その名の面白い響きと町並みが絶妙にマッチしているアルベロベッロ。アルベロベッロとは「美しい樹」を意味します。
アルベロベッロのあるプーリア州は、イタリアの地図では、ブーツのかかとにあたるところ。陽光きらめくアドリア海が美しい、イタリア人のバカンス地としても人気の州で、歌手の宇多田ヒカルさんが結婚式を挙げたことでも話題になりました。
もともと、このあたりはやせた土地でしたが、石灰は豊富に採れる地域だったため、石灰を用いた漆喰で家を建てられてきました。
トゥルッロ(複数形ですとトゥルッリ)とは、「部屋ひとつに屋根ひとつ」という意味合いを持っています。その名の通り、小さなドアを開けるとそこには玄関はなく、一部屋のみとなっています。これぞ本当のワンルーム!!天井は、外観そのままに、円錐形のドーム型です。そのシンプルさに驚かれること必至です!
現在では、多くのトゥルッリは、観光客向けのお土産屋さんやホテルとなっていますが、今も地元住民が生活を営んでいる地域もあります。
街はおおまかにふたつに分かれ、観光・商業地域となっているモンティ地区、主に住宅地で静かなアイアピッコラ地区。ぜひ、ふたつの地区を行き来してみましょう。
写真:橘 凛
地図を見る中心地からすこし歩いた小高い地には、トゥルッロソヴラーノという、アルベロベッロで一番大きなお屋敷があります。ここは12個のトゥルッリが連なって建てられており、内部は繋がっています。当時の生活風景が伺える内装にしてあるので、ぜひ内部見学(有料)をしましょう。
15世紀頃、この町はナポリ王国の一部でした。ナポリ王は、統治する町々の家の数で税金を決め、徴収していました。アルベロベッロを支配していた当時の伯爵は、税金逃れのために、すぐに解体できる家を造るように民衆に指示しました。国の役人が来るたびに家々は解体され、これらは家ではないという主張がされました。
民衆達の必死の創意工夫により、すぐに解体でき、また復元できる家として、世にもユニークなトゥルッリ建築が生まれたのです。その可愛らしい外観とは裏腹に、民衆の苦難の歴史の上に生まれた町並みなのでした。
どんな街であっても、必ず中心地に教会や大聖堂があるのがイタリア。街の守護聖人が祀られているサンティメディチ教会と、トゥルッロ形式の珍しい教会・サンタントニオ教会にはぜひ足を運びましょう。
アルベロベッロを歩いていると、ところどころで写真のような見事なぶどうがなった畑や庭を見ることができます。そう、アルベロベッロはじめプーリア州は、有数のワイン生産地でもあるのです。明るい陽光の下、屋外のテラス席で、炭酸入りの白ワインをいただくのは至福のひとときです。
また、黒ワインと呼ばれる、この地方特有のワインもあります!黒ワインとは、黒ぶどうをじっくり熟成させた、赤ワイン以上により濃厚な味わいを楽しめる逸品です。南イタリアを代表する、耳たぶの形をしたオレキエッテ(小さな耳という意味)という歯ごたえのよいショートパスタと一緒にいただきましょう。
同じく南イタリアにある洞窟の街マテーラ(こちらも世界遺産です!)とのツアーが組まれていることが多いアルベロベッロ。マテーラの洞窟ホテルで宿泊もとてもおすすめですが、アルベロベッロのトゥルッリでも宿泊することができます!トゥルッリ内部は綺麗にリノベーションされていて、空調施設も整っているところが多いので、年中を通して快適にステイできます。特にモンティ地区には多くのホテル施設があります。
そのもの珍しさにも関わらず、一泊2名さま100ユーロ前後からと、イタリアの他の観光地に比べると、お値段も良心的。せっかくなので、トゥルッリに宿泊して、思う存分、異文化体験を楽しみましょう!南イタリアは、その他ヨーロッパに比べると、年間を通して気候が温暖で、また、物価がかなり低いので、旅行しやすい土地柄という利点もあります。
世界的に有名な観光地としては、ナポリをはじめ、アマルフィやカプリ島など、地中海側がメインである南イタリア。近年、アドリア海側も、じわじわと注目が高まってきています。
そのアクセスの悪さから、なかなか足を運べないのは難点です。が、行きにくい土地だからこそ、大々的に観光地化され過ぎず、何百年も変わらない姿のまま、訪れる者を驚かせ、また夢中にさせてくれます。
今は、マテーラの洞窟住居群と合わせ、少しずつツアー旅行も組まれているアルベロベッロ。ぜひ、足を運ばれてみてください。
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(2023/12/3更新)
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