ビオトープと運動施設の共存する横浜市・境川遊水地公園へ!

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ビオトープと運動施設の共存する横浜市・境川遊水地公園へ!

ビオトープと運動施設の共存する横浜市・境川遊水地公園へ!

更新日:2014/10/02 15:26

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター

生物多様性への関心が高まってきた昨今、園内にビオトープ(野生生物が暮らす空間)のある公園も増えてきました。ここ境川遊水地公園にも2つの大型ビオトープがあり、サギやカワセミが訪れる鳥の楽園となっています。しかし、そんな自然豊かなビオトープのすぐ隣には、サッカーグラウンドや野球場、テニスコートが! 自然公園であると同時に運動公園としての役割もきっちり果たしている……境川遊水地公園はそんなスポットです。

右手にビオトープ、左手にサッカー場。自然と親しめるスポーツ公園です

右手にビオトープ、左手にサッカー場。自然と親しめるスポーツ公園です

写真:鷹野 圭

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写真を見ると一目瞭然。歩道を中心として右側には、池を中心としてヨシなどの植物が密生する湿地型のビオトープ。ここの池には頻繁にカワセミが姿を現し、結構近い距離で魚を獲るシーンが見られるなど、バードウォッチャーには格好の観察・撮影スポットです。一方歩道の左側には、広々としたサッカーグラウンドが。写真でも人の姿が確認できるかと思いますが、地元のサッカー教室などを中心として主に子どもたちがよく利用しています。すぐ近くにはテニスコートもあり、人の姿の絶えない活気ある空間です。

すなわち幅10メートルにも満たない道路を境目として、純度の高い自然空間と充実した運動スペースが共存する……これが境川遊水地公園の最大の特徴なのです。公園内にビオトープと運動場が両方あるケースは決してそこまで稀ではありませんが、両者がここまで隣接しているというのは首都圏では滅多に見られないのではないでしょうか。スポーツを観戦する傍ら、ふと逆方向に目を向ければサギやカワセミが魚を狙っているなんてことが当たり前に起きるのです。運動中の小休止で鳥を探す……などというのも乙な楽しみ方ですね。

春夏秋冬、ビオトープには季節ごとに様々な野鳥が飛来します

春夏秋冬、ビオトープには季節ごとに様々な野鳥が飛来します

写真:鷹野 圭

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オールシーズン観察できるカワセミやアオサギ、コサギ、カルガモのほか、夏場にはツバメやチュウサギ、冬場にはタシギ(写真の鳥)やオオジュリン、アオジやジョウビタキ、日本で冬越しするカモの仲間など、ビオトープを訪れる野鳥の数・種類はとても多彩です。とりわけ秋から春の初頭にかけては冬鳥撮影の最盛期。三脚を立てたバードウォッチャーを随所で見かけることでしょう。これら野鳥の飛来状況については、公園の事務所を担う「境川遊水地情報センター」で情報収集ができます。園内を巡る前にはぜひ立ち寄っていただきたいですね。

これほど多くの野鳥に利用されるのは、食料となる植物の実や種、小魚などが豊富なことはもちろん、背丈の高い草原や木陰などの身を隠せる場所が多いことも一因と言えるでしょう。スケールの大きさと密度の濃い自然環境が整えられ、人の手による管理が程よく行き届いているからこそ、自ずと野鳥たちがやってくる……そんな大変良好な関係が境川遊水地公園では続いているのです。

ちなみに写真のタシギは、首都圏ではそれなりに自然度の高い湿地・田園地帯等でないと見られない貴重な鳥。浅い水辺でミミズなどを探す姿をよく見かけますが、保護色なので草むらに隠れると見つけるのは困難。基本的に水の近くからはあまり離れないので、よ〜く目を凝らして池の周辺を探してみましょう。

上空を舞う猛禽類は、自然豊かな公園だからこそ見られる美しいハンター

上空を舞う猛禽類は、自然豊かな公園だからこそ見られる美しいハンター

写真:鷹野 圭

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様々な野鳥をはじめ、カエルなどの小動物も多い境川遊水地公園のビオトープ。さらに公園の周囲は田畑や森に囲まれていますので、公園およびその周辺エリアにはそれこそ数え切れないほどの生きものが暮らしていると言えます。となれば、そうした生きものを狙うハンターも自ずと集まってくるというもの。食物連鎖のトップに君臨するタカなどの猛禽類が、この公園では頻繁に上空に現れます。

写真は、ビオトープの上空を舞うチョウゲンボウ。猛禽類の中では比較的小型ですが、残飯漁りのイメージが強いトビとは違い、こちらは生きた小動物を狙うれっきとしたハンターです。境川遊水地公園では、トビを除けば最も遭遇率の高い猛禽で、空を旋回しながら地上のカエルや小鳥を狙います。よく空中で羽ばたきながら静止する「ホバリング」という体勢をとるのが特徴。羽を休める時には高い木や高圧線の鉄塔などを利用します。

チョウゲンボウ以外には、特に冬場を中心にオオタカやハイタカなどが見られることがあります。彼らは非常に高い位置を旋回しながら獲物を探していますので、時折気づいた時に上空に目を向けて、姿がないか確認してみましょう。遭遇率は低いものの、出会えた時の感動は絶大です。

洪水の被害を軽減する、遊水池としての役割も!

洪水の被害を軽減する、遊水池としての役割も!

写真:鷹野 圭

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園名にも入っている「遊水地」とは、治水対策の一つです。台風や近年よく耳にするゲリラ豪雨などにより、川(この公園の場合は隣接する境川)が氾濫を起こした際に、溢れた水を一時的に貯留し、下流に流れる水の量を大幅に減らすことで洪水の被害を軽減する効果があります。事実、公園が整備されて以降、下流域の悩みの種だった洪水被害は大きく減りました。運動と自然散策だけでなく、安全面でも人の生活に貢献していると言えるでしょう。

川からあふれ出した水は、あえて高さを低くして水が流れ込みやすくした堤防(越流堤)から、まずはビオトープ、そして運動場などの多目的広場に流れ込みます。当然水が流れ込めばどちらも水没してしまいますが、溜まった水は反乱を起こさないように調節しながら徐々に下流に排出され、数日で元通りになります。ビオトープの生きものが心配な所ですがノープロブレム。毎年のように大雨で水没してしまうものの、水が引いた後にはどこからともなく戻ってきますし、ちゃんと毎年季節ごとの鳥が飛来しています。

そんな遊水地公園ですが、2014年現在、上流方面に向けて拡張工事が進められています。写真の遊水地も整備が終わったばかりですが、早くもサギ類が何羽も飛来しているのがわかることでしょう。日々さらに発展していくことが期待される公園です。

境川の河川敷で、季節ごとの花景観を楽しもう

境川の河川敷で、季節ごとの花景観を楽しもう

写真:鷹野 圭

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写真は11月の境川。奥に見える建物は公園の情報センターです。

こうした公園のすぐ傍から下流に向かって、サイクリングやランニングに適した遊歩道が続いていますが、川沿いには春夏秋冬と四季ごとに様々な花が咲き、彩りを添えます。写真でもわかる通り、秋はコスモスやキク科植物が見所。他にもコキアが多く植栽されており、晩秋には赤く染まって花に負けじと河原に美しさを演出します。華やかな花景観には、冬場を除いてチョウも多く飛来し、私たちの目を楽しませてくれます。

また、時折ここにもカワセミが姿を現します。散歩中に「チー」という鳴き声が聞こえたら川に注目! 遭遇率はなかなか高いですよ。徒歩の他にも、自転車で颯爽と移動するのも気持ちいいかもしれません。公園散策とセットで、ぜひどうぞ。

理想的な「人と自然の共存空間」がここにあります

広々とした水場と草地を有し、綿密な管理体制で美しさと自然度の高さが保たれているビオトープ。そこに隣り合うようにして存在するスポーツ広場。そして洪水の危機が迫った際には、遊水機能で下流の街を守ってくれる……。人と自然の相互関係がこれほど上手くいっている公園も珍しいのではないでしょうか? とりわけ野鳥の数と種類が多いので、ぜひカメラや双眼鏡を持って散策していただきたいですね。ちなみに双眼鏡は、情報センターで借りることもできますよ。

また、公園の周囲には田んぼや雑木林が広がっており、ここもまた生きものの多い空間。公園を訪れた際にはちらと覗いてみると面白いかもしれません。

楽しみのぎゅっと詰まったスポットを、心行くまでご堪能ください。


【アクセス】
各線「湘南台駅」東口より徒歩約20分
または湘南台駅東口より湘07系統バスで約10分、「元木」バス停より徒歩約10分
入園料無料(スポーツ施設の利用方法はWebサイト参照)

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掲載内容は執筆時点のものです。 2012/11/03 訪問

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