横浜港のシンボル氷川丸で、海を渡る旅の魅力を再発見しよう

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横浜港のシンボル氷川丸で、海を渡る旅の魅力を再発見しよう

横浜港のシンボル氷川丸で、海を渡る旅の魅力を再発見しよう

更新日:2014/10/11 11:00

池口 英司のプロフィール写真 池口 英司 フリーライター、フォトグラファー 日本写真家協会(JPS)会員

1930(昭和5)年5月にシアトル航路に就役し、退役までの間に太平洋を渡る航海が127回行われたという氷川丸。山下公園前に係留され、横浜のシンボルとして親しまれている今は、外観はもちろんのこと、船内のアール・デコ様式のインテリアまでが見事に復元され、旅の途上で何回もパーティが行われたという優雅な時代を偲ぶことができます。氷川丸を訪れ、今は失われてしまった船旅の黄金の時代に思いを馳せてみて下さい。

海が荒れやすい北米航路に就役

海が荒れやすい北米航路に就役

写真:池口 英司

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貨客船氷川丸が処女航海に出発したのは1930(昭和5)年5月13日のことでした。行先はシアトル。まだ、民間人が航空機を利用することは希だった時代、およそ2週間を要する太平洋横断の航路は、アメリカ渡航のメインルートで、当時は、何隻もの船が太平洋航路に就役し、華を競ったといいます。シアトルへの最短距離をとるために、海の荒れやすいアリューシャン列島近くを通ることになった氷川丸は、これに備えて、厚い外板を採用するなど、特に堅牢に作られました。今も氷川丸の外板には無骨なリベットがずらりと並び、現役の時代を思わせてくれます。

食堂や喫煙室は、紳士、淑女の社交場だった

食堂や喫煙室は、紳士、淑女の社交場だった

写真:池口 英司

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写真は1等食堂。贅を凝らしたインテリアは、当時の最高峰をゆくものでした。食材も選りすぐりのものが提供され、もちろん料理人の腕も超一流。当時の1等船室の食事は、日本の社会を見渡しても最高の水準をゆくものであったといいます。一等の乗客のために、このほか、喫煙室、図書室などが設けられ、長い船旅の退屈をまぎらわせる社交場として利用されました。3等利用の乗客がこのスペースに立ち入ることは許されず、申請された見学許可が受理された時のみ、立ち寄ることができだのだそうです。

ゆったりと作られた1等船室

ゆったりと作られた1等船室

写真:池口 英司

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1等特別室です。ベッド、ソファー、洗面台など、長い船旅に必要な設備が整えられています。アール・デコ調のインテリアデザインを手がけたのは、コンペの末に選ばれたフランスのマルク・シモン社。手の込んだ内装が今も往時のまま保存され、歴史の貴重な証言者となっています。もしも1等を利用して横浜からシアトルまで旅をすれば、費用は片道250ドル。当時の日本円に換算するとおよそ500円でした。それは、1000円あれば家が一軒建ったという時代の話です。

搭載されたエンジンも時代の先端をゆくものだった

搭載されたエンジンも時代の先端をゆくものだった

写真:池口 英司

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船の底にあるエンジンルームは、まるで工場の中のように、数多くの機器が所狭しと並んでいます。他社の船との競争に勝つために、最新のディーゼルエンジンを2基搭載。氷川丸のエンジンで採用された、上下の燃焼室で交互に燃料を爆発させ、ダブルの出力が得られるスタイルは、高出力と経済性を両立させた、当時の最先端をゆくものでした。

船の中枢だった操舵室もゆったりと広く

船の中枢だった操舵室もゆったりと広く

写真:池口 英司

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こちらは操舵室。船の中枢部です。この真下には船長室があり、操舵室とは急な階段で結ばれ、緊急の連絡を行うために、伝声管も設けられていました。ここで働いた航海士たちは、日本を代表する船で働くことに、高い誇りを抱いていたのでしょう。

船旅の長い歴史が解る生きた遺産

このほかにも船内には、往時の姿を再現した3等船室や、現代風にリニューアルされ、記録映像を見ることができるロビー、往時の写真を展示したギャラリーなどがあり、北米航路の長い歴史を知ることができます。戦時中には病院船として使用され、3度機雷に触れながらも沈没を免れたこの船は、屈指の「幸運な船」でもあったのです。2014(平成26)年で船齢は84年。日本郵船氷川丸は、現存する最古の貨客船です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/10/07 訪問

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