江戸時代の享保5年(1720年)創業の「奥飛騨酒造」は、この地方では「筋骨」と呼ばれる小路が今でも張り巡らされた、歴史情緒溢れる街並みの中にあります。国道41号線沿いの「ドライブイン飛山」から徒歩でおよそ5分、JR金山駅からは、徒歩でおよそ10分の場所です。
黒の格子戸が印象的な、がっしりとした佇まいの建物は明治初期に改築され、店舗としてだけでなく、現在も住居として使われています。この建物自体にも、長い歴史が感じられます。
また、内部の一角は「酒造資料室」となっており、岐阜県から「まちかど美術館」として指定を受けています。
暖簾をくぐり、石畳の通路の残る広い店内に入ると、右手側は「奥飛騨酒造」で作られたお酒が並び、試飲も出来るスペースになっています。
奥飛騨酒造は、天然の鮎や岩魚が生息する清流「馬瀬川」と「飛騨川」が合流する地点にあるので、自然の恵みである伏流水を仕込み水として使い、お酒を造っています。美味しい日本酒造りには欠かせない、美味しいお水が豊富な場所でもあります。
社名にもなっている「奥飛騨」と「緑と水に囲まれた山里の酒」という意味が込められた「初緑」は、岐阜県を代表する銘酒でもあります。
また「初緑」は、江戸時代後期、天保年間に尾張の殿様に命名され、尾張藩御用達のお酒にもなった歴史ある銘柄です。
店内の一番奥に囲炉裏の一角があり、お酒にあう酒器やお猪口、銘柄の入った蔵元前掛けなどの小物も並んでいます。また、写真と共に、酒造りの行程も説明されています。
壁際のショーケースには、蔵に残されていた古い酒器や壺など、歴史的価値の高いものが展示されています。このショーケースは試飲スペースまで続いており、その他にも、江戸時代の生活や文化に触れられる品々も展示されています。
それでは、代表的なものをご紹介しましょう。
天保5年から、実際に使われていた帳簿「大福酒貸勘定帳」が展示されています。掛け売りが商売の基本だった時代の貴重な資料です。
売掛金の内容が細かく記され、この帳簿をもとに、年2回「盆・暮れ勘定」と呼ばれる集金をしていました。
帳簿の分厚さや冊数が、宿場町として繁栄していたことを物語っています。
江戸中期以降人気の高かった「享保雛」が、とても綺麗な状態で展示されています。面長で切れ長の目、能面に似た静かな表情、綿の入った衣装などが特徴です。この頃から大ぶりな人形が作られ始めたと言われています。
商家から庶民まで幅広く流行し、江戸時代を代表するお雛様としても有名で、この時代の文化・風習を知ることの出来る貴重なものです。
江戸時代から時代と共に歩んできた「奥飛騨酒造」ならではの品ですね。
古い街並みの残る「金山宿」散策とセットでおススメしたい「奥飛騨酒造」。下呂市金山町を訪れた際は、是非とも足を運んで頂きたいお店のひとつです。
事前に予約をすると、蔵の様子や創業当時からのお酒造りの歴史や行程などの説明や、実際に使っている半地下の貯蔵庫にあるタンクなども案内頂けます。予約の詳細はMEMO欄のホームページをご確認下さい。
「奥飛騨酒造」を通じて、江戸時代に繁栄していた「金山宿」の歴史、文化、風習に触れてみては如何でしょうか。
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