飯能駅から銀座商店街を経て、大通りを飯能河原に向けて歩いていくと、右手にどっしりとした面立ちの瓦屋根に格子戸の建物が現れます。明治時代、絹織物、生糸、繭、蚕種を取引きしていた『店蔵絹甚(みせぐらきぬじん)』です。
店蔵は、土蔵造りの2階建てで、30p以上の厚い土壁による強力な防火建造物になっています。家人の住まいは、店蔵とつながっており、間には強固な観音扉がついています。外に出て、一階の屋根の上を見ると、両脇にうだつと呼ばれる壁があります。隣家からの飛び火を防ぐための工夫です。店をいかにして守るかが考え抜かれた、すばらしい建物です。
快適に過ごすための工夫も見逃せません。店蔵と居宅との間に、大阪障子がついています。表から見ると障子ですが、裏は縦長の細かい格子戸になっています。夏の暑い時期、小障子をはずして格子戸として使え、風通しをよくします。
外から中まで、見応えのある建築です。
開館は水曜〜日曜で、係の方がいるので説明を聞くことができますよ。
飯能銀座商店街には、明治時代に敷かれた馬車鉄道駅の跡があります。同じ通り沿いに、西洋風の建物があります。
現在は、理容所となっているこの建物、もともとは木造二階建てでした。西洋文化のひろまりとともに、店にも洋風の雰囲気を持たせる気風が生まれました。といっても、すべてを建てかえるのは大変です。そこで、元の木造建築はそのままに、正面だけお面をかぶせるように西洋風の外壁を作るようになりました。これが、「看板建築」です。理容所の左手裏側にまわると、その様子がはっきりとわかります。石造りの外壁にぴったりとくっつくように、木造家屋が現れます。日本人の知恵の底力を感じます。
大通り沿いの店蔵絹甚を、駅側に戻ると『銀河堂(大野邸)』という瓦屋根の喫茶店があります。お店の前庭が広くとられています。
江戸時代、飯能では、縄や筵(むしろ)、薪や石炭が取引される『縄市』が開かれていました。店蔵の前にある広い空間は、市(いち)がたつときに、店を開いた場所です。
だんだんと常設店舗が増え、前庭は姿を消しましたが、この大野邸は当時の面影を残す、貴重な場所となっています。
しきつめられた石畳みもおしゃれです。
駅から歩いて約20分で、入間川の流れる飯能河原に出ます。夏から秋にかけては、行楽シーズンで、河原遊びや、バーベキューで訪れる人でにぎわいます。
川沿いには食事処もあり、川を眺めながらゆったりと過ごせます。
飯能河原からすぐ、民家の駐車場の奥に、民家カフェ『une bagel(ウネ・ベーグル)』があります。実際に人が住んでいた家をそのままカフェにしただけあって、お友達の家に遊びに来たようなアットホームな雰囲気です。
お店では、体にやさしいこだわりのベーグルやカレー、コーヒーやお茶、米粉スイーツなどをいただけます。ベーグルは数種類あり、日替わりメニューもあるので、ぜひスタッフさんに尋ねてみてくださいね。持ち帰りもできます。
喧噪を離れてのんびりと、もちもちのベーグルやスイーツ、飲み物をいただくと、ほっこり心と体が癒されますよ。
歴史的な建物はほかにもたくさんあります。また、歩いていると立派な蔵があったり、木造のレトロな建物もあちこちに見られるのも、飯能ならではです。歴史ある、諏訪八幡神社や能仁寺へのお参り、ハイキングにもぴったりな天覧山への登山もおすすめです。ぜひ、時間をかけてじっくりとまわってくださいね。
飯能駅へのアクセスは、西武池袋線池袋駅より、急行で約50分です。
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(2024/10/14更新)
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