写真:吉川 なお
地図を見る台湾の主要なエスニックグループのひとつである客家人は、北中部の桃園県、新竹県、苗栗県に多く居住しています。客家とは他郷から来た移住者を指す語で、中国を出自とし、独自の言語や文化を継承しています。食に関しても独特な風味があり、客家人の家庭料理は「客家料理」として台湾の食文化の一翼を担っています。
台湾には客家料理が食べられる店がたくさんあり、台北にある【晉江茶堂】はいつも混雑する人気店です。
MRT古亭駅に程近い路地の一角にあり、知らないと通り過ぎてしまいそうな小さな平屋の一軒家は、日本統治時代に建てられた家屋をそのまま使用しています。室内は和室1間とテーブル席の2間で、室内に置かれているもの全てが骨董品のような趣き。まるで客家の家庭に招かれたような素朴な雰囲気が漂っています。
客家の人たちは主に山地や丘陵地帯で生活してきたため、鶏や豚などの家畜を育てながら、山菜や川魚を採り、米やサツマイモを主食にして、携帯や保存が利く乾物や漬物、燻製などを多用する食生活を営んできました。唐辛子や生姜、酒、醤油を多く使い、脂こくて塩辛く濃い味付けが特徴です。【晉江茶堂】の味付けもやや濃い目ですが、万人向けに食べやすく調理されているのでご安心を。
そしてもうひとつの自慢が客家の伝統茶「擂茶」です。健康に良いとされ、古くから親しまれてきたこのお茶を自ら作って飲むことが出来ます。
日本語は通じませんが、ちゃんと日本語メニューが用意されています。お得な二人前コースは、主菜(メイン料理)を2種類選ぶと、これにあわせた副菜(つけあわせのおかず)2品と麺かご飯どちらか、スープとデザートがセットで出てきます。
写真:吉川 なお
地図を見るいかにも家庭料理という豪快な盛り付けと、初めて食べる味だけど、意外と口に合う!という料理が並んでいます。
●客家小炒(クージャーシャオチャオ)干して乾燥させた豆腐とイカ、豚肉、青ネギを醤油ベースで甘辛く炒めたもの
●梅干扣肉(メイガンコウロー)酸っぱい高菜で煮た豚の角煮
●薑絲大腸(ジャンスーダーチャン)生姜の細切りと大腸の酢の炒め物
●冷泉油鶏(ロンチュエンヨウジー)蒸し鶏。甘酸っぱいタレをつけていただきます
●客家鹹豚肉(クージャーシエンジューロウ)塩をまぶして燻った豚肉スライスの冷菜
●鹹蛋蘆筍(シエンダンルースン)塩づけ卵とアスパラの炒め物
●九層塔茄子(ジョウツァンバーチエズ)ナスとバジルの炒め物
写真は「薑絲大腸」です。程よい酸っぱさと大腸の弾力がくせになる逸品で一押しです。
写真:吉川 なお
地図を見る「擂茶」の成り立ちは、店の中に説明書きがあります。
『またの名を「三生湯」と呼ぶ擂茶の起源は、中国の三国時代までさかのぼります。蜀の将軍、張飛が武陵に侵攻した際、数千の兵士が感染症にかかり、前進できなくなりました。その時に蜀軍の規律が厳しいことに感心していた漢方医が秘伝を伝授し、それ従って米と生姜とお茶を擂鉢ですり、餅状にしてそれを煮たり焼いたりして食べたところ病が治ったので、張飛は「この茶を飲めば三生(三世)までも幸せになれる」と語りました』と書いてあります。
このように滋養強壮に効果がある擂茶は、客家の伝統茶として、現在も飲み継がれています。
【晉江茶堂】では2杯オーダーすれば、希望で擂茶を自分で作ることができます。擂鉢の中に白ゴマ、黒ゴマ、落花生などを入れて、グアバの木で作った擂棒で細かくすり潰します。それに緑茶パウダーと東方美人茶を注ぎ入れ、お好みで米香(米のポップコーン)を入れて出来上がりです。混ぜ棒として出される茶棒は擂茶を固めたものなので食べられますよ。
しっかり擂るとゴマの舌触りもよく、濃厚でほんのり甘く抹茶に似た風味です。ヘルシーでもあるので食後にぜひどうぞ!
デザートの「客家櫅粑(クージャージーバー)」はピーナッツやゴマなどを砂糖と混ぜ合わせて餅にまぶしたもので、日本のきな粉餅そっくり!これと擂茶と一緒にいただくと、日本の味に似たものを感じて心も和みます。
台湾で気軽に食べられる本場の客家料理。ご滞在時に一食試してみてはいかがでしょうか。
【晉江茶堂】
住所:台北市晉江街1号
電話:(02)8369-1785
営業時間:11:00〜14:30、16:30〜21:00
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(2024/9/16更新)
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