鬼の棲家と人の云う荒涼の別世界!岩手山裾野に広がる「焼走り」

鬼の棲家と人の云う荒涼の別世界!岩手山裾野に広がる「焼走り」

更新日:2014/08/11 12:17

南部富士とも呼ばれる緩やかな裾野を持った岩手山。穏やかな表の顔とは別に、宮沢賢治に「鬼神の棲むところ」と言わしめた場所があります。その名も『焼走り』(やけはしり)。およそ280年前の噴火で流れ出た溶岩流の大地はあなたにどんな印象を与えるでしょうか!?

まずは名峰岩手山を愛でる

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東北自動車道・西根ICから車で10分。県道233号線を進んでいくと岩手山が正面に見えてきます。岩手山は岩手県八幡平市、滝沢市、雫石市にまたがる標高2,038mの2つの火山が重なる腹式火山です。盛岡市側から見える形は静岡県側から見る富士山と似ていて”南部富士”と言われる所以となっています。
この岩手山、現在も活火山として活動中。この山の中腹からおよそ280年前、溶岩流が噴出し、今もなおその姿をとどめている場所が『焼走り』と呼ばれるところです。

異次元に来たかのよう!音が吸収される感覚を楽しむ

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自然散策路出入り口の階段を登ると、いきなり目の前に、一帯が暗褐色の息をのむような溶岩原が広がってきます。日本に溶岩流は数あれど、この焼走りのように4kmにもおよぶ溶岩流が当時の姿を残している迫力は、他とは比べようがありません。ほんの数か所、松が溶岩のくぼみに根をつけているだけで他に目立った植物もなく溶岩流があるだけ。
整備された自然散策路を歩いていると、不思議なことに、他にも観光客の方がいらっしゃるにもかかわらず、聞こえてくるのは自分の息遣いの音と足音だけ。まさに溶岩流の中に音までもが飲み込まれている感覚です。

植物が生えない不思議

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この焼走りの特筆すべきところは、”植生回復が極めて遅い”という点にあります。普通はコケ〜樹木までの進行が早く、280年以上も経つと、木々に覆われていることが多いのですが、この焼走り溶岩流はいまだコケ植物が生えているだけ。(この写真に見える白い部分がコケ)
大地の変遷の途上にあるこの場所で地球の成り立ちを観ているようです。また、ここには世界的にも珍しい、溶岩が雪だるまのように転がって固まった「溶岩球」というのがあります。散策路から見つけ出せるといいですね。

*焼走り溶岩流は国の特別記念物になっていますので石を積み上げるのも禁止です。

詩碑を読んで今一度、溶岩流を見てみよう!

詩碑を読んで今一度、溶岩流を見てみよう!
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岩手を代表する作家、宮沢賢治。岩手山をこよなく愛した彼は、この場所を訪れ、詩を詠んでいます。作品「春と修羅」の中に出てくる”鎔岩流”は、この焼走りのことを謳ったものです。その詩碑が南西側の散策路出入り口の近くに設置されています。
この詩を読むと、まさに今歩いてきた散策路から観た光景を、彼がものの見事に表現しているのを感じ取ることができます。この詩碑のすぐそばにある展望台からもう一度一帯を眺めると、書き連ねてある言葉の一つ一つが重みを増してきます。彼が「鬼神の棲むところ」と称した溶岩流の原野の凄味を、この詩を通して再確認してみてくださいね。

八幡平観光の穴場

ここは有名観光地からちょっと外れた場所にあるので訪れる人も少ない穴場。ゆっくりこの溶岩流を堪能してください。カーナビでは焼走りは検索できませんが「岩手焼走り国際交流村」で検索するといいですよ。交流村のすぐ隣に観光登山用の専用駐車場があります。
お車でない方は盛岡駅からJR花輪線大更駅で降りてタクシーで15分ほどです。 
散策路は結構、足を捕られやすいので歩きやすい靴をお勧めします。

セラピスト たまや瑞の *旅の薫香*
植物の生えない岩原。ゴロゴロとした石の足にあたる感触。無に近い世界を精油で表現すると

*パチュリ―・シダーウッド*

それぞれ一滴ずつディヒューザー等に垂らしてお試しくださいね。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/08/04 訪問

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