世界七不思議!宇宙感を表現した立体曼荼羅「ボロブドゥールの仏教寺院群」

世界七不思議!宇宙感を表現した立体曼荼羅「ボロブドゥールの仏教寺院群」

更新日:2014/11/28 09:52

約1000年もの長い間、密林に覆い隠されていたインドネシアが誇る世界最大の仏教寺院、世界遺産「ボロブドゥールの仏教寺院群」。約200万個の岩ブロックを1つ1つ積み上げ、まるでピラミッドのような構造を持つボロブドゥール寺院は、カンボジアのアンコールワットよりも約300年も早い、8世紀後半頃から建立されました。

世界遺産、ギネス認定、世界七不思議など数々の称号を持つ神秘の仏教遺産を訪れましょう。

密林のジャングルに埋もれていた世界最大級の仏教遺跡

密林のジャングルに埋もれていた世界最大級の仏教遺跡
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ジョグジャカルタ市内からバスに揺られること約2時間、かつては密林のジャングルに埋もれ、見るも無残に崩れ落ちていた「ボロブドゥール寺院」は、2度の大規模な修復工事と周辺の環境整備によって、歴史公園として生まれ変わりました。

ボロブドゥールはギネス・ワールドレコーズにも認定された、世界最大の仏教遺跡です。丘の上を意味する「ブドゥール」と、寺を意味する「ボロ」という2つの言葉から派生した「ボロブドゥール寺院」は、もともとは修行所または瞑想(めいそう)所として造られました。ボロブドゥール寺院は、東側から時計周りに回廊を巡る、という形式で参拝をします。下段から順に回廊壁面のレリーフを見ながら上段へと登っていくことによって、仏教の教えを学びながら、心が清められ救われるそうです。

ボロブドゥールの入り口となる四方の拱門(きょうもん)には、獅子(しし)像が門番の役を果たしています。これらの獅子像の由来は、シッダールタ王子(後のブッダ)の王家の紋章が獅子の図柄だったからとも、ブッダが極楽へ昇る時に獅子に乗っていったから、とも言われています。

ボロブドゥールの壁面を飾る、2582枚ものレリーフパネル

ボロブドゥールの壁面を飾る、2582枚ものレリーフパネル
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ボロブドゥールの壁面を飾るレリーフパネルは、ブッタの生涯などのさまざまな物語を描いたものが1460枚、装飾用のレリーフパネルが1122枚あります。東面の拱門から入り、それぞれの階の回廊を左手の方に向かって歩けば、物語に沿って見られます。この回り方を「プラダダクシナ」と呼びます。

実は基壇(地面に接した最下層の壁面)にも、160枚のレリーフパネルがありますが、改修時の補強の石組みによって覆われてしまい、現在では見られません。そこには「マハ・カルマ・ウィバンガ」という物語を元に、煩悩に捕らわれている人間の生が描かれている、と言われています。

504体の仏像は、その手に注目!

504体の仏像は、その手に注目!
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ボロブドゥールには全部で504体の仏像があります。レリーフの回廊上部に安置された432体の仏像と、最上部の内部が見える仏塔に収められた72体の仏像です。一見すると同じように見える仏像ですが、仏像の手ぶりにより特定の意味を象徴的に表現した「印相」に注目してみてください。各方面および上部の仏像はそれぞれ異なった印相となっています。

■印相と仏像
東に向いた仏像:悪魔を追い払う「触地印(そくちいん)」を結んだ阿しゅく仏
西に面した仏像:瞑想中であることを表す「禅定印(ぜんじょういん)」を結んだ阿弥陀仏
南に面した仏像:人々の願いをかなえることを誓う「与願印(よがんいん)」を結んだ宝生仏
北に面した仏像:人々から恐れを取り除く「施無畏印(むせいいん)」を結んだ不空成就仏
層上の仏像:東西南北の四面とも同一の印相で、ブッダが説法をしている時の手の形を表す「説法印(せっぽういん)」を結んだ毘盧遮那仏

最上部から発見された未完成の仏像が表す仏教観

最上部から発見された未完成の仏像が表す仏教観

提供元:遠藤隆尚

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「ボロブドゥール寺院」最上階の中心部には、直径16.25メートル、高さ12.8メートルの仏塔があります。1回目の修復工事の時に、この仏塔の中から、未完成の仏像が1体発見されました。この仏像は何かの理由があって、わざと未完成のまま安置したと考えられています。最高の悟りを開いたブッダを表現しようとしたとも、ブッダもまた求道者の一人にすぎないことを表現したとも考えられていますが、はっきりとしたことは分かっていません。

アディ・ブッダと名付けられたこの仏像は、現在は歴史公園内にある資料展示館の庭に安置されています。

一直線上に並ぶ「ムンドゥッ寺院」と「パオン寺院」も忘れずに

一直線上に並ぶ「ムンドゥッ寺院」と「パオン寺院」も忘れずに

提供元:遠藤隆尚

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世界遺産はボロブドゥール寺院だけではありません。ボロブドゥールから東方向への直線上に並ぶ「ムンドゥッ寺院(Candi Mendut)」と「パオン寺院(Candi Pawon)」もまた「ボロブドゥールの仏教寺院群」に含まれる世界遺産です。

「ムンドゥッ寺院」の見所は、堂内に安置された3体の石造仏と、寺院入り口に描かれた鬼子母神(きしもじん)と毘沙門天(びしゃもんてん)のレリーフです。いずれも当時の姿を今にとどめているのではないか?と思われるほど美しく、見る者を圧倒します。

ボロブドゥールと「ムンドゥッ寺院」を結ぶ直線上の中間地点に位置する「パオン寺院」は、小ぶりの建造物で保存状態があまりよくありません。しかし、寺院背面に位置する「カルパタール(別名カルパドウルマ)」という、天界に存在すると言われている聖樹と、上半身が人、下半身が鳥のキンナリーとキンナラの姿が描かれたレリーフは、一見の価値があります。

ボロブドゥール寺院は絶好の朝陽鑑賞ポイント!前泊がお勧めです!

ボロブドゥール寺院は早朝6時から入場が可能です。ボロブドゥールに前泊して、ぜひ朝陽を鑑賞してみてください。

また、ジョグジャカルタには、もう1つの世界遺産「プランバナン遺跡群」があります。セット券を購入すると多少安くなりますので、旅のプランを検討する時には考慮しておくことをお勧めします。

*詳細はMEMOの「ボロブドゥール遺跡(日本語)」を確認してください。

■アクセス
ジョグジャカルタ中心部からバス:ジョグジャカルタ市内の循環バスで(トランスジョグジャ)、ジョムボール(JOMBOR)か、ギワンガン(GIWANGAN)バスターミナルへ移動、そこから朝6時〜夕方5時頃まで20〜30分ごとにボロブドゥール行きのバスが出発します。所要約2時間

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/09/17 訪問

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