写真:藤田 聡
地図を見る由布院玉の湯で、最初に目にするのが談話室前の中庭。雑誌にも必ず掲載されますが、正直絶景ではありません。草も短く切り揃えられている訳でも無く、中途半端にも見えます。
しかし、滞在が深まると良さが分かって来ます。5人の専属庭師が、絶妙のバランスでこの光景を生み出しているのです。手を入れ過ぎず自然体でありながら、確実に手は入れられている。宿のあらゆる局面で同じポリシーを感じるので、理解が自然と深まり、最後には中庭に玉の湯らしさが凝縮されていると感じる程です!
写真:藤田 聡
地図を見る「由布院玉の湯」の客室は、和室10帖+洋室8帖と和室10帖+洋室10帖の離れが主体。部屋食を選択しない場合、和室よりも洋室メインに滞在するので、洋室が2帖広い事は非常に重要です。また脱衣場など付随スペースも広大で、風呂場の向きや景観、窓の大きさにも優れ、一層の開放感があります。上級タイプの離れが、断然おすすめです!
玉の湯の魅力の根幹は、庭の緑を客室からも風呂場からも見て、緑に親しむ点にあります。よって、庭が見えない二階客室は避けた方が無難です。
写真:藤田 聡
地図を見る由布院玉の湯には、露天風呂付きの大浴場もあります。循環放流併用式ですが、湯船から湯が溢れ出るオーバーフローも多く、源泉かけ流しに近い湯の扱いです。由布院温泉は、クセの無い単純温泉。脱衣場から猛烈に美しく、感激出来ます。
源泉掛け流しにこだわる温泉好きは、客室風呂も堪能しましょう。内湯ですが巨大な窓があり、露天気分で楽しめます。客室にはバスタオルがふんだんに用意され、不足の場合は電話一本で追加を頼めます。
写真:藤田 聡
地図を見る湯布院御三家の宿には夫々特徴があり、由布院玉の湯は美食の宿として知られます。他の二軒は、突き抜けた高級感の山荘無量塔(むらた)と、風情が素晴らしい亀の井別荘という感じです。
夕食のメインディッシュは5種類から選択可能で、どれを食べようか迷ってしまう程。鍋物が好評ですが、自分の好みで選択するのが正解です。肉が好きなら、豊後牛を選択しましょう!特製の柚子胡椒との相性も最高です。
朝食は、和食と洋食から選択。どっちにするか迷う場合は、料理研究家辰巳芳子の「いのちを支えるスープ」を頂ける洋食がおすすめ。2種類ありますが、両方欲しいと申し出て、カップスープ2つとも頂きましょう!
驚くべきは、料理の猛烈な繊細さ。2種類のスープは最初は甲乙付け難い旨さですが、時間が経過して冷めると、片方の味がどんどん落ちて行くのが分かります。和食の場合、炊きたてのご飯が土鍋で登場しますが、時間が経過すると熱が伝わり過ぎてご飯が硬くなっていきます。最高の状態で料理が提供されるので、一刻を争って大急ぎで食べないといけません。
なお朝食は11時までに食べ始めれば良いので、ランチを兼ねる事も出来ます。
写真:藤田 聡
地図を見る由布院玉の湯の売店や食事は、宿泊しなくても利用出来ます。カフェは昼間はアップルパイで知られますが、夜には雰囲気が素晴らしいバーになります。
名前の通り、作家のC・W・ニコルさんのリクエストで作られたバーからは、緑豊かな林を眺められます。まだ外が明るい時間帯から、食前酒を楽しむのもおすすめです!
由布院玉の湯の周辺観光としては、付近の散歩がおすすめ。その際は、玉の湯の浴衣を着て行きましょう。浴衣は、帯が立派な本格的なの。当日までに帯の締め方をネットで勉強しておくと、気分よく着こなせます。観光道路の「湯の坪街道」も至近距離。土産物屋が多数あり、散策だけで楽しくなります。金鱗湖の湖畔には、同じく湯布院御三家の「亀の井別荘」があり、モンユフというクリームチーズのデザートや、りんごのコンポートで知られるカフェがあります。
由布院玉の湯の極上の滞在は、あなたに何をもたらすでしょうか?得る物は人により異なり、独自の発見が沢山出来るはずです。確実に言える事は、日本を代表する高級旅館とはどういう物か具体的に分かりますし、一刻一秒を争って食べないと味が落ちてしまう繊細な料理も知る事が出来ます。
さらに、自分自身の変化に気付く人も居るに違いありません。私の場合は、車のアクセルを踏み込めなくなっていました。真のリラクゼーションが実現すると、実際の人間に様々な変化を呼び起こすものです。まさに気分だけでなく、本当に生まれ変わってしまったような状態になれる人気宿。何らかの変化や気付きを得られてこその最高級宿であり、宿泊料の違いの意味だと言えます。
■由布院 玉の湯 データ
・住所:大分県由布市湯布院町川上2731-1
・電話:0977-84-2158
・日帰り入浴:なし
なお湯布院とは旧町名で駅やICの名前に残りますが、現在は由布市であり、温泉の正式名称も由布院温泉で、玉の湯の正式名称も由布院玉の湯です。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
藤田 聡
「源泉かけ流し」にこだわる、泉質重視の温泉研究家。温泉旅行検定試験2年連続日本一で、温泉旅行博士の称号を獲得。日々、温泉や周辺観光地の取材・撮影を行い、国内旅行の奥深い魅力を各種メディアで発信中!温泉…
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