写真:渡部 洋一
地図を見る「世界一美しい広場」と称されるカンポ広場は、中世の広場としてはヨーロッパで最も大きいものの1つです。その美しい扇形は「貝殻を広げたよう」とも言われ、扇の付け根部分に向かって緩やかに下るスロープを描いています。
この緩やかな傾斜は人々が座ったり寝転ぶのに最適です。傾斜に合わせ足を下にして座ると、視線の先に、マンジャの塔が堂々と聳えています。
写真:渡部 洋一
地図を見るカンポ広場に建つ、ゴシック建築の傑作プッブリコ宮(市庁舎)。その建物の東端からマンジャの塔は伸びています。その高さ、102メートル。建設当時イタリアで1番(2番目という説も)の高さを誇ったと言われ、現在でもシエナ大聖堂と並びトスカーナで1番高い塔です。レンガを高く高く積み上げたその堂々たる勇姿は、まさにシエナのランドマークです。
塔に登る前に、まずはその建築美をじっくりと堪能しましょう。イタリアの空に真っすぐ伸びる美しいマンジャの塔を、中世以降何百年もの間、人々は見上げてきたのです。
写真:渡部 洋一
地図を見るマンジャの塔には、残念ながらエレベーターはありません。約400段とも500段とも言われる階段を、自分の足で登るしかありません。しかも中世に造られた階段の幅や傾斜は、決して登り易いとは言えません。
しかし、その先には階段を登りきった者だけが味わえる絶景が待っています。せっかくイタリアのシエナまで来たのなら、是非ともマンジャの塔の登頂に挑戦しましょう!
写真:渡部 洋一
地図を見る最上階にたどり着き、心地よい疲労感に包まれながら外に目を向けると、眼下には中世の美しい町並みが広がります。真下に見えるカンポ広場の形が貝殻に例えられる理由もよくわかります。
人々は広場に座り込みお喋りに花を咲かせ、寝転んで憩いの時を過ごす。周囲にはレストランのテーブルが並べられ、食事時を待つ。きっと何百年もの間変わらずにこの塔が見守ってきた光景です。
この広場では年2回、競馬が行われます。1644年から続くパリオというその伝統行事の日、広場の外周に土を敷き詰め、そこを馬が全速力で駆けるのです。非常に急なカーブを曲がるため、落馬事故が絶えないにもかかわらず数百年間続いてきたその祭りは、シエナに暮らす人々のアイデンティティとなっています。広場ののどかな日常も魅力的ですが、世界中から人々が集まるパリオの日にも、是非訪れてみたいものです。
写真:渡部 洋一
地図を見るカンポ広場から目線を上げると、シエナの美しい町並み、その向こうにトスカーナの丘陵地帯が広がります。
茶色がかった屋根の波は、まさに中世の町。路地が複雑に入り組んでいる様が、上から見下ろすとよくわかります。
この町の色が、絵の具の「Sienna色」の名前の由来になったとも言われています。派手さはありませんが、時を重ねた奥ゆかしさのある魅力的な色です。
マンジャの塔から眺める古都シエナの風景は、ヴェネツィアやフィレンツェのような、目に焼き付くほどのオレンジ色ではありません。真っ白な雪に輝く切り立った山々が聳えているわけでもありません。しかし、これもまた本当に美しいイタリアの風景だと自信を持って言える、トスカーナの絶景です。
シエナはもちろん、散歩の楽しい町です。歴史ある建物に囲まれ曲がりくねった迷路のような路地を歩いていると、本当に中世に迷い込んだかのような気分になります。しかし、それだけで終わらないのがシエナの魅力です。町歩きをしながらどうしても気になってしまう高い塔。フィレンツェと並び称される古都シエナの魅力を存分に味わうのなら、是非ともマンジャの塔に登り、中世の町を見下ろしてみることをオススメします。
魅力のある町は、歩くだけでなく高いところから俯瞰するのもまた良いものです。
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(2023/12/4更新)
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