鹿児島県垂水市中心部から東方約6kmの鹿児島百景に選ばれている猿ヶ城渓谷。清らかな流れのキャニオニングスポットとして夏期は多くの観光客が涼を求めて訪れます。
猿ヶ城は県内の温泉ファンにも知られる地で、内之野鉱泉と呼ばれる放射能泉が湧出しています。この地域では昭和中期まで公衆浴場が営まれていましたが一時衰退。しかし昭和51年以降は旅館併設の内湯として再開されました(現在は貸切湯のみの営業となっています)。きり傷に効く湯と言われ地域住民にも親しまれてきた内之野鉱泉が、古くからある「猿ヶ城温泉」と呼ばれる温泉です。
そして現在、この類い稀な湯を活かそうと垂水市の企業が猿ヶ城渓谷内に新たに温泉掘削を行ない、2014年9月「財宝健康保養センター猿ヶ城ラドン療養泉」がオープンしました。
「財宝健康保養センター猿ヶ城ラドン療養泉」(以後「猿ヶ城ラドン療養泉」)には、放射能泉の大浴場と単純硫黄冷鉱泉の貸切湯、そしてセラミックボールを使用したサンドバスがあります。大浴場含む全ての浴室は完全予約制で事前に電話連絡を行わなければなりません。県内いくつもの温泉をまわってきた筆者も流石に大浴場の予約は驚きです。芋の子を洗うような状況ではなく利用者にゆったり温泉を使ってもらいたいという施設側の配慮を感じます。
こちらの温泉施設を運営するのは温泉水の販売も手掛ける企業。受付時に十分な水分補給をとの事で温泉水入りのペットボトルを渡されます。いかにも温泉水の製造が盛んな垂水らしいサービス。というのも垂水市内には温泉水の製造販売を行なっている企業が幾つもあり、中には入浴料金の代わりに温泉水を購入する事で入浴させてくれるユニークな温泉施設もあります。温泉の恩恵を受けるご当地ならではのおもてなしです。
放射能泉の定義には、温泉水1kg中にラドンを3ナノキュリー(=8.25マッヘ単位=111ベクレル)以上含有。単純弱放射能泉・含弱放射能泉のラドン含有量は8.25マッヘ単位/kg以上50マッヘ単位/kg未満。単純放射能泉・含放射能泉は50マッヘ単位/kg以上。というものがあります。計算すると「猿ヶ城ラドン療養泉」のラドン含有量は50マッヘ未満となり弱放射能泉と呼ばれる泉質になります。放射能泉に馴染みの薄い方には理解しにくい数値で実際入浴しても「これぞ放射能泉!」と表現できる言葉は筆者には思い浮かびません。これは浴感がどうとか匂いがどうとかというものが特筆すべきものがなく、よく分からないのと言うのが本音です。これは筆者の温泉入浴レベルの問題なのかもしれませんが温泉通の方でも「放射能泉はわからない」と仰る方も多いと言う事だけ付け加えておきます。
「猿ヶ城ラドン療養泉」は源泉温度が26℃と低く加温はされてはいますがぬるめでゆっくり温泉成分を体に吸収できる温泉です。ラドン温浴は免疫力や自己治癒力が高まると言われており、昨今ラドン温浴が臨床医の間で注目を集めるようになってきており、生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症など)や美容にも使用されるようになってきました。特に重要なのは吸引。ラドン温浴では湿気の中に溶け込んだラドンを吸入する事が重要と言われています。冒頭でも書きましたが放射能泉は多種の適応が期待できる湯である為、成分表に記載されている数値を信じて「この温泉は効く」と信じてお入り頂ければ幸いです。
「猿ヶ城ラドン療養泉」には脱衣所にタオルこそ用意はされていませんが、それ以外のアメニティは全て完備。温泉水を使ったこだわりの自社製ボディソープやシャンプー、リンス。そして浴後のスキンケア用の化粧水や保湿スプレーなど。無料ドライヤーもあります。
浴後は一面ガラス張りで周辺の美しい景色が眺められるリラクゼーションルームへ。無料で利用できますので温泉水を飲みながらゆっくりとした時間をお過ごしください。
タオル一枚あればあとは何も要りませんので垂水市に訪れた際、観光やレジャーの後にレアな泉質に「会い」に行かれてみてはいかがでしょうか。
事前の予約電話は忘れずに。
【施設名】財宝健康保養センター猿ヶ城ラドン療養泉
【住 所】鹿児島県垂水市新御堂鍋ケ久保1337-10
【電 話】0120-94-1238(フリーダイヤル)
【泉 質】弱放射能泉、単純硫黄冷鉱泉
【適応症】高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など
【料 金】1,200円〜3,000円
「猿ヶ城ラドン療養泉」は定期会員になると全ての浴場、浴室利用料金が半額となるサービスもありますのでお問い合わせ時にご確認ください。
筆者運営サイトにも問い合わせが多いので「LINEトラベルjp 旅行ガイド」でも記載いたしますが、「猿ヶ城ラドン療養泉」は「高隈ラジウム猿ヶ城温泉」(以後「猿ヶ城温泉」)ラドン含有量100億分の787キュリー(約2,865マッヘ)。日本一とまではいかないものの数値が正しければ日本有数のラドン温泉といわれている「猿ヶ城温泉」と「猿ヶ城ラドン療養泉」は異なります。敷地、泉源も別ですのでお間違いなきようお願いいたします。
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(2024/12/5更新)
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