写真:鮎川 キオラ
地図を見る「やな(簗)漁」とは、川の流れをV字型にせき止め、流れの先に竹で編んだ簾(すだれ)を設けることで、鮎などを取る漁法です。せき止めた先にある簾へ川の流れを集中させるので、流れの速さに負けた魚たちが簾にかかる仕組みです。
那珂川にかけられるやなは、毎年7月末頃に設置し、10月末くらいに撤去されます。1年中みられるのではなく、夏から秋の風物詩となります。仕掛けの大きさには大小ありますが、大型のやなを完成させるには、なんと家1軒分の費用がかかるとも言われているそうです。
写真:鮎川 キオラ
地図を見る那珂川沿いには、いくつものやな場が点在しています。その多くが、観光やなとして開放しているので無料で入場することができます。やな場には、天然鮎がピチピチと跳ねまわります。その鮎を捕まえようと子供たちもキャーキャー言いながら跳ねまわる最高の川遊びができるのです。
流れを一ケ所に集中させているので、やな場の簾の部分には、すごい勢いで川の水が流れ込んできます。大人でも少し怖いなと感じるほどの迫力です。でもお子さんたちには、そんなのお構いなし。鮎のつかみ取りに夢中です。
やな場は、しっかりした造りになっていますので、落ちることはまずありません。ただ、足場となる簾部分は、細い竹を編んでいますので、靴は平たい靴底のものが適しています。裸足でお子さんを遊ばせている方も多くいますが、竹の間に小さな足が挟まると思わぬケガをするかもしれません。ぜひ濡れてもOKな靴を履かせてあげてくださいね。魚とりに夢中なお子さんは、全身びしょ濡れになりますので、お着替えは必携です。
写真:鮎川 キオラ
地図を見る那珂川のやなには、9月中下旬くらいから産卵のために海へと下る鮎が多くかかります。川に仕掛けられたやなは、漁です。天候によってたくさんの鮎がかかる時と、全くかからない時があります。鮎は、雨により川が増水した水かさを利用して下る習性があるので、雨の次の日は沢山かかると言われています。多い時は、やな場の簾が真っ白になるくらい鮎がかかるそうです。
そして、秋の那珂川には鮎ばかりではなく、運が良ければ大きな鮭があがりビックリすることも!!那珂川には、鮭が産卵のために遡上してくるんです。江戸時代には、こちらで捕った鮭は、水戸藩に献上されていたんですよ。鮭も群れで行動するので、かかる時は数匹いっぺんにうちあげられるそうです。筆者が訪れた日も、5匹の鮭がやなにかかり、遊んでいたお子さんはもちろん近くで見ていた大人も大興奮。
写真:鮎川 キオラ
地図を見るやな場で思いっきり川遊びをしてお腹がすいたら、観光やなに併設しているお食事処で鮎料理が待っています。青い空と那珂川の清涼な川の流れを眺めながらの食事は格別な味わいです。
鮎は、別名「香魚」とも呼ばれています。その独特香りを最大限に引き出す調理法と言えば、炭火焼きです。皮はカリッ、身はふっくらと焼き上げた鮎の塩焼きは、鮎料理の代表格。でも、「アユ街道」とも称される那珂川流域の観光やなでは、塩焼き以外にバラエティー豊富なな食べ方があります。
ほんのり甘い鮎のお造り。肝ごと揚げるからほろ苦い大人の味の鮎フライ。炭火で焼いた香り豊かな鮎を炊立てご飯にまぜ合わせた鮎めし。塩ではなく味噌田楽を表面につけて焼くことで、優しいお味の鮎魚でんなど。鮎=塩焼きのイメージを超える美味しさをぜひ味わってみてください。各観光やなでは、鮎料理各種を一度に味わえる定食が用意されています。お一人2,000円前後ほどで、色んな鮎の味が楽しめるのでおすすめです。
写真:鮎川 キオラ
地図を見る那珂川の中流にあたる那須烏山市付近には、複数の観光やながあります。どこも、やな場での川遊びと鮎料理が楽しめます。観光やなへ訪れる目的別におすすめ3選をご紹介します。
【小さなお子さん連れ】
「一ツ石観光やな(那須烏山市)」
那須烏山市向田1315 TEL0287-82-3894
那珂川の支流にかけられたやな場なので、迫力には欠けますが小さなお子さんを遊ばせるには丁度良い規模。食事場所はテーブル席がなく座敷タイプなので、よちよち歩きのお子さん連れにも安心。清潔感もあるので、赤ちゃんから3歳児くらいのお子さんを持つママ目線で選ぶならこちら。
【思いっきり川遊び派】
「矢沢のやな(那須烏山市)」
那須烏山市滝田1078-2 TEL0287-84-1187
県内随一の規模を誇る観光やなです。その為、鮎はもちろんヤマメや鰻、鮭など数種類の魚がうちあげられます。天候にもよりますが、うちあげられる魚の種類と量が多いので魚の生け捕りを楽しむならココ!!大物の鮭も頻繁にあがるのか、天然イクラ丼なんてメニューもあります。
【川面を眺めながらゆっくり鮎料理を楽しみたい方向け】
「高瀬観光やな(那珂川町)」
那珂川町谷田210 TEL0287-96-3521
自然豊かな那珂川の景色をのんびり眺めながら鮎料理を楽しむならこちら。食事場所から眺める景色が一押しです(写真)。天気が良い日は、とっても気持ちがいい食事場所です。また、その年の捕獲量にもよりますが、天然鮎を提供している貴重な観光やなのひとつです。
いずれの観光やなも炭火でじっくり焼いてくれるので、お料理が運ばれてくるまでに少々時間がかかります。待っている時間を利用して観光やなを見学したり、のんびり川を眺めるなどして待ちましょう。
観光やなは、夏から秋にかけて那珂川の中流域でみられる風物詩。無料開放しているやな場での川遊びは、無茶をしなければ川に流されることはまずありません。うちあげられた魚を素手でつかみ取りもできるので、最高の川遊びを楽しめます。大人の方も遠慮しないで、お子さんと一緒に魚のつかみ取りをしてみて下さい。その楽しさに、やな漁のファンになりますよ。
思いっきり遊んでお腹がすいたら、鮎料理に舌鼓。観光やなで鮎三昧な休日をお過ごしください。
注意)やな場は、毎年7月下旬〜10月までかけられます。
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この記事を書いたナビゲーター
鮎川 キオラ
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