写真:橘 凛
地図を見るノイシュバンシュタイン城は、19世紀後半にバイエルン王ルードヴィヒ2世によって建てられた、比較的新しいお城です。ルードヴィヒ2世は音楽家ワーグナーのパトロンであり、そのオペラの世界観に憧れ、おとぎの国のお城の建築に多額をつぎ込みました。その建築様式はロマネスク・リバイバルと呼ばれ、決して政治的目的によって建てられたものではなく、歴史上とても重要な役割を果たした場所というわけではありません。
が、その気高いオーラは、一目瞭然。
正真正銘の王子様が、自身の芸術的満足の為だけに創り上げた、まさに夢と理想のお城。ディズニーのシンデレラ城のモデルにもなり、今なお全世界からの多くのファンの羨望を集めるのは当然のことでしょう。
まずは、お城への入場券を入手しましょう。インターネットで事前予約またはふもとの村にあるチケットセンターにて購入が可能です。お城めぐりは、言語ごとに分かれたイヤホンガイドツアー制となっています。日本語ツアーもあり、集合人数を見て順次開催されています。
お城は高台にあり、その予約時間までにお城の入り口に到着している必要があります。徒歩・乗合馬車・バスの方法がありますが、馬車やバスは、下車してからお城の入り口まで数百メートル歩く必要があり、また、天候によってバスは運休となります。
ここからの道は、ぜひ徒歩を選びましょう。山道を登るのはなかなか大変なのですが、それ以上のものが得られます。
写真:橘 凛
地図を見るお城への登山は、他の季節でも30〜40分程度はかかりますが、もし雪道だったらなおのこと。足元が滑る危険性があるので、ゆっくりと足を進めてください。体力に自信のない方は、長い待ち時間になることがありますが、有料の乗合馬車に乗ることをおすすめします。
徒歩でのお城めぐりの良い点は、時間を気にせず、美しい景色を自分の思うまま楽しめることでしょう。
ふもとから見上げるノイシュバンシュタイン城の壮麗な姿はもちろんのこと、アルプ湖(写真左奥)を臨む、ホーエンシュバンガウ城の絶景も。周辺の山は雪化粧し、夕刻が近づいてくると城外壁の明るいイエローはライトアップされ、黄金に輝いています。この世のものとは思えない美しさとは、このようなことを指すのではないでしょうか・・・。日没時間が早い(夕方16時を過ぎるとあたりは暗くなってきます)季節に見られる、幻想的な風景です。
ホーエンシュバンガウ城は、ルードヴィヒ2世が生まれたお城。こちらも内部見学ができるので、ノイシュバンシュタイン城とセットで楽しみましょう。
また、ノイシュバンシュタイン城といえば有名なのはマリエン橋。ここから見るお城が最も美しいとされる、一番のビューポイントです。季節を問わず、ここから見たお城の姿は、必ず忘れられない思い出となります。マリエン橋へは、お城からまたしばらく歩くうえ、天候によって閉鎖されるのでお気をつけください。また、マリエン橋は川底からかなりの高さがある鉄橋なので、高所恐怖症の方は下を見ないようにご注意くださいね!
その華麗な姿の内外をぜひ写真に収めたい!と思われる方は多いはず。しかし、残念ながら、ノイシュバンシュタイン城内部は、写真撮影が許可されていません・・・。
ぜひ、写真は外観をたくさん撮ってください!内部は、ぜひ現地でご覧になってのお楽しみですが、言うまでもなく豪華絢爛です。白鳥城の名前そのままに、エレガントな白鳥のモチーフをあらゆるところで見ることができます。また、王が心酔したワーグナーのオペラ『ローエングリン』や『タンホイザー』の一幕の優雅な壁画や、え!こんなところに?と驚くような人工洞窟など、見どころがたくさんあります。当時の最新技術を駆使したといわれる内部の造りは、クラシックファンだけでなく、誰もが満足できるはず。
また、ショップには、絵葉書やDVD、カレンダーはもちろん、バイエルン国紋章グッズなど、ここならではのお土産が並びますので、ゆっくり見て回るのがおすすめです。
ふもとの村ホーエンシュバンガウには、たくさんのホテルやレストラン、お土産物屋さんが軒を連ね、旅行客の憩いの場となっています。時間に余裕があれば、ぜひ食事をして元気をチャージしましょう。
バイエルン名物と言えば、何と言ってもヴァイスヴルストと呼ばれる白ソーセージ。ソーセージが白いと聞くと不思議に感じますが、他のソーセージと違い、亜硝酸塩を使わず、生クリームや卵白を入れた子牛や子羊肉のものだからだそうです。もちろん、それ以外のソーセージやドイツ料理も充実しています。ジャガイモが欠かせないお国柄だけあって、マッシュポテトは濃厚クリーミーで、ソーセージに負けない美味しさです。
バイエルン名物料理をたっぷり食べて英気を養ったら、いざお城めぐりに出かけましょう!
ノイシュバンシュタイン城の近くにある都市フュッセンはドイツ国内では最も南に位置し、オーストリア国境にも近いですが、冬期の寒さはかなりのもの。ダウンコートに帽子や手袋といった防寒セットは必須です。そして何よりも、山道登山のためには、滑り止めのついた靴できればスノーブーツを履いての参加が望ましいです。お城周辺は、写真のように、どこまでも荒涼とした平原が広がり、世界の果てに来たような錯覚を起こしそうになります。
ノイシュバンシュタイン城までのアクセスは、まず、ミュンヘンからの電車でフュッセン(Füssen)まで約2時間。かなりゆっくりとした電車ですが、のんびり流れる景色を楽しみましょう。その後、バスに乗り換え、ホーエンシュバンガウ(Hohenschwangau)に到着、ここがお城のふもとの村です。日中、これらの電車やバスには、お城訪問目的の旅行客が多く乗車していて、迷う心配はありませんので、ご安心を。
ルードヴィヒ2世は存命中、数々の理想のお城作りに精を出して借金を積み重ね、ついには当時のバイエルン政府から統治者の座を追われてしまいました。その後、湖畔を散歩中に40歳で謎の死を遂げ、その真相は今も明らかになっていません。国をかえりみず、夢の世界にひたすら生きたその姿は「狂王」とも呼ばれ、孤独な人生を送ったといわれています。
ルードヴィヒ2世の夢見たものとは何だったのか?
凍てついた空気のなか、お城を見上げると、王の孤独な面影が現代の私達にもひしひしと伝わってくるような気がしてなりません。
ぜひ、冬のノイシュバンシュタイン城を訪れてみてはいかがでしょうか?
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(2024/10/14更新)
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