写真:吉川 なお
地図を見るフランクフルトからインターシティ・エキスプレス(ICE)に乗って約1時間で、ドイツ4番目の都市ケルンに到着します。世界遺産の『ケルン大聖堂』があるこの街は、国際的な見本市や展示会が行われる産業都市であり、ドイツ最大のカーニバルの開催地かつオーデコロンの生産地でもあります。
ケルン中央駅を出るとすぐ、すっくと空に向かって伸びる『ケルン大聖堂』の黒い双塔が目に入ります。高さ157メートル、ゴシック建築としても世界最大級の大きさを誇るこの大聖堂の歴史は4世紀に始まり、12世紀後半にイエス・キリストの誕生に立ち会った東方三博士の聖遺物が安置されたことで聖地となりました。3代目となる現在の聖堂の建設は1248年に始まり、財政難で中断された後19世紀に再開され、建設開始からなんと632年後の1880年に完成しました。第二次世界大戦で被害を被りましたが、1956年に復元され、見事な彫刻や鮮やかなステンドグラスも蘇りました。
一時、周辺の高層建築物計画による景観破壊の危機にさらされて世界危機遺産に指定された時期もありましたが、大聖堂の周囲に高さ規制を敷くなど市当局の懸命な努力によって解除され、その迫力ある壮麗な姿は永遠に人々の心にインパクトを与え続けます。
ケルン大聖堂ほど、天空に向かってそびえるという表現がぴったりくる聖堂はありません。とにかく大きい!そして黒い!
実際に目にした人は皆、その圧倒的な存在感にしばし言葉を失います。そしてしばらくすると、施されている彫刻の精密さに二度びっくりします。ファサードはもちろんのこと、枝のように突き出した1本1本の尖塔にまで緻密な装飾が施され、まさに世界遺産にふさわしい美しさと威厳を兼ねそろえた芸術品です。
すごいのは外観だけではありません。聖堂内、荘厳な空間の中もやはり天に突き上げるような構造で、私たちをより厳粛な世界にいざないます。
そして何よりも見逃してはならないのが、周囲を彩るステンドグラス!中でも南側にあるバイエルン王ルードヴィッヒ1世が寄贈した「バイエルン窓」はこの聖堂の至宝となっています。
写真:吉川 なお
地図を見る写真:吉川 なお
地図を見る「バイエルン窓」は全部で5枚。入り口手前から「荒野で説教する洗礼者ヨハネ」、「キリストの誕生・東方三博士の礼拝」、「キリスト哀悼・ピエタ(写真)」、「聖霊降臨」、「聖ステファヌスの殉教」で、全てにバイエルン王ルートヴィヒ1世から寄贈されたことを表す「バイエルンの紋章」と「寄贈を示す文字」が記されています。どれも鮮やかな色彩の臨場感あふれる傑作なのでお見逃しなく!
それから、物議を醸したステンドグラスも必見です。現代絵画の巨匠ゲルハルト・リヒターが第2次世界大戦で破壊された部分を、72色からなるカラフルな抽象的デザインで飾ったもので、 大司教のヨアヒム・マイスナー枢機卿はこれを気に入らず、お披露目会を欠席したといういわくつきのものです。そんなことは知らぬとばかりに、今日もそこから反射する光は美しく聖堂内に差し込んでいます。
写真:吉川 なお
地図を見るマイン川とライン川の合流点に位置する『マインツ』にはフランクフルトからSバーンで約40分で行くことができます。
ドイツ最大のワイン産地でもあるこの街は、羅針盤、火薬と並んでルネサンス期の三大発明とされている活版印刷を発明したヨハネス・グーテンベルクの出身地であり、市中心部にある「グーテンベルグ博物館」ではグーテンベルク自らが印刷したとされる世界最古のラテン語による旧約・新約聖書「グーテンベルク聖書」や当時の印刷機を見ることができます。
その向かいに建っている赤茶色の「マインツ大聖堂」は、度重なる増改築によってロマネスク、ゴシック、バロック様式が混在する今の姿となりました。マインツの大司教は代々神聖ローマ帝国の選帝侯であったため、その権威は高く、内陣のステンドグラスに歴代の大司教の名前、紋章、在籍期間が記されていることからもそれを伺うことができます。
写真:吉川 なお
地図を見るマインツ大聖堂の裏手は第二次世界大戦の戦災を免れた木組みの家が建ち並ぶキルシュガルテン地区。その高台に、世界中から観光客が訪れる「ザンクト・シュテファン教会」があります。この教会を有名にしているのは、戦火で破壊され再建する際に95歳のシャガールが渾身込めて完成させた青いステンドグラスで、彼特有のタッチで聖書をモチーフにした世界が描かれ、青い光が差し込む清々しい空間はただただ美しいの一言!その神々しい雰囲気の中にいると、しばし時間が立つのを忘れてしまいます。
ケルン大聖堂の迫力は目の前に立って見上げるとよくわかります。近年日本人サッカー選手の活躍で注目されるようになったマインツも、小さい街ながらも見どころが多い静かな街です。
フランクフルトから少し足を延ばして、世界遺産の荘厳な聖堂と幻想的なシャガールブルーを見に行ってみませんか。
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この記事を書いたナビゲーター
吉川 なお
台湾の台北市に住む専業主婦の吉川なおです。台湾生活はもう8年ですが、常に新しい発見のあるこの国が大好きです。在住者だからこそ知っている生情報やお薦めのレストランなど、台湾の旅がより思い出深いものになる…
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