写真:鷹野 圭
地図を見る浮間公園は、釣りもできる大きな池(浮間ヶ池)を中心とした親水公園で、池の周囲を迷わずぐるりと一周できるように園路が巡らされています。園路沿いにはサクラがたくさん。春のシーズンには、一面のピンクと広々とした水面が絶妙なコントラストを描き、絶景! 毎年お花見客がたくさん訪れます。サクラ並木に隣り合う芝生広場には中世ヨーロッパ風のレトロな風車があり、これもまた風景の良いアクセントになっています。敷物を敷いてお花見するにはちょうどいいかもしれませんね。
池の周囲には柵が張り巡らされ、護岸もされていますが、注水植物は結構たくさん見られます。例えば公園の南西側にあるカキツバタの群生地。そして北側のバードサンクチュアリにはちょっとしたヨシ原があり、オオヨシキリやササゴイなどの都心部ではちょっと珍しい鳥も飛来します。人気のカワセミも健在で、サンクチュアリの近くで魚を獲る姿をよく見かけますね。
大体20分もあれば十分に一周できてしまう池ですが、そこには花景観あり、生きもの暮らす環境あり、釣り客の賑わいあり(汗)と色々な面白さが散りばめられています。ぶらりと散策しながら観察してみましょう。
写真:鷹野 圭
地図を見るこの写真は「浮間舟渡駅」に停車した埼京線の車窓から撮ったもの。まさに駅の目と鼻の先に公園があり、池があることがわかりますね。これなら、特に東京〜埼玉を移動するときなどには、途中下車してぶらりと立ち寄るのにピッタリです。
そして季節にもよりますが、朝だけでなく夜に立ち寄るのも乙な楽しみ方。夏の夜、浮間公園ではあちらこちらでセミたちが羽化を始め、蝋細工のような美しい姿をそこかしこで見かけます(セミは基本的に、天敵の少ない夜に羽化します)。ぜひ一度立ち寄ってみてください。
写真:鷹野 圭
地図を見る写真は3月の浮間公園でのワンシーン。
普段は池に浮かんでいる冬のカモ達ですが、都会慣れしているためかあまり人を恐れることがなく、こうして芝生広場に上陸してしまうこともあります。釣り客がすぐそばにいても知らん顔。極端に近付き過ぎなければ逃げ出すこともありませんので、陸地を歩くカモの姿を静かに見守りましょう。ちなみに写真中央にいるクリーム色のリーゼントが目立つカモは、ヒドリガモ。ここ浮間公園を訪れる代表的な冬ガモです。他に冬鳥としてはオナガガモ、キンクロハジロ、ユリカモメが毎年のように飛来。その他に留鳥としてオオバン、バン、コサギやアオサギなどのサギ類が暮らしています。運が良ければ、カモや小鳥を狙ってオオタカなどの猛禽類が現れることも! 公園北側のバードサンクチュアリ周辺で木の頂などをくまなく探せば、獲物を狙うタカが見つかるかもしれません。
ちなみにサンクチュアリの近くには、その日に見かけた鳥の名前を自由に書き込めるホワイトボードが設置されています。直近一週間の記録が残っていますので、鳥探しの参考にするといいでしょう。
写真:鷹野 圭
地図を見る春の花といえばやはりサクラ。実際、この浮間公園も池を囲むサクラ並木が美しく、お花見のメッカとなっています。
そんなサクラから半月ほど遅れて見ごろを迎えるのが、公園内の圃場で保護・栽培されているサクラソウ(桜草)。満開期には写真のようにパステル調の花をふんだんに咲かせ、サクラとはまた違う美しさが楽しめます。元々、荒川の河川敷ではごく普通に自生し、江戸時代には武家から農民・町人に至るまで幅広い層の人々に園芸植物として愛される花でした。しかし明治時代以降の度を越した園芸目的での採取や、河川敷の工事、護岸工事などの影響で今では野生のものを見る機会はほとんどありません。そうした中、サクラソウという品種を末永く残していくため、公園内の一角約1,600平米を圃場として苗を育てており、春の限られた期間にのみ「浮間桜草まつり」として一般来園者にも公開されているのです。
絨毯のように花が地表を覆う姿はもちろん、近隣に住む愛好家や学生たちが精魂込めて育てた花鉢なども展示され、地元の皆さんのサクラソウへの深い愛を実感します。一つひとつの株をよ〜く見ると花の色や形などそれぞれ異なり、そのバリエーションを見比べてみるのも面白いでしょう。かつての荒川で見られた春の風物詩を、ここでじっくりとご堪能ください。
写真:鷹野 圭
地図を見る浮間公園は東京都の北端に位置し、公園を北に抜けるとすぐに長〜い土手が見えてきます。小高い丘のような土手を上ると、そこは見晴らしの良い荒川河川敷……。浮間公園近隣のこのエリアは「荒川の下流30景」の一つにも選ばれており、対岸のマンション群や広い川と流域の緑の融合した景観はなかなか見応えがあります。ジョギングやサイクリングなどに最適の開放的なスポットで、とりわけ土日祝日には人が行き交い、賑わいます。ここを拠点に川を下る、あるいは遡って荒川流域を見て回るというのも面白いかもしれません。(さすがにこれは時間がかかるので、ぜひ休日など時間のある時に!)
ちなみに公園面積の約40%を占める浮間ヶ池は、元々は蛇行した荒川の一部分でした。いわゆる三日月湖のようなもの。河川改修によって池だけが切り離されて取り残され、ここを中心に憩いの場として整備されたのが浮間公園なのです。そうした経緯からでしょうか、サクラソウを始めとして、この公園にはかつての荒川に由来する要素が色濃く残っています。園内で出会う昆虫や鳥なども、かつて荒川流域ではごく普通に見られる生きものでした。園内の管理センターや掲示物などを見て回ると、ちょっとした荒川の歴史や流域の文化、自然など、ごく身近ながら今までなかなか知る機会のなかった知識が得られるかもしれません。
荒川の一角が取り残された浮間ヶ池を中心に、豊かな自然景観が広がり、地元でも屈指の憩いの場となった浮間公園。見方を変えるならば、河川改修などにより荒川とその流域が目まぐるしく姿を変える中で、結果的にかつての荒川ならではの景観が保全された数少ないスポットとなりました。
バードウォッチングなど、かつての荒川流域の自然を楽しむもよし。ただ何となく、地元の人たちが釣りなどを楽しむ姿を眺めて散歩するもよし。ごく時間でも、池を一周してみればその魅力を十分に体感できます。ぜひ、気軽に足を運んでみてくださいね。
【アクセス】
JR埼京線「浮間公園駅」より徒歩1分未満
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(2025/1/18更新)
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