ディンケルスビュール(Dinkelsbühl)は近代ドイツの3つの戦争、30年戦争・第一次大戦・第二次大戦と遭った中で、殆ど戦火を浴びていない非常に珍しい街なのです。特に第二次世界大戦では重火器によるドイツ進攻で、南北近隣のローテンブルグやネルドリンゲンはかなり破壊されたのに対し、ここだけは殆ど戦火を浴びていません。そのため城壁と建物は建築当時の姿のまま、丹念に整備され、今の時代まで引き継がれています。
街自体の大きさは決して大きくなく、散策コースは街のアクセス拠点となる市庁舎広場から、マルクト広場を経て南東のネルドリンガー門方面や、マルクト広場にある聖ゲオルク教会辺りが、最初のお勧め先です。半日もあれば、町中のオレンジ色の屋根と、木組みの家々の街並みを堪能出来ます。さあ、600年前の中世のドイツにタイムスリップしましょう。ロマンチック街道の旅程の一つに組み入れて見ませんか?
ディンケルスビュール(Dinkelsbühl)は1985年に鉄道による旅客輸送が廃止されたため(写真)、アクセスは大変限られてしまいます。本来はレンタカーでのアクセスが一番のお勧めなのですが、海外での運転はちょっと? という方むけの公共交通機関の利用となると、北側のローテンブルグからヨーロッパバスで40分程、もしくは南側のネルドリンゲンから路線バスで40分程の行程となります。そしてどちらも運行本数は多くなく、またバス停も城壁の外の街外れ、鉄道駅舎跡付近にありますので、訪問したらその日は滞在という旅程を組むことをお勧めします。
街を囲んでいる城壁にある門に上って外を見た後は、中世の街で一泊して15世紀の朝を迎えてみませんか?
ドイチェスハウス(Deutsches Haus)は典型的な木組み造りの家で、木造としては5階建てとかなり大きな建物です。しかしながら、日本合掌造りに似た、急な傾斜の深い屋根をもった構造のため、3階より上は基本的に屋根裏部屋となっています。そして宿泊者の収容能力も小さい事から、大型の団体ツアーには向きませんので、日本人宿泊者は殆どいません。もちろん各階迄のエレベータはありませんから、部屋までは狭くて暗い階段を上ります。でも階段脇にはアンティックな調度品があふれ、本当にタイムスリップした実感を味わって頂けるとおもいます。
更に、このホテルの一階はレストランとなっており、宿泊者以外でも大勢の地元住民が食事を楽しんでいます。気さくなドイツ人と賑やかに話しながら、ドイツ料理を満喫できます。そして食事の後、自室に戻れば、静寂に浸れる変化に富んだ時間が待っています。
アクセスの良くない街に、規模の小さな宿泊施設。しかも狭い階段での荷物運びと、「不自由な旅3点セット」が揃っていて、非日常を味わうには最高の滞在となるでしょう(笑)
このホテルで一番広い2階。そこに2部屋ある、やや広めのお部屋にはバスタブ以外は中世の家具で統一され、洋服掛けも引き出しもアンティックな雰囲気が漂います。窓の外のフラワーポットも床板、窓枠に至るまで、木の温もりが感じられ、旅の疲れを癒やしてくれます。そのなかで一番の圧巻は天蓋付きのベッドなのです。まるでマリー・アントワネットにでもなったかのような豪華な雰囲気が漂いますよ。
お値段は他の部屋よりやや高価ですが、中世の朝の目覚めには心憎いまでの演出です。
旅の中で、1日位は何もしないでいたい。旅通ならそんな思いが心をよぎるものかもしれません。そんな贅沢な旅を演出してくれる、ディンケルスビュールにぜひお立ち寄り下さい。
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