写真:乾口 達司
地図を見るコンテストがおこなわれるのは稲淵地区。石舞台古墳から車で飛鳥川沿いにさかのぼっていくこと5、6分で稲淵地区に到着します。山々が迫ってきていることもあり、稲淵の田畑は棚田状に作られており、その美しい景観から「日本の棚田百選」に選ばれています。明日香村をこれまでにめぐった人でも、稲淵まで足を伸ばしたことのある人は圧倒的に少ないはず。秋の稲淵を訪れたら、まずは金色に輝く棚田のある風景を堪能しましょう。
稲淵に入ったら、飛鳥川の対岸に広がる広大な棚田に目をやりましょう。すると、棚田のなかを通る農道沿いに何やら点々と立っているのがおわかりになるでしょう。そう、それこそコンテストの主役であるかかしたち。写真のように、かかしたちがそれぞれ間隔をとりながら棚田の上の方まで並んでいます。
ちなみに、これらのかかしはコンテストの一環として、一般から募ったもの。お彼岸の時期におこなわれる「彼岸まつり」(2014年は9月21日)の当日、見学にやってきた観光客の投票によって、それぞれの優劣が競われます。
写真:乾口 達司
地図を見るなかでも、稲淵をのかかしを代表するのは写真の「ジャンボかかし」。ご覧のように見上げるほどの巨大さを誇っており、はるか遠くからでもその存在を確認することが出来るほど。もちろん、大きいだけに製作にもかなりの日数を要します。まさしく稲淵の主のような存在ですね。
写真:乾口 達司
地図を見る写真は昨年のコンテストにおいて最優秀作に選ばれた「奉納踊り」。鹿児島県薩摩川内市藺牟田麓地区に伝わる「田の神戻し」をモチーフにしたものです。ご覧のように、若者たちが田の神をとりかこんで踊っていますが、そうやって田の神を喜ばせることにより、五穀豊穣を祈願しているのでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは「神の使いの女の子」と題された作品。注目したいのは、女の子の後頭部にもう一つの顔が隠されていることです。その顔は何とキツネ!キツネは農耕の神・稲荷の使いとされており、女性とキツネという二重性がやはり五穀豊穣の願いを象徴的に表現したものであるといえるでしょう。製作者の豊かな学識がうかがえる一作です。
写真:乾口 達司
地図を見る「豊作を祈って」と題された写真の主はカエル!もちろん、カエルも稲を荒らす害虫を食べてくれる欠かせない存在です。カエルがあたかもお地蔵さま(石仏)のようにかたどられていることからも、カエルが稲の発育にとっていかに大切な生きものかがおわかりになることでしょう。しゃもじを手にしてすましている様子もユーモラスですね。
もちろん、今回、紹介したかかしはたくさんのなかのほんの一部に過ぎません。それでもこれほどまでにバラエティと独創性に富んでいることがおわかりになったのではないでしょうか。かかしは8月下旬から11月下旬までは棚田沿いの道端に展示されているので、稲穂が金色に輝きはじめるこれからの季節、明日香村散策のついでに稲淵地区まで足をのばし、魅力的なかかしたちの姿を堪能してみてください。
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この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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(2025/1/19更新)
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