汎ヨーロッパ・ピクニック記念公園(ハンガリー領ショプロン郊外)〜鉄のカーテン崩壊の歴史的事件の地〜

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汎ヨーロッパ・ピクニック記念公園(ハンガリー領ショプロン郊外)〜鉄のカーテン崩壊の歴史的事件の地〜

汎ヨーロッパ・ピクニック記念公園(ハンガリー領ショプロン郊外)〜鉄のカーテン崩壊の歴史的事件の地〜

更新日:2014/11/19 14:07

小谷 雅緒のプロフィール写真 小谷 雅緒 ツアーコーディネーター&ガイド

ハンガリーの人気観光地ショプロンの郊外には、「汎ヨーロッパ・ピクニック記念公園」があります。ベルリンの壁崩壊のきっかけにもなった「汎ヨーロッパ・ピクニック」は、日本での知名度は抜群とは言い難いです。この平和的ネーミングのイベントは、歴史が大きく動いた事件でした。この事件を知れば、現地を訪れ、歴史を検証してみたくなるはずです。

ここに鉄のカーテンが・・・今は誰でも24時間通過できる国境に

ここに鉄のカーテンが・・・今は誰でも24時間通過できる国境に

写真:小谷 雅緒

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島国日本と大陸では、国境の感覚は大きく異なるでしょう。2014年現在、スイスとEU圏の多くの国がシェンゲン協定のもと、国境検査を省略しています。ハンガリーは2007年も終わる頃にシェンゲン協定に加わり、国境を接するオーストリア、スロヴァキア、スロヴェニアと自由に行き来できるようになりました。

国境には規模の違いがあり、幹線上の24時間稼働している国境の他、地図ではわかりにくいような小さい国境もあります。例えば車では越えられない、昼間のみオープン、冬季はクローズ、周辺の住人しか越えられない国境なども。しかし、シェンゲン協定のおかげで、今は協定を結ぶ国との国境なら、どのようなサイズ(タイプ)の国境も、いつでも・誰でも越えられます。

汎ヨーロッパ・ピクニックが開催された場所は、ハンガリーがシェンゲン協定に加わってから、誰でも24時間通れる国境となりました。しかし、それまでは、鉄のカーテンが撤去されただけで、一般人は越えられない国境だったのです。写真の真ん中あたりに、通せんぼのバーがありました。

本当のピクニックができるような、立派な公園になりました。

本当のピクニックができるような、立派な公園になりました。

写真:小谷 雅緒

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ここではごく簡単に、汎ヨーロッパ・ピクニックについて説明しましょう。(さらに興味にある方は、本文下のリンクなどを参考にしてください。)

ハンガリーは大戦後、西と東に分かれたドイツの家族や親類が落ち合う場所のメッカでした。この時代、共産国では旅行は許可制でしたが、東ドイツでは、ハンガリーが目的地なら許可が下りやすく、また、西ドイツ人にとっても、ハンガリーは行きやすかったからです。

汎ヨーロッパ・ピクニックという名の政治集会が行われたのは、1989年8月19日のことです。すでに時代は民主化の波が押し寄せていました。この年の5月、ハンガリーではオーストリア国境との鉄条網が撤去されていました。このことを知った東ドイツの人々は、とりあえず近くまで行けば何とかなるかもと、藁にもすがる思いでやってきたのです。

しかし、実際には東ドイツ人が公に越境できるわけがなく、そんな彼らを助けるために催されたのが汎ヨーロッパ・ピクニックでした。

亡命成功、その数600人

集会は「ヨーロッパの未来を考える」という適当な名目の、ごく明るい雰囲気のイベントでした。ずばり、わざわざ鉄条網が撤去されたばかりの国境沿いで行う必要もないイベントです。

このイベントのどさくさに紛れて、東ドイツ人たちは国境を越えていきました。国境警備隊はわざと遠くに待機し、検問所スタッフも、銃を携帯しないように命じられていたそうです。

オーストリア側も彼らのためにバスを手配しており、その日のうちに西ドイツに到着しました。

公園内にはこの歴史的事件の様子が、何十枚もの案内板により説明されています。ハンガリー語、あるいは独語や英語が理解できなくても、多くの写真から内容は十分に伝わってくることでしょう。逃げる東ドイツ人の顔は、まるで戦場さながらの様子。まさに激写です。

亡命成功、その数600人

写真:小谷 雅緒

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鉄条網が生々しい・・・

鉄条網が生々しい・・・

写真:小谷 雅緒

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シェンゲン協定加入以前の汎ヨーロッパ・ピクニック記念地は、案内板が何枚かあるくらいで、寂しいがらんとした場所でした。今はモニュメントやベンチもあり、公園らしく整っています。

ここはオーストリア側からもハンガリー側からも、サイクリングを楽しむ人たちが多く訪れます。周辺はワインの産地で景色も良く、サイクリングロードも多くあるからです。今は本当のピクニックができる公園になりました。

しかし、歴史を忘れないように、鉄条網を再現しました。元々少しだけ残っていた鉄条網を付け足したのです。なんだかとてもリアルです。

汎ヨーロッパ・ピクニック記念公園への行き方

残念ながら、公共交通ではアクセスできません。周辺道路は3.5トン以上の車、つまりは中・大型バスではアクセス不可能だからです。一般的なツアーでかの地を訪問することは、極めて難しいといえます。車利用の場合はマイカーに限定されます。

周辺はサイクリングロードになっているので、レンタサイクルで訪れると良いでしょう。ハンガリー側のショプロン[Sopron]は観光地として、オーストリア側のルスト[Rust]周辺はリゾート地として整っているので、レンタサイクルのチャンスもあります。ホテルに相談するとよいでしょう。

地図に見当たらなくて、このあたりの道は単純なので、道路標識を参考に行きましょう。現地には売店もトイレも何もないことも留意ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/09/16 訪問

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