写真:もんT
地図を見る「氷河急行」は、スイス西部のツェルマット(Zermatt)と、東部のサン・モリッツ(St.Moritz)との間を結ぶ観光列車。マッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)とレーティッシュ鉄道(RhB)という二つの路線、270kmの道のりを約8時間かけて走破します。毎年5月中頃から10月中頃まで、特に夏の観光シーズン中は1日に3往復の列車が運行されます。この列車、パノラマ車両からゆったりくつろぎながらスイスアルプスの絶景が楽しめるとあって、大人気…、スイス観光の定番となっています。
乗りたいけど予約が取れない…という方もあきらめないで!…実は地元の人たちが利用する普通列車も1時間に約1本の頻度で通年運行されているんです。食事のサービスやパノラマ車両は付いていませんが、こちらのほうがローカルな旅が楽しめます!全区間を直通する列車がないので、途中乗換えが必要ですが、全体の所要時間の差はわずか20分ほど余計にかかる程度。予約も不要、座席も好きなように座れて、窓も開く!気ままな旅にはこちらのほうがおススメかもしれません♪
列車の時刻はスイス連邦鉄道の時刻表のページ(メモ参照)で、出発地・目的地・経由地を入力すると検索できます。データをブックレットにして持って行きましょう。
写真:もんT
地図を見るローザンヌやベルン、またイタリアのミラノから鉄道で移動する場合は、まずブリーク(Brig)を目指すのが良いでしょう。ブリークはヨーロッパの交差点。フランスやドイツ、そしてスイス国内の大都市とイタリア方面を結ぶ国際列車が頻繁に発着します。
氷河急行が走るマッターホルン・ゴッタルド鉄道のホームは国鉄駅を出てすぐの駅前…、こちらはまるで路面電車のホームのようです。周囲には石畳の道と古い町並みが…。ここが古くからの交通の要衝であったことを物語っています。列車の待ち時間を利用して、駅南側に広がる旧市街をぶらぶらしてみるのも良いでしょう。
ここから西へ向かうと1時間20分ほどで、マッターホルン観光の拠点ツェルマット。東へ向かうとローヌ川の上流へと進み、スイスアルプスの中へと分け入っていきます。ブリークからアンデルマット(Andermatt)へ向かう場合、車窓風景は進行方向右側がおススメです。
写真:もんT
地図を見る全長15.44kmの新フルカトンネルを抜けると、間もなくアンデルマット。のどかなアルプの風景が周囲に広がり、夏の観光シーズンはアルプスの登山やハイキングを楽しむ人々でにぎわいます。旅行の日程に余裕があるなら、ここで1日滞在していくこと、おススメです。
実はこの町もかつては交通の要衝。東西と南北の街道が交差する町でした。現在は南北を走る鉄道や高速道路は足元地下深くのトンネルの中…。人口1300人ほどの山間の長閑な町となっています。
この町の北、ゲシェネン(Göschenen)に向かって一駅だけMGB鉄道の支線が延びているのに注目です。この路線に15分ほど乗ってゲシェネンまで山を下っていくと、やがて右手には、1888年開通のゴッタルド(Gotthard)トンネルの出口が…。ゲシェネンにて、アルプスを南北に貫くスイス国鉄の幹線に接続します。チューリッヒまではここから2時間弱、スパイラル線やループ線の連続でアルプスを下って行き、車窓には風光明媚な風景が展開します。
現在、この幹線のさらに地下深くに、全長57kmに及ぶ「ゴッタルドベーストンネル」が建設中…。完成すると日本の青函トンネル(全長53.85km)を抜いて、世界最長のトンネルになります。開業予定は2018年…、その後、絶景ルートの現在の路線がどうなってしまうのか気になるところ。特にゲシェネンから、新たなトンネルの入り口となるエルストフェルド(Erstferd)までの25分の区間は、ぜひとも今のうちに乗っておくことをおススメします。
ちなみに宿泊の予約をしていない気ままな旅であれば、アンデルマットに宿泊するよりも、ゲシェネンやエルストフェルドでの宿泊のほうが空いていて確実。値段も安いです♪
写真:もんT
地図を見る再びアンデルマットからさらに西へと氷河急行の旅を続けます。アンデルマット駅を出るとすぐに列車はつづら折の急坂へ…。ラック式といって、車両の歯車と歯形のレールがかみ合うことで、急勾配を力強く登っていきます。右に左に…とオーベラルプパス(Oberalppassオーバーアルプ峠)に向けて標高が上がるにつれて、アンデルマットの町とアルプスの山々が大パノラマで展開します。
アンデルマットの町が見えなくなったら、しばらくは進行方向右側に注目です。やがて澄み切ったオーベラルプ湖(Oberalpsee)が車窓いっぱいに展開…、標高は2033m!氷河急行のまさにハイライト、最高のパノラマです。
この後、ディゼンティス/ムステル(Disentis/muster)にて鉄道会社がRhB鉄道に変わります。普通列車の旅であれば、ここで必ず乗り換え…。次に乗るクール(Chur)行きの列車は、途中のイーランツ(Ilanz)までは進行方向右側、イーランツから先は左そして右にと席を移動するとライン川を見ながらの山下りの旅が楽しめます。
写真:もんT
地図を見るクールまで下ってくると、そこは標高585m。およそ1500mも山を下ったことになりますが、ここから氷河急行は方向を変えて、標高1775mのサン・モリッツへと最後の力走に入ります。クールから先はぜひ進行方向右側に座りましょう。普通列車ならばクールを出てから約1時間後、世界文化遺産のランドヴァッサー橋(Landwasser Viaduct)を渡ります。サン・モリッツ方面行きに対して、橋は右にカーブしているので、右側からだと列車から橋を入れての車窓風景をスナップ写真として撮れます。ここは、窓が開かない氷河急行のパノラマ車よりも、窓が開く普通列車のほうがいいですね…。
この橋をもっとじっくり見たい!という場合は、橋を渡ってすぐのフィリスール(Filisur)駅で途中下車しましょう!氷河急行は通過してしまうのですが、普通列車ならば下車可能♪駅舎を背に右へ、線路から離れないように歩いていくと、「Landwasser Viaduct」の案内表示が…。わずか15分ほどで写真のポイントにたどり着きます。1時間後の次の列車までの間に手軽に行ける撮影ポイントなので、おススメです。
ランドヴァッサー橋を写真に撮るポイントは他にもいくつかありますが、駅からの距離や高低差を考えると、1〜2時間では周りきれません。もっと撮影にこだわるのであれば、半日から1日、時間を取り分けることをおススメします。
「氷河急行の旅」といえば、パノラマ車からアルプスのワイドな車窓を堪能するのが定番ですが、窓が開く普通列車の旅も魅力的です。途中下車を予定に含めて、急行列車と普通列車、両方を乗り比べてみるのも良いでしょう。また、ここで紹介した以外にもあなただけの魅力的な途中下車スポットが見つかるかもしれません。雄大なアルプスの鉄道の旅、ぜひ楽しんできてください。
この記事の関連MEMO
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索