ここ「紫藤廬(ツートンルー)」は大正末期の日本統治時代に官舎として建てられたもの。すでに80年以上の時を経た歴史的建造物である。1997年には正式に台北市の古跡として認定された由緒あるものである。
玄関の間の奥には「大庁」と呼ばれるかつてのリビングがあり椅子とテーブルが並ぶ部屋となっている。
腰をおろし店内を眺めると生け花や掛け軸、何気なく置かれた小物にも細やかな気遣いがされていることが感じられるだろう。華美さを嫌うように、穏やかな澄んだ静けさが漂う。その風雅さを味わって頂きたい。
「大庁」から窓の外に目を向けると鯉の泳ぐ池があり、その上には長く年月を経た藤の木が、店名となるに相応しく見事な棚となってひろがる。花の頃に訪れたなら、さぞや見事であろう。
訪問時は花の季節ではなく雨も降っていたのだが、かえって穏やかな静けさに包まれるようだった。決して広くは無いのだが、四季それぞれにささやかな喜びを見つけだすことが出来る、そんな期待に応えてくれそうである。
窓から眺めるだけでなくぜひ庭に出て、ご自分だけの宝物を見つけてほしい。
台湾茶というと、道具も多く手順もややこしいのではというイメージを持つ方も多いのではないだろうか。しかし「香り」「色」「味」を十二分に楽しむための道理を知れば、おのずからそれぞれの道具が持つ働きと、必要な動作が明らかになる。お店の人の懇切な説明を聞きつつ、そのなめらかな動きを見れば、あなたも今日から茶人の仲間入りである。
日本語の出来るスタッフもいるが、いない場合は英語での対応となる。もし分からなくなっても、恥ずかしがらずに何度でも聞き、おいしく入れられるまで何杯でも挑戦しよう。こちらのお茶はどれを選んでも後味さわやかで、いくら頂いても飽きることが無い。メニューにはそれぞれのお茶の特徴が詳しく書かれているから、店員さんに相談しながら自分好みの茶葉を探そう。気に入れば購入ももちろん可能だ。
忘れてならないお茶菓子も、素朴で上品なものが様々揃い、こちらも同じく購入可。
せっかくだから、他の部屋も覗いてみよう。ここ「佑庁」は畳敷き窓枠などのしつらえなどを見ると大正モダンの色合いが濃く、いかにも日本統治時代の建物らしい。デザインの自由な軽さと、大切に使い続けられてきた歴史の重みとがあいまって、味わい深い趣である。
他にもギャラリーとして使われている「花庁」。個室の座敷である「紫蘇房」などがあるので出来れば全室制覇してみたい。
もちろん他のお客さんの迷惑にならなければだが。
ここ「紫籐廬」ではランチも頂ける。メインは魚、鶏、ベジタリアンメニューが基本だが、他にも内容が変わるお勧めメニューもある。
いずれを選んでもやさしく清々しい味と食感で、観光中のハードな食事で疲れた胃袋とこころを癒してくれる。まさに茶藝館らしいその精神そのままのランチといえる。
お茶だけで終わらず、ぜひお試しあれ。
訪れて感じることは、日本式家屋のなかで楽しむ台湾茶というものが違和感なく一体しているということだった。
様々な歴史の現実を超え、両国それぞれの「よきこころ」が創り上げた一つのかたちがこの「紫籐廬」ではないか。
この店ではお茶や食事だけではなく、それ以上のものを味わうことができる。
ゆっくり時間をとって訪れて頂きたい。
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