写真:bow
地図を見る気比神宮のシンボルでもある大鳥居。もともとは東側の参道に建てられたものが、何度か災害などで倒壊をし、1645年に旧神領地の佐渡から奉納された榁(むろ)の大木で再建され、西門に建てられたものが現在の鳥居。
以前は国宝に指定されていた全高11mの木造鳥居は、現在は重要文化財に指定。広島県の厳島神社と奈良県の春日大社と並び、日本三大鳥居(日本三大木造鳥居)と呼ばれる鳥居の一つです。他の三大鳥居が世界遺産の神社にあることを考えれば、この気比神宮の大鳥居は世界遺産級のスケールを感じる重厚感のある大鳥居です。
昭和20年の「敦賀大空襲」ではこの大鳥居を残して、気比神宮は焼けてしまったそうです。現在の気比神宮は「昭和の大造営」により再建されたものです。
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地図を見る気比神宮は越前国一之宮でもあり、北陸道総鎮守ともされ、さらに明治時代には官幣大社となった格式の高い神社。境内には何やら荘厳な雰囲気が漂っています。その気比神宮のご祭神は伊奢沙別神・仲哀天皇・神功皇后・日本武尊・應神天皇・玉妃命・武内宿禰命の合計7柱。
主祭神の伊奢沙別命(いざさわけのみこと)は御食津大神(みけつおおかみ)とも称される気比神宮にのみ祀られている神。謎の多い神ではありますが食物を司るとされていて、『古事記』にはここ敦賀から朝廷に海産物などの食物が奉られていたと記されているのです。ちなみに”気比”という地名は「食の霊(けのひ)」が由来とされているそうです。少し難しいですが、ともかく主祭神が食物を司るところからついた名のようです。
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地図を見る北陸道のみならず、若狭湾に面した海の玄関口としても要所の敦賀。主祭神の伊奢沙別命は古くから海上の交通安全にも霊験があらたかなのだとか。また、農業漁業などの衣食住の生活全般を護る神として崇められているのです。
また前述の通り、気比神宮のご祭神の中には歴代天皇が。その為、境内には菊の神紋も。境内はそれほど広くはありませんが、どこか高貴な雰囲気の漂う神社です。
同じく敦賀市内にある景勝地「気比の松原」。静岡県の三保の松原、長崎県の虹の松原と共に日本三大松原と呼ばれる「気比の松原」。広大な松林はその名が神社から付けられた、もともと気比神宮の神苑とされていた場所。気比神宮がかつてこの地に絶大な勢力を誇っていたことが容易に想像できますね。
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地図を見る気比神宮のパワースポットとして人気のある『長命水』。大鳥居から参道を進めば二の鳥居のすぐ手前に見えてきます。亀の口から湧き出ている霊水は、地元民からも信仰されていて「この水を一口、年の初めに飲めばその年は健康でいられる。」などという言い伝えもあるそうです。
この『長命水』は気比神宮の造営中に突然涌きだしたと伝えられています。ご祭神の仲哀天皇・神功皇后・日本武尊・応神天皇・武内宿禰命はいずれも無病息災・延命長寿にご利益のある神様!特に武内宿禰命は大変長生きをされた神様であるそう。『長命水』はそんな神々の御神徳が宿る神水として信仰されているのです。
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地図を見る俳人・松尾芭蕉は「おくのほそ道」の旅で敦賀の地を訪れています。訪れたのは、ちょうど中秋の名月の前夜陰暦の8月14日。木の芽峠を経由して敦賀に入り、出雲屋という旅宿に宿泊。気比神宮、海路で色ヶ浜本隆寺を訪れたとされています。
敦賀での月見と気比神宮への参拝を楽しみにしていたという芭蕉。翌日の中秋の名月を前に、宿屋の主人から「北陸の天気は変わりやすいので今日のうちに月を見るべきだ」との助言を受け、芭蕉はそれに従って気比神宮を訪れます。そこで芭蕉は見事な月を見る事になるのですが、翌日は宿屋の主人の言うとおり、天気が崩れて雨になったそう。中秋の名月が見れなかった芭蕉は変わりやすい北陸の空模様を憂い、
「名月や北国日和定めなき」
の句を残しています。また、気比神宮で月を鑑賞した芭蕉は、月明かりに照らされた神前の白砂をいたく感動したそう。その砂は元々泥だった気比神宮の周辺を砂で埋めたとされる遊行上人の功績と知り、
「月清し遊行のもてる砂の上」
という句を残しています。芭蕉の生きている時代にも気比神宮は人々の心を惹きつける存在だったようです。
提供元:写真AC
https://www.photo-ac.com/清々しい空気に満ちた期比神宮は市民からは「けいさん」と親しみをこめて呼ばれています。2014年夏の甲子園で大活躍した敦賀気比高校ナインは気比神宮のお守りを携えて戦ったそうです。
敦賀という県庁所在地でもない場所にありながら、日本三大鳥居を持ち、北陸道総鎮守という存在でもある気比神宮。そしてそのかつての神苑は日本三大松原と、隠れた名所がある福井県敦賀市。そんな敦賀へと観光で訪れるのであれば、まずは気比神宮をお参りされることをおすすめいたします。
住所:敦賀市曙町11-68
電話番号:0770-22-0794
参拝時間:6:00〜17:00
アクセス:JR北陸本線「敦賀」下車徒歩約15分、北陸自動車道「敦賀IC」下車約10分
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この記事を書いたナビゲーター
bow
京都生まれ、京都育ちの生粋の京都人です。仕事で全国を飛び回り、京都の良さを再認識したため、京都の観光に携わる仕事をしています。全国を旅した経験と、観光業界に生きる人間としての視点、更には京都人ならでは…
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