小川町駅から歩いて約10分。しっとりと閑静な住宅街のなかに昭和モダンな和洋折衷の建物があらわれます。小川和紙づくりの体験と研修施設になっている、小川町和紙体験学習センターです。旧埼玉県立製紙工場試験場で、昭和11年に建てられました。
入り口を入ると、とたん、昭和時代にタイムスリップしたかのような感覚になります。こげ茶に塗られた板張りの廊下に、沈んだねずみ色の扉。真白い壁。左奥の応接室には西洋調の家具がしつらえられています。廊下を右手に進み、左手には畳の部屋があります。
学習センターの入り口を入って左手に建物を抜けると、右手に研修室と和紙機械室があります。薄ピンク色に塗られた壁に赤い屋根がかわいらしい木造の建物です。
和紙機械室にある、高さ約3メートルほどの巨大な機械は、西洋紙に対抗して和紙を大量生産するために試験的に作られました。
機械を導入したものの、西洋紙に対して、和紙の原料は高く、質を考えれば、手漉きの風合いの良さを残したほうがいいということで、機械漉きはひろまりませんでした。
今はもう稼働することはないそうですが、動かそうと思えば動くと思います、という施設の方のお話です。
原料をほぐす機械部分のみ、現在も使っているそうです。小川町では埼玉県内の中学校の卒業証書を漉いているので、そのために大量の原料を加工する必要があります。
年間を通して、和紙づくりの体験ができます。
原料づくりから学べる本格的なコースから、数時間で簡単に漉けるコース、紙の大きさによっても体験が選べます。
写真は、本格的な二三判(約60×90センチ)サイズを漉いています。
親子で参加しても楽しいですね。
はがきを漉いて、年賀状やお祝いのカードを作る方もいます。
紙漉きといえば、水が重要です。
ここ、小川町は、槻(つき)川と兜(かぶと)川にはさまれた盆地になっており、材料である楮の皮をやわらかくするために、川の水にさらしていたそうです。
江戸時代は、消費地の江戸から一番近い紙の里として栄えました。冬場のよく晴れた日には、漉きあがった紙が天日に干されました。その光景は、千金に値する紙ができる、という意味から「ぴっかり千両」と呼ばれました。
そんな歴史に思いをはせながら和紙を漉くと、できあがりの感動もきっとひとしおです。
小川和紙学習センターは、紙漉きをしなくても、営業時間中はいつでも見学ができます。企画展もときどき開催されています。ホームページがありますので、情報を確認してぜひお出かけください。手漉き和紙で作られたはがきやうちわ、便箋なども販売しています。旅の思い出におすすめです。
周辺にも、和紙関連施設が点在しています。ハイキングコースも豊富ですので、春、夏、秋は特におすすめです。そして、冬場は和紙づくりにもっとも適した季節です。
小川町駅を降りて、商店街をまっすぐ、左手に小川町観光案内所「楽市おがわ」がありますので、ぜひご利用くださいね。
【小川町和紙学習センターへのアクセス】
東武東上線「池袋駅」から急行75分「小川町駅」より徒歩10分
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