アルハンブラ宮殿の模倣、セビーリャ・アルカサルの光の美!

アルハンブラ宮殿の模倣、セビーリャ・アルカサルの光の美!

更新日:2018/07/27 15:00

「アルカサル」とは、城、宮殿、砦などの意味があり、スペインにも各地に同様の名前を持つ建物があります。アンダルシアの州都であるセビーリャのアルカサルは、グラナダのイスラム王朝ナスル王国との交友のなかで王が憧れを持ったアルハンブラ宮殿を模倣して造られています。イスラム美術と光の共演による美しさをご紹介します。

美しいイスラム建築に欠かせない中庭

美しいイスラム建築に欠かせない中庭
地図を見る

セビーリャのアルカサルの建築が始まったのは14世紀の中ごろ、ペドロ1世という王の時代です。もちろん、その時代には電気などありません。そして、現在も日中のみの公開なので、電気も必要最小限となっています。そういった状況で見学していると中庭から降りそそぐ光の美しさにうっとり。ここは人形の中庭といい、近代になってガラスの天井が取り付けられたので、光の効果はそのままに、雨でもぬれることなく楽しめる空間となっています。

イスラムの宗教建築の中庭には泉があり、礼拝の前に身を清めるために使われていました。こういった建築の形態は中庭型と呼ばれ、宗教建築を中心に発展しましたが、宮殿建築であるアルカサルも同様の型式をとっています。
また、中庭の風情はアルハンブラ宮殿を小ぶりにした印象で、文様や細工が美しく、その装飾も見所のひとつです。

最大の見所、ヒマラヤ杉の円形天井!

最大の見所、ヒマラヤ杉の円形天井!
地図を見る

セビーリャのアルカサルのなかで、最も贅を尽くした部屋を「大使の間」といい、とくにこの天井の芸術性が評価されています。装飾に用いられた金がまばゆい光を放つ様は、言葉を失うほどの美しさです。
黒に近い、濃い色の天井とは対照的に部屋の周囲を囲む壁は軽やかな色彩となっており、その対比が双方の装飾の素晴らしさを引き立てています。

光と影の共演、廊下さえも見逃せない!!

光と影の共演、廊下さえも見逃せない!!
地図を見る

イスラム建築は美しい装飾がどこまでも続くので、主要な部屋以外を見逃してしまうこともあるかもしれません。とくに部屋と部屋の途中である廊下は、さらっと通り過ぎてしまいがちではないでしょうか。

けれども、そんな廊下さえも見逃せない魅力があるのがアルカサル。このように、日が差し込むところでは窓や扉の装飾がくっきりした影として、真っ白な大理石の床に映し出されます。さらに、アラベスク文様を構成するタイルの色彩も降りそそぐ光によってより鮮やかに見え、屋外から近い廊下ならではの、強い光による美しさを観ることができるのです。大使の間のような、室内の柔らかな光による美しさとは全く違いますが、どちらも見逃したくない美しいものです。

おわりに

アルカサルの美しさについて、光に着眼点をおいてご紹介しました。ひとつの視点を持って建築物と向き合うとまた違った魅力に気づくことが出来るのはずです。
セビーリャのアルカサルの真横には、イスラム支配時代のモスクが基盤となっているカテドラルがあるので、宗教建築と宮殿建築を比較してみるのも面白いです。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/02/29 訪問

条件を指定して検索

- PR -

新幹線特集
この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -