写真:Ise Shinkurou
地図を見る庄内藩の藩主で徳川家の譜代大名でもある「酒井家」は、数々の困難を乗り越えながらこの地方を治め続けました。そしてその功績を250年以上支え続けた侍たちの士風を創り出したのが、藩校「致道館」と言われています。
さらに当時「朱子学」を藩学とする藩が多い中で、徂徠学(そらいがく)と言われる孔子の教えを研究する学問を教えた珍しい学問所でもあります。
藩校と言えば水戸藩・弘道館や長州藩・明倫館等が有名ですが、ここ致道館は冬は雪に閉ざされる東北地方の藩ならではの雰囲気を愉しんで頂ける素晴らしい歴史遺産。
まず最初に、隣接する駐車場から目を奪われるのは表御門と左右に伸びる白壁。この堂々とした佇まいは、この建物がいかに藩内で重要視されてきたかを物語っているようです。江戸の末期、幕府側である庄内藩の藩校が、江戸から明治への変革期にも耐え続け、ほぼ往時のままの姿を見せてくれるとは本当に感激!
芝生と門のコントラストが美しく、学問所としての厳粛な雰囲気を醸し出していますので、まずゆっくりと外観をお愉しみ下さい。
そして門を潜る時に少し上に目を!架かっているはずの扁額が見当たりませんよ。江戸の頃幕府の命令で外されたままの扁額は、次にご紹介する講堂内に置かれています。やはり歴史を物語ってくれる貴重な門ですね。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る現在の敷地は7000平方メートルで、広い敷地内には聖廟(せいびょう)講堂・西御門・東御門等が現存しており、これらは国指定史跡であるとともに、藩校の付随施設としては、東北地方で唯一現存する建物でもあります。
講堂内の廊下は黒光りするほど磨かれ、障子から入り込む優しい光と、内部を流れる凛とした空気は、数百年の時の流れを感じさせない程。きっと武士が学んだ往時のままの空間なのでしょうね。
また館内には多くの貴重な文献が展示されています。学問に関する文献だけでなく、先にご紹介した扁額を始め、戊辰戦争の頃の資料、敗戦後の西郷隆盛との友好の資料等、とても興味深い展示品が多いのも特徴。
平和な時代だけでなく激動の時代を見つめた藩校としてきっと満足して頂ける内容の展示です。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る直木賞受賞作家である藤沢周平の作品には、下級武士の暮らしが生き生きと描かれていますが、そこに登場する海坂藩は小説内の架空の藩。ですが庄内藩がモデルになっているとも言われ、鶴岡市内で多くの映画が撮影されました。
致道館でも「蝉しぐれ」「花のあと」「十三人の刺客」「花のお江戸の釣りバカ日誌」等の撮影が行われ、往時の雰囲気を色濃く残す場所として話題を呼びました。
中庭を散策していると、映画のワンシーンを思い出しますが、いえそれ以上に、この場の持つ雰囲気そのものが、江戸時代なのですよ!筆者お勧めの景観です。
敷地内に残る古木。板戸から覗いている白さ輝く障子。藩士の子弟のざわめきまでも聞こえてきそうな中庭を、是非ゆっくりと散策してみて下さいね。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る建物内には、藩主がお成りの時に使用された「御入間(おいりのま)」が4室残っており、特にお勧めは御居間(おいま)と呼ばれる部屋。
この部屋は賊や敵そして隠密の侵入を防ぐために、天井・床下が工夫されています。酒井家の藩主の250年間の苦労を感じ取れる興味深い部屋だと思われませんか?
また致道館の最盛期には生徒数350名程だったと言われており、講堂の東側には校舎の間取りが平面的に造られています。是非そちらへも足を運んでみて下さい。それらの建物は現存しませんが、いかに大きな藩校であったか想像して頂けると思います。
「致道館」
開館時間 9:00〜16:30
休館日 毎週水曜日・12月29日〜1月3日
入館料 無料
先にご紹介したように致道館・鶴岡城址周辺には多くの映画・ドラマの撮影スポットが点在しています。映画ファンにお勧めの「鶴岡撮影スポット」廻りはいかがでしょうか?下記のMEMO欄からどうぞ。きっとお気に入りの映画のワンスポットを見つけ、映画の世界に迷い込んだ素敵な散策を満喫して頂けます。
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(2024/3/29更新)
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