見かけます。こうした花の情報は里の中にある管理事務所や看板などに随時掲示されていますので、公園内を散策する前にまずここで情報収集しておくのもいいかもしれませんね。

春〜秋の舞岡公園は、昆虫たちの楽園です

春〜秋の舞岡公園は、昆虫たちの楽園です

写真:鷹野 圭

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田んぼに集まる昆虫といえば、やはりトンボは定番ですね。夏場は青いシオカラトンボと、頭から尾っぽまで真っ赤なショウジョウトンボが主役。秋になるとアキアカネがやってきて田んぼ周辺を無数に飛び回ります。かつては日本中で見られた光景ですね。

ちなみに写真のトンボは、子どもたちに人気のギンヤンマ。基本的に縄張り周辺を飛び回っていて滅多に止まってくれないトンボだけに、こうして静止している姿を撮れるのはとてもラッキー……と思いきや、実はこのギンヤンマ、田んぼにかけられた鳥除けのネットに閉じ込められて出られなくなっているのです(汗)。真夏〜初秋にかけてよく見られる光景で、まれに巨大なオニヤンマなども同じように引っかかっています。これは、ちょうど彼らがヤゴから羽化する直前にネットが掛けられてしまうため。少々かわいそうな気もしますが、ネットの穴を通り抜けてバッタなどの獲物がやってくるのであまり飢えることはない……かも? 普段飛んでばかりでなかなか観察できないヤンマ科のトンボを観察するには格好のチャンスです。(素手でも捕まえられますので、気になる人は逃がしてあげましょう。ただし噛まれないように要注意)

その他にも、水辺で給水するアゲハチョウや葉を食べるツユムシ、それらを狙うカマキリなど、多様な昆虫が訪れます。じっくりと観察してみましょう。

人気のカワセミも、舞岡公園では常連さん!

人気のカワセミも、舞岡公園では常連さん!

写真:鷹野 圭

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園内にはいくつかの池があり、いずれもカワセミがよく訪れる場所となっています。水面に迫り出した枝や、杭の上などをチェックしてみましょう。運が良ければ魚を捕るシーンを見られるかも?

特によく出現するのが、木道のある湿地帯に隣接した『さくらなみ池』と、小谷戸の里の目の前にある『小谷戸池』の2か所。公園を訪れた際には必ずチェックしてみましょう。また、これら2か所のゾーンの周辺に出張してくることもしばしば。田んぼや水車小屋などで見かけることも結構あります。

「チー」というよく通る鳴き声を聞いたら、その場で立ち止まって周囲を見回してみましょう。

公園から最寄駅への経路には、涼しげな小川のせせらぎが

公園から最寄駅への経路には、涼しげな小川のせせらぎが

写真:鷹野 圭

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ここ数年、特に夏から秋にかけてはすごい暑さで、外を歩くのは正直しんどい……そう思っている方は多いことでしょう。でもそんな通り道に、たとえ小さくても水の流れがあったら、心なしか涼しさを感じると思いませんか?

舞岡公園は、最寄駅である地下鉄「舞岡駅」より続く約1.5キロのルートに沿って、涼しげな水音を立てる小川があります。川沿いの小道や植込みなどと合わせて「小川アメニティ」と呼ばれているこの空間は、公園へ向かう方や付近の住民などの憩いのスポットとなっています。澄んだ水を求めてアゲハチョウなどが飛来するほか(地面で給水している姿もよく見かけるので、観察のチャンスです!)、ザリガニ釣りをしている子どもたちの姿もよく見かけますね。

植栽としては園芸植物のほか、アジサイやギボウシ、ミゾハギなども見られ、せせらぎの流水空間に彩りを添えています。視覚的にも聴覚的にも、ささやかながら楽しみと安らぎをもたらしてくれることでしょう。暑さの厳しくない時には、ぜひ一度ゆっくりと歩きながら河原に散りばめられた魅力的なコンテンツに目を向けていただきたいものです。

里山公園改め、横浜の総合自然公園です

里山を構成する田畑や雑木林のみでなく、湿地帯や池、春にはお花見も楽しめる広場、そして公園と駅を繋ぐ小川アメニティなど、様々な自然の要素がぎゅっと集まっているのが舞岡公園の特徴です。その自然度の高さは、大都会のイメージが強い横浜市にいることを一時忘れてしまうほど。休日にぶらりと日帰りで自然散策に出かけたり、かつての農村文化に触れてみたり、あるいは家族でピクニックに出かけたり……色々なスタイルでお楽しみください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/07/20 訪問

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