写真:鷹野 圭
地図を見る写真の灯台は安房埼灯台(あわざきとうだい)。城ケ島の東の端に位置し、四六時中荒波を受ける過酷な環境に立つ建造物です。間近から見上げるもよし。離れた高台から大海原をバックにして見下ろすもよし。その景観からは海のスケール感やある種の力強さなど、様々なものを感じ取れることでしょう。釣り場としても有名で、随所に釣り客が見受けられます。
ここだけでなく、城ケ島の海岸線(特に南側)はごつごつとした岩場が主体となっており、車の立ち入りは不可能、徒歩でも結構過酷な道で慎重に歩く必要があります。それだけに、高い岩場から見下ろす海面や、大きな音を立てて立ち昇る波しぶきなどは大変に美しいもので、強く記憶に残ることでしょう。水質もきれいで、首都圏とは思えないほどの高い透明度を誇ります。
開発の及びようがない厳しい環境だからこそ守られてきた、自然そのままの海岸の姿。ぜひ一度目にしていただきたいですね。
写真:鷹野 圭
地図を見る島の南西部から入れるハイキングコースは、海岸線に沿って島東部の城ケ島公園まで続いています。向かって右側には岩場を中心とした磯景観が、左側には何十メートルという高さの崖が聳え立ち、「陸」と「海」双方の雄大な自然を間近に望めるコースです。道中には写真にあるスカシユリやイソギク、ハマユウなどの海岸性の花が咲き、これまたなかなかの美しさでハイカーの目を楽しませてくれます。
基本的に「崖」と「磯」で構成されるコースなのですが、一部には淡水の池(島上部からの流水によるもの)や湿地帯もあり、これだけ海が近いにも拘らずギンヤンマやイトトンボなどが繁殖しています。草原も多く夏〜秋にかけてたくさんのキリギリスの鳴き声が聞こえてきたりと、なかなかユニークなコンテンツが散りばめられています。もちろん岩の隙間を覗けば磯ならではの生きものも多く見られ、カニやヤドカリなどの定番のほか、あざやかな赤色が印象深いウメボシイソギンチャクの群生などが見所です。
色々な動植物に目を向けながら、潮騒の中をゆっくりと歩いてみてください。
写真:鷹野 圭
地図を見る城ケ島公園から公園南側の階段を下ると、間もなく写真のような険しい岩肌に出ることができます。激しい波によって岩にうがたれた大きな穴(海食洞)など、自然の力を実感できるはずです。ちょっと怖いかもしれませんが、岩場から太平洋を見晴らしつつ大きく深呼吸してみましょう。ただし、人の手が加わっていない自然の海岸ですから、当然柵などありません! スリルを味わうのもいいですが、足を滑らせないようくれぐれもご注意ください。
ちなみにウミウ・ヒメウ・クロサギの飛来するスポットは、この岩場から見える人の立ち入れない崖の上にあります。秋〜冬にかけて群れで岩場に佇む姿が見られますので、ぜひカメラや双眼鏡などを用意していきましょう。
写真:鷹野 圭
地図を見るコサギやダイサギなどの白いサギ科の鳥を俗に「シラサギ」と呼びますが、シラサギという種名の鳥は実は存在しません。対して「クロサギ」という鳥は実在するのですが、通常サギがよく訪れる里山や平地の河辺で見かけることはほとんどないでしょう。少なくとも首都圏では滅多に出会えないレアな鳥です。
そんな中、ここ城ケ島の海岸線は関東圏では数少ないクロサギの飛来地。荒波の打ち付ける何十メートルもの高い岩肌の上にいることが多いですが、運が良いと、魚を捕るために浅い磯まで寄ってきてくれることもあります(写真参照)。見た目はご覧の通り、ダイサギの身体をそのまま黒く染めたような感じですね(季節により白色が混じることがあります)。決して目立ちやすい鳥ではありませんが、サギというものは皆白いと思われがちな中、真っ黒なサギというのは初見時には結構驚かされるものです。
写真:鷹野 圭
地図を見る島の南側には全体的に自然景観が広がっていますが、対照的に北側には住宅地やお食事処、漁港などが集まっておりなかなか賑わっています。漁師町・三浦市の一角だけあって、やはり魚介類がとっても美味! 王道のマグロ丼のほか、うに丼や刺身定食など、色々なお店で味わうことができます。
特にこうしたスポットで食べておきたいのが、店頭で焼いてくれるサザエやハマグリなど。潮風に吹かれながら外で立ち食いするのがおススメです。ちなみにサザエの場合は、身を食べ終えたらぜひ貝殻の中の汁も飲み干してください。出汁がよく出ていて、一層「海を味わっている」という実感がわいてくることでしょう。
※江の島などと同様にここにもトビが生息していますので、上空にはくれぐれもご注意ください。
橋で繋がってはいるものの、陸とは完全に隔離された自然島である城ケ島。貴重な鳥が飛来する自然地であり、同時に海の幸を味わえる漁師町でもあります。島の最も高台にある城ケ島公園からは太平洋の大パノラマが広がり、何とも言えない解放感を覚えるはずです。
やや時間はかかりますし、基本徒歩で回るしかないのでくたびれるかもしれませんが、ぜひ訪れた際にはピンポイントで一ヶ所を訪れるのではなく、島をぐるりと一周していただきたいと思います。歩いて一周することで、その魅力の多様性を実感できることでしょう。春夏秋冬によって咲く花や訪れる生きもの、旬の食材など「表情」ががらりと変わりますので、できれば季節ごとに、時間に余裕を持って1日かけて巡り歩いてもらえればと思います。
関東で海岸の魅力を実感したいなら、迷わず城ケ島へ!
【アクセス】
京急「三崎口駅」より、京浜急行バスで約30分
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
鷹野 圭
現在、出版社で編集・ライターの仕事をしています。休日の「自然散策」が何よりの楽しみ。首都圏各地の公園や緑地、自然スポットなどに足を運び(主に土日祝日)、景観美やそのスポットならではの見どころ、あるいは…
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