世界遺産アンコール遺跡群、建築の変遷を追いながら巡ろう!

世界遺産アンコール遺跡群、建築の変遷を追いながら巡ろう!

更新日:2014/09/29 17:51

カンボジアのアンコール遺跡群は、目の前に立つだけで圧倒されてしまうような迫力があり、感動的です。
しかし、予備知識があれば、理解が深まり、更に楽しむことが出来るはず!今回は、建築と建築装飾の変遷という視点からの見学をご紹介します。

アンコール王朝最初の王都・ロリュオス遺跡群

アンコール王朝最初の王都・ロリュオス遺跡群
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アンコール遺跡群はたくさんの遺跡の集合体が世界遺産として登録されているので、最も古いものから新しいものまでには、建てられた時期が約400年違います。西暦800年前後に築かれた王朝は、アンコール・ワットから南西に約14キロメートルの場所。
王都の名前は「ハリハラーラヤ」。現在はロリュオス遺跡群として、親しまれています。

この写真の遺跡は「バコン」といい、初めてピラミッド型の形式がとられました。
中央の祠堂は、当初レンガ造りでしたが、12世紀に砂岩で作りなおされて現在に至ります。当初から印象は大きく変わっていると思われますが、以後の建築よりもシンプルで小ぶりな姿に歴史の始まりを感じてみてください。

平地から丘上へ、場所を変えたピラミッド型

平地から丘上へ、場所を変えたピラミッド型
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こちらは標高60メートルの丘の上に建つ、プノン・バケン。
アンコール・ワットの全体像を見下ろすことが出来、このように美しい夕焼けを目指して、夕方にかけて多くの人が訪れます。

アンコール遺跡周辺は平地が多く、プノン・バケンをはじめとする丘上に建てられた遺跡は360度周囲が見渡せる場所が選ばれています。建設は800年代後半から900年代にかけてで、より高いもので、強い権力を示そうとした時代の流れが伺えます。

※プノン・バケンは保存上の問題から、遺跡内にあがる人数を300人に制限しています。夕焼けの時間帯は特に混雑が予想されますので、一時間程度早めに到着すると安心です。

クメール美術の完成形、バンテアイ・スレイ

バンテアイ・スレイは、シェムリアップから北東40キロメートルほどの、郊外の遺跡のひとつで900年代後半に建設されました。
レンガ造りなので、全体が赤みを帯びていることも大きな特徴ですが、なんといっても美しいレリーフによる装飾が見所です。

建築史の変遷として、各地で共通性が見られることのひとつとして、建築物の大きな形態や構造が成立すると創造力が装飾に向けられる、という点があげられます。
建物全体に及ぶ精巧な彫刻と、そのひとつひとつの線の美しさ、仕事の丁寧がこの遺跡にあります。

クメール美術の完成形、バンテアイ・スレイ
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やっぱり一番の見所、巨大ピラミッドのアンコール・ワット!

やっぱり一番の見所、巨大ピラミッドのアンコール・ワット!
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アンコール・ワットは、中央祠堂を三つの回廊で囲んだ、建築、敷地ともにアンコール遺跡群の中の独立寺院の中で最も大きなもので、1100年初め頃に建設されました。

それまでに築き上げられた建築技術を尽くし、バンテアイ・スレイで完成されたクメール美術をより芸術性豊かに装飾に取り入れている、まさにアンコール遺跡群の王様です。

豪快さが魅力!?アンコール王朝最大の都、アンコール・トム

ここまでにご紹介した遺跡はそれぞれが独立した寺院でしたが、アンコール・トムは都市の名前で、内部に王宮やいくつもの寺院があります。

創建は1100年代後半から1200年代にかけてが中心ですが、一部に1000年代に建てられたものが含まれます。アンコール・ワットよりも遅い時期の遺跡は、徐々に装飾に粗さ、もとい豪快さが見られるようになります。

写真は中央寺院、バイヨンの四面仏塔。
これまでの遺跡で、細かなレリーフを見続けていると、この自分の身長くらいある仏塔には本当に驚かされます。技術を極めると大胆になったり、適当になったりするのは人の性でしょうか。
建築は大きく、高く変化し、美術は精巧さを極めた後に豪快になる……それは、アンコール遺跡群だけのことではありません。
建築・美術の変遷を追いながら遺跡を巡って、人々の歴史に触れてみてください。

豪快さが魅力!?アンコール王朝最大の都、アンコール・トム
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最後に

今回は、800年頃から1200年代にかけての建築の変遷に沿ってご紹介しました。
これらを実際にこの順番で巡るとしたら、以下の日程くらいの密度が現実的です。

1日目 ロリュオス遺跡群 → プノン・バケンからの夕焼け
2日目 バンテアイ・スレイ → アンコール・ワット
3日目 アンコール・ワットの朝焼け → アンコール・トム

カンボジアは蒸し暑く、遺跡周辺には日陰が少ないので、思っている以上に体力を奪われるので、ゆとりを持った計画を。
とくにアンコール・トムは敷地が広大で、遺跡内に飲食店などがないため、空調のある場所で休みたい場合には2〜3キロメートルほどのアンコール・ワットまで戻る必要があるので、注意が必要です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/02/08−2014/02/12 訪問

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