山中の海の神様「こんぴらさん」香川県・金刀比羅宮参りへ

山中の海の神様「こんぴらさん」香川県・金刀比羅宮参りへ

更新日:2014/10/02 17:12

「こんぴらさん」こと「金刀比羅宮」の歴史は古く、遠く平安時代にさかのぼりますが、金刀比羅参りが盛んになったのは、江戸中期以来のこと。当時、自由に旅をすることができなかった庶民にとって、金刀比羅詣もうではまさに夢の旅。しかし、平成の今も、年間400万人の人たちがこの地を目指しています。
♪こんぴら船々追手に帆かけてしゅらしゅしゅしゅ♪ 軽快な讃岐民謡に誘われて辿ってみましょう。

こんぴらみちの高灯籠

こんぴらみちの高灯籠
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「すべてのみちはこんぴらさんへ」江戸時代、丸亀、多度津、高松、阿波、伊予、土佐のこんぴら5街道のうち、最もにぎわったのは丸亀街道でした。
金毘羅船に乗ってやってきた江戸、上方の人達は、港の万助灯籠を起点に、沿道の丁石、石灯籠を辿り、現在の電鉄琴平駅に隣接する高灯籠まで丸亀道を歩きました。

安政6(1859)年建立の高灯籠は、高さ27mもあり日本一。丸亀の沖合を通る船やこんぴらを目指す旅人たちの重要な目印となったことでしょう。

金毘羅宮はここからがはじまり。大宮橋を渡り、御本宮まで785段、奥社まで数えると1368段の石段が続く表参道を登りはじめると、両側のみやげもの店や旅館の人たちがそれぞれに「ここは何段目ですよ。お気をつけて」と声をかけてくれます。

「こんぴらさん」ってどんな神様?

「こんぴらさん」ってどんな神様?
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伊勢参りと並んで江戸時代の庶民の慰安旅行のひとつとなったこんぴら詣では、一生に一度はお参りすべきものとされました。
森の石松も親分の清水次郎長の名代として、奉納の旅をしたときの逸話がここに残されています。

この信仰の山の歴史は古く、山麓の松尾村(現琴平町)の金光院別当が象頭山に金毘羅神を祭ったことにはじまり、11世紀初めに社殿を造営。
保元の乱(1156)ののち、この地に配流された崇徳上皇が崩じると、生前金毘羅宮を尊信してしばしば境内近くに参籠したことから、永万元(1165)年、上皇の霊を慰めるため当社の相殿に合祀されるに至りました。
この頃から社名は金毘羅大権現と呼ばれるようになり、南海の水軍・塩飽衆(しあくしゅう)の崇敬を受けるようになったようです。

本来は航海の安全を司る神様で、山全体の8割が境内の象頭山(521m)は、海上からひときわ目立つランドマークだったため、讃岐の海を航行する人たちが海路の安全を祈り、無事を感謝するためにここに詣でるのを常としたのです。
中世以来この水域で活躍した水軍の塩飽衆は、江戸期には幕府からこの海域の独占的な海上輸送権を与えられたことも金毘羅大権現の繁栄を支えました。

コンピラとは梵語の蛟龍(こうりゅう)、すなわち龍神のことで、主祭神の大物主神(おおものぬしのかみ)は、古事記に「海(うなばら)を光(てら)して依り来る神」とあることから、海神である龍神と重ねられていったものと思われます。

※写真は、石段785段目の大物主神と崇徳天皇を祭る御本宮

金刀比羅宮の境内の見どころ

金刀比羅宮の境内の見どころ
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門前町から参道を登っていくと、やがて正面に二層入母屋造(にそういりもやづくり)・瓦葺きの豪壮な大門が見えてきます。
ここからが金刀比羅宮の境内で、門をくぐった入口付近の参道脇には「五人百姓」と呼ばれる5軒の飴屋さんが大きな傘を広げた昔ながらの姿で出迎えてくれます。

ここから御本宮までの参道の随所には由緒ある社や御堂が点在しますが、なかでも天保8(1837)年建立の旧金堂「旭社(あさひのやしろ)」は、二層入母屋造・細瓦葺きの大伽藍で、至るところに鳥獣・人物・花弁などの彫刻がほどこされ、完成までに約40年の歳月を要したと言われています。

また、建物自体が重要文化財の二棟の書院には円山応挙・伊藤若冲らの傑作が襖や天井や壁にちりばめられています。(若冲の奥書院は特別なとき以外は未公開)

開館時間 8時30分 〜 17時
拝観料 一般800円 高大生400円 中学以下無料
問い合わせ TEL0877-75-2121 (社務所)

こんぴら参りの名脇役・旧金刀比羅大芝居「金丸座」

こんぴら参りの名脇役・旧金刀比羅大芝居「金丸座」

旧金毘羅大芝居は、天保6(1835)年に建てられた現存する日本最古の芝居小屋。
当初は年3回(3・6・10月)の「市立ち」の度に仮設小屋で歌舞伎などの興行を行っていましたが、門前町の形態が整のうにつれ常小屋の設置を望む庶民の声に押されて高松藩寺社方が許可をし、現在、歴史民俗資料館のある山すそに建てられました。

「金丸座」の愛称で親しまれてきたこの建物は、昭和45年、国の重要文化財に指定され、昭和47年から4年の歳月をかけてやや上手の現在地に整備移築されたものです。

保存状態のよい見事な木造の芝居小屋ですが、参道脇からやや奥まったところにあるため、見落としがちです。しかし、「こんぴらさん」に来て、ここを訪ねなくては一生の不覚、是非お忘れなく。

この素晴らしい歴史的な文化財を飾っておくだけではあまりにもったいないと当代一流の歌舞伎役者らが県に働きかけ、昭和60年より現役の歌舞伎座として復活しました。
その名も「四国こんぴら歌舞伎大芝居」として毎年4月に開催され、四国路の春を告げる風物詩となっています。

旧金毘羅大芝居

開館時間 9:00〜17:00 年中無休
(催物開催日は休館となることがあります)
入場料 大人500円 中高生300円 小人200円
電話0877-73-3846

まとめとして

瀬戸大橋が開通されたおかげで、ずいぶんと行きやすくなった讃岐路には、屋島、栗林公園、満濃池、善通寺など幾多の素晴らしい観光スポットが点在しています。時間に余裕があれば、金刀比羅宮のみにとどまらず、是非はしごしてほしいものです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/09/01 訪問

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