メスキータで最も有名なのは、この馬蹄形アーチの連続する大空間。このアーチは約850本あり、合わせ鏡でもあるかのように同じ形が連なって、なんとも言えない空間を形成しています。アーチが二重となっていることも、美しさの秘訣です。これだけ柱の間隔が小さければ、構造的には一重でも充分にこの建築を支えることが出来ると考えられるので、わざわざ二重にしているのは、美術的な要素・感覚によるものでしょう。
メスキータは、イスラム王朝である後ウマイヤ朝を創始したアブデラマン一世の命によって786年に建設が開始されました。その後、歴代のカリフ(カリフ:イスラム国家の指導者、最高権力者のこと)によって増改築されて、世界最大級のモスクとなりました。
しかし、モスクは13世紀前半にコルドバがキリスト教徒の勢力に奪還された後は、大聖堂として利用されました。大聖堂としての利用の際にも、増改築がなされました。このドームの写真だけを見たら、ヨーロッパのどこかの大聖堂だと思ってしまいませんか?
最初にご紹介した馬蹄形のアーチの一部は、キリスト教の大聖堂として使用される中の増改築で壊されてしまいました。当初のままだったら、もっと壮大な空間だったのでしょうね。
メスキータの建築には、キリスト教の大聖堂としても、ゴシック、ルネサンス、バロックなどの様式が混在しています。
キリスト教の大聖堂の要素としては大理石のドームのほか、美しいステンドグラスとそのステンドグラスが落とす影がとても印象的です。
メスキータは、コルドバの旧ユダヤ人街付近にあり、観光地の中心です。敷地も大きく、見逃すことなんてなかなかないでしょうが、わかりやすい目印はこのミナレット。ミナレットとは、イスラム教建築の鐘楼で、礼拝の時刻を伝える役割を持ちます。角柱形や円筒形などもありますが、このような尖塔形が最も一般的です。
ミナレットを目印に訪れると、塀の中に「オレンジの中庭」と呼ばれる庭園空間が広がり、その先にあるシュロの門からメスキータ内部を見学することが出来ます。
メスキータは、ふたつの宗教とそれぞれの歴史、そしてその宗教の時代ごとの文化によって歴史も建築も複雑です。メスキータでもらうことの出来る地図や歴史のかかれたパンフレットには、建築の部分ごとの年代がかかれています。それらを確認しながらめぐることで、宗教や年代による建築の違いを見て取ることが出来ます。
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