行義路温泉は台北で最も有名な北投温泉の近くに位置しており、付近に聳える山に因んで紗帽山温泉と称されることもあります。山裾の谷あいに20軒以上の日帰り温泉入浴施設が営業しており、規模の大小や、露天風呂の有無など、施設によって相違点があるものの、多くの施設では以下の共通点が見られます。
・お風呂は24時間営業
・硫黄で白濁した酸味のある温泉が大浴場に引かれている。
・レストランを付帯しており、そこで一定金額以上(大抵は400元以上)の食事をすれば、無料入浴券がついてくる。
・食事をしなくても、200〜250元で入浴のみの利用も可能
・お風呂が男女別に分かれており、日本のように全裸で入浴する(水着は不要)
・個室風呂(家族風呂)を兼備している。
台湾の温泉地は施設によって営業形態や入浴スタイルが異なるのですが、この行義路温泉ではどの施設でもこの共通基準で営業しており、しかも日本の露天風呂と同じく裸で入れることから、今では日本人客の利用も増えています。
お風呂に入るだけでしたら、日本の温泉と同じく入浴料を支払えば利用できるのですが、行義路温泉の各店舗では、付帯するレストランで一定金額以上注文すると、その店のみで利用できる無料の入浴券が発行されます。ということは、ランチや夕食のタイミングで利用すれば、食事と入浴の両方を効率よく楽しむことができるわけです。
でも、大抵の店舗では400元(2014年9月現在、日本円で1400円強)以上がその発行条件となっています。庶民的なお店や夜市の屋台でしたら、日本よりかなり安い金額でお腹いっぱいに食事ができる台湾において、400元以上の注文をするとなると、果たしてどのくらいの量になってしまうのか、不安になる方もいらっしゃるはず。そこで実際に私が注文した例をご紹介しましょう。
写真は私が一人で訪問した「紗帽谷温泉餐庁」という店舗で注文した「空心菜のスパイシー炒め」と「茹で豚のガーリックソース掛け」です。これにコーラをつけたところ、400元オーバーとなりました。行義路温泉の各レストランは、庶民的なお店よりもメニューの相場が高く、ドリンクを含めた2〜3品で400元を超すことができるようです。しかしながら一人で完食するにはボリュームが多く、大食漢の方でないと残してしまうでしょう。
従いまして、複数人数で会食する場合は、無料入浴券を狙って当地で食事するもの良いですが、お一人や少人数等の場合は、無理してここで食事せず、入浴だけの利用に留めるのも宜しいかと思われます。
台湾では日本的なデザインに人気があり、特に日本文化の典型と言うべき温泉施設に関しては、できるだけ日本の建築様式に似せようとする施設も多く見られます。行義路温泉にもそのような店舗があり、日本人客に人気の「川湯」という店舗もそのひとつです。写真はその店舗の様子です。瓦葺きの木造建築は日本の湯治場をイメージしており、どこか懐かしさを感じる趣きとなっています。また各個室は「田沢」「秋保」など、明らかに日本の地名を意識してネーミングされています。
しかしながら、日本的なコンセプトだからと言って、日本語が通じると思ったら大間違い。店員によっては片言の日本語が通じる場合もありますが、大抵は通じませんので、メモ帳を持参して漢字で筆談するか「指差し便利帳」などを活用して、コミュニケーションを図ってください。
たとえば受付カウンターにて、「こんにちは」と日本語で挨拶しながら、ご自分のメモ帳に「泡湯 両個人」(「入浴・2人」という意味)と書いてスタッフに見せるだけで、店側は「あ、この2人連れのお客さんは日本人で、入浴したいんだな」と理解してくれるはずです。
温泉に限らず、とにかく台湾旅行では筆談を活用しましょう。
行義路温泉の各施設では、付近の龍鳳谷という地熱活動が盛んな源泉地帯より、硫黄で白濁した酸性の温泉を引いています。しかも浴室は男女別となっており、日本の温泉のように、大きなお風呂を裸で入浴できるのが嬉しいところです(水着不要)。
施設によってお風呂の特徴は異なり、開放的なロケーションが良い露天風呂が自慢の施設もあれば、日本風のデザインを積極的に採用している施設、打たせ湯やサウナなどを充実させている施設など様々です。20軒以上もある施設の全てをここで紹介することはできませんので、「行義路温泉」もしくは「紗帽山温泉」で検索し、ご自分の好みにあったお風呂を探してみてください。参考までに、日本人向けの施設を何軒かピックアップしてみます。
・「川湯」:日本風温泉施設の代表格。露天風呂の他、個室風呂もあり、設備も整っている。
・「湯瀬」:川湯の姉妹店。やはり日本風でシックな佇まい。半露天風呂と個室風呂はいずれも綺麗。24時間営業ではなく8:00〜翌2:00まで。
・「桜崗温泉会館」:内湯のみだが、大浴場からの見晴らしが良い。
・「皇池温泉」:「川湯」などよりローカルな雰囲気が体験できる。露天あり。
・「紗帽谷温泉餐庁」:ちょっと古めだがレストランが人気。お風呂も露天で、サウナなども完備。
今回私がおすすめする穴場的施設は、温泉街でも最も奥の方にある「山之林」です。施設としてはちょと古めで、小洒落ているわけでもないのですが、人気の他店と違ってあまり混雑しておらず、しかもロケーションが良いのです。写真はこの施設の露天風呂です。目の前を川が流れ、周囲に山の緑が広がっているという自然美に恵まれており、清々しく開放的な環境の中で、硫黄感の強い白濁湯に浸かることができます。
「山之林」に限らず、どの施設も温泉の濃さは本物であり、当地で湯浴みすると暫くの間は体から硫黄の匂いが漂い続け、翌日以降もその匂いが残ってしまうほどです。
【アクセス】
MRT淡水線・石牌駅の駅前より、路線バス508番・535番・536番に乗車し、「行義路三」か「行義路四」いずれかのバス停で下車します。この2つのバス停の間が温泉街となっており、バス通りから東側へ下る谷に各店舗が集まっています。路線バスの乗車に不安があれば、タクシーで行くのも良いでしょう。「行義路温泉」と書いたメモを運転手さんに見せれば大丈夫です。
【入浴上の注意】
・入浴前には必ずシャワーを
各施設の浴室にはシャワーが設置されています。湯船に浸かる前には必ずシャワーを浴びて、体に付着した汗や汚れを洗い流しましょう。台湾は入浴マナーに厳しく、守らない人に対してスタッフや他のお客さんがしっかり注意する光景もしばしば見られます。
・10元コインを数枚用意しておこう
各施設ではコインロッカーが設置されています。近年の台湾では日本式の裸入浴が人気を博しており、週末は非常に混雑しますから、盗難防止のためロッカーには必ず鍵をかけましょう。コインロッカーは10元コインを使いますので、予め10元コインを数枚用意しておくことをおすすめします。
・タオルを用意しよう
なお各施設には貸しタオルが用意されていますが、念のため各自でタオルを持参するとよいでしょう。
近年の台湾では、裸で入浴する日本式の入浴スタイルが受け入れられつつあり、日本と同じように開放的な湯浴みを楽しめる温泉も増えてきました。しかし、施設によって導入の有無が異なり、水着着用の温泉が主流であることも事実です。
そうした中、台北市街からMRT(地下鉄)と路線バスを乗り継いで気軽に日帰りできる行義路温泉は、どの店舗でも裸で入浴することができ、しかも硫黄感が強い白濁のお湯を楽しめますので、温泉好きの日本人をきっと満足させてくれるはずです。
台北で温泉が恋しくなったら、是非立ち寄ってみてください。
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