写真:大宮 つる
地図を見る埼玉県比企郡吉見町にある国指定史跡の「吉見百穴(よしみひゃくあな)」は、今から約1300年前の古墳時代終末期の横穴墓群です。
文献によれば、江戸時代の半ば頃から、“不思議な穴”として人々に興味を持たれていたとか。確かに、山肌にいくつもの穴が開いていて、とてもインパクトがあります……(2014年7月現在、219個の穴)。
写真:大宮 つる
地図を見る明治20年、当時帝大(現東京大学)大学院生だった坪井正五郎博士が発掘調査を行い、多数の遺物(人骨、玉類・金属器・土器類など)が出土されました。坪井氏はこの横穴を“土蜘蛛人(コロボックル人)”の住居として作られたもので、のちに墓穴として利用されたものであると発表。しかし、大正時代になり、古墳時代の後期に死者を埋葬する墓穴として作られたものであることが明らかになりました。
写真:大宮 つる
地図を見る横穴には、棺台が2つも、3つも入っていたことから、一人の墓ではなく有力者の家族を埋葬する家族の墓でもあったと考えられているとのこと。大きさや形の違いがあるので、古代に思いを馳せながら眺めてみましょう……。
写真:大宮 つる
地図を見る横穴群のある岩山に、なぜか「地下軍需工場跡地」の洞窟もあります。
こちらの洞窟は、戦時中(昭和19〜20年)に大規模な地下工場の建設が行われ作られたもの。現在公開されているものは、左右500メートルにわたり山腹に掘られた一部となります。
写真:大宮 つる
地図を見る洞窟の中に入ってみると、ひんやり……。洞窟内は薄暗く、また歴史の重みも感じられ、さらにヒヤっとする感覚があります。
“彩の国クールスポット100選”に選定されており、夏でも感じるクールなスポットです。
2、3か所の横穴の中に、「ヒカリゴケ」が自生しています。幻想的なエメラルド色を放つ、このヒカリゴケが関東平野にあるのは植物分布上きわめて貴重とされ、昭和3年に国指定天然記念物に指定されています。
生育環境の変化に敏感で、その個体数は減少し続けているといいます。そのため、日本では環境省によりレッドリストの準絶滅危惧にも指定されている状況です。
ちなみに、日本国指定の天然記念物「ヒカリゴケ」を見られるのは、埼玉県ではこちらの「吉見百穴」だけです。
写真:大宮 つる
地図を見る「吉見百穴」を出て、少し歩いたところに「岩室観音」もあるので、足を運んでみましょう。「岩室観音」は比企西国三十三札所の第3番です。ご利益は、災難除け、交通安全、商売繁盛、安産など。
“胎内くぐり”といって、お堂のなかをくぐると諸難を除き、安産、その他の願いごとが叶うと言われています。ぜひとも、お堂のなかをくぐってみてくださいね。また、お堂の2階には、御祈願用の折り鶴も用意されており、折り鶴を納めて、願いごとが成就するように祈願してみてはいかがでしょう?
なお、こちらのお堂は“懸造り”と称して、京都の清水寺の観音堂と同様の造り。珍しく貴重な建物です。
写真:大宮 つる
地図を見るお堂の1階には、88体の観音石仏が奉られています。お参りすると、四国八十八か所巡り(=お遍路巡り)と同じ功徳が得られると言われています。
吉見百穴の見どころと、岩室観音についてご紹介しましたが、いかがでしたか? 今回、本文中ではご紹介できませんでしたが、吉見百穴では、勾玉・ハニワ作りを体験することもできます。子どもも大人も楽しめる観光スポットですよ。
江戸時代から“不思議な穴”と興味を持たれていた百穴、天然記念物のヒカリゴケをぜひとも見に来て下さいね!
吉見百穴には無料の駐車場がありますので、そちらに停めて吉見百穴と岩室観音を見に行かれると良いかと思います。
なお、関連MEMOに、最寄りの観光スポット「吉見観音(岩殿山安楽寺)」、「東松山市化石と自然の博物館」、「箭弓稲荷神社」についてまとめた記事もありますので、あわせてご覧ください。
この記事の関連MEMO
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(2024/10/9更新)
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