茅葺屋根の集落は日本全国にあります。中でも世界遺産に登録された『白川郷』は、皆さんもご存知ではないでしょうか?
ここ福島県会津地方にも人気の茅葺集落がいくつかあります。最も有名なのが『大内宿』であり、江戸時代の宿場町の風景が訪れる人を楽しませています。大内宿の『ネギ蕎麦』をテレビで見たことがあるかも知れませんね。
今回紹介する『前沢曲家集落』は、大内宿より規模は小さいのですが、独特の曲家(まがりや)で構成された独特の風景により、『美しい日本のむら景観コンテスト』で集落部門賞を受賞しているのです。規模が小さいためか、観光客が押し寄せるようなこともなく、ゆっくりと散策を楽しめることも嬉しいですね。
集落の中に入ると入り口には水車小屋があり、沢の水を利用して水車を回しています。この水車からバッタリ小屋へ動力が伝わり、粟やヒエなどの穀物をついていたそうです。現在も水車の回る音と共に、バッタリ小屋から『トン、、、トン』と音が聞こえてきます。
「曲家」とはこの地域一体で呼ばれている家の名称で、平面がL字形になっている民家を総称しています。
L字形に突き出した部分には、農作業に欠かせない馬小屋やトイレスペースがあり、奥は人間の生活スペースとして使用されていました。大切な馬や牛と一つ屋根の下で生活していたのですね。
冬になると雪深い南会津地方ですが、農作業に欠かせない馬や牛を大切にしていたことが解ります。
前沢曲家集落は現在も普通に住民が生活しており、民家は敷地外からの見学以外は禁止されています。
しかし、曲家を内部から見学できるのが集落に併設されている『曲家資料館』なのです。
資料館内部に入ると、囲炉裏から出る煙の臭いに気が付くはず。昔の人たちの生活と知恵がここには詰まっているのです。ノスタルジックな空間を楽しむと共に、古民具などの展示品を観賞して下さい。
一通り曲家集落を散策したら、外に出て山々を見てみましょう。美しい南会津の風景に溶け込んだ集落は、『THE・日本の故郷』と呼べる光景と言えます。
ここ前沢曲家集落には前沢ふるさと公園が隣接しており、夏前には花しょうぶが綺麗な花を咲かせます。田舎の風景には花が似合いますよね。
■前沢曲家集落DATA
住所 福島県南会津郡南会津町前沢
入場料 大人300円、高校生以下150円
入場料のみで資料館は無料
前沢曲家集落の駐車場に隣接している『そば処曲家』は、会津高原で栽培された蕎麦を使用した手打ち蕎麦が人気です。特に秋の新蕎麦のシーズンになると、午前中から蕎麦好きが集まり、毎年のように混雑しているのです。
そば処曲家でオススメしたいのが『はっとう』。皆さんははっとうをご存知でしょうか?
はっとうは奥会津地方の郷土食で、蕎麦粉ともち粉を混ぜた生地を伸ばして茹でたものに、じゅうねんをまぶしたお餅のような食べ物です。
昔、殿様がはっとうを食べて『こんなに美味しいものは、お祝い事やお祭り以外では食べてはいかん!』と法度(はっと)を出したらから、はっとうと言うネーミングが付いたとの言い伝えがあります。ちょっと無理がありそうな言い伝えですが、言い伝えは面白い方が良いので、これを信じましょうね(笑)。
そば処曲家の『天ざるセット』は、ざる蕎麦、天ぷら、田舎豆腐の冷奴、そしてはっとうがセットになった一品です。蕎麦とはっとうを同時に楽しめる南会津ならではの味覚ですね。
■そば処曲家DATA
住所 福島県南会津郡南会津町前沢831
電話 0241-78-2340
たとえ都会生まれの貴方であっても、きっとここに来れば懐かしい気持ちになるでしょう。そう日本人のDNAにはこの風景がしみ込んでいるのかも知れませんね。
春、夏、秋、冬と四季折々に見せる風景は、飽きることなく私達を楽しませてくれるでしょう。南会津の茅葺集落を巡る旅、疲れた心を癒しに行ってみませんか?
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