写真:Aya Maria
地図を見る北スペインの海岸沿いに位置する緑と自然に囲まれたアストゥリアス州ヒホン(Gijón)は、人口およそ27万人の州最大の都市です。ヨーロッパサッカーファンの方には、「スポルティング・ヒホン」と言えば思い当たる方もいらっしゃるかもしれません。公用語はスペイン語ですが、アストゥリアス独自の言語も存在しています。アストゥリアス州の州都はオビエドなのですが、美しいビーチと海沿いにあるヒホンは特に夏の時期は観光客がたくさん訪れ、アストゥリアスの中でも最も注目を浴びる地域となっています。
ヒホンに着いたらまず見たいのが、赤いヒホンロゴのモニュメントがあるヨットハーバーです。
青い海に多数並べられた白いヨットやボート、そして背後に見えるのはヒホン内でも人気のバーやレストランが連なるエリア「シマデビージャ(Cimadevilla)」の可愛らしい建物で、絶好の記念写真スポットとなっています。
ナイトライフでも人気を誇るヒホンには、大きなディスコなどはありませんが、バルや飲み屋が多数点在し、夕方から翌朝までワイワイと飲み歩いたり、しっぽりと飲んだりと、美味しいお酒とおつまみを楽しむ事も出来ます。シマデビージャにも地元の人々が常連になっているバルが連なっているので、是非バル巡りを楽しんでみて下さい。
全てのバーで1杯のドリンクを頼むと、必ずタパスやピンチョスと呼ばれる各店ご自慢のおつまみを無料で楽しむ事が出来ます。ドリンクは店によって、そして種類によってもちろん異なりますが、生ビール1杯およそ250円、ワイングラス1杯およそ250円〜500円程と、物価はスペインの中でも安いのが魅力です。お店によって、大皿に盛られている所から好きなものをつまんで食べる方式や、小皿に盛られて各自にサービスされるものまで様々です。また量や種類もそれぞれ異なり、太っ腹なお店に当たるとおつまみだけでお腹がふくれる事もしばしばあります。また次の1杯を頼むごとに異なる種類のおつまみが出てくる為、ついつい飲み過ぎてしまわないようにご注意を!
写真:Aya Maria
地図を見るヒホン内で最も有名なビーチが「サン・ロレンソビーチ(Playa de San Lorenzo)」です。街の中心地を抜けると一気に目の前に広がる全長1.5kmにも及ぶ長いビーチは、市民と観光客の憩いの場となっています。
昼間は美しい街並とビーチを眺めたり、夜には夜景と街の光に反射する海と波の音を聞きながらロマンチックな雰囲気を味わう事が出来ます。ビーチ沿いにも美味しいレストランやバルが多々あるので、テラス席に座って楽しむのも良いでしょう。
初夏が訪れると、カラフルなボーダー柄のテントが大量に張られ、有料のサンシェードとして利用する事が出来ます。ゴミ箱も同じボーダー柄に変身するので、思わず可愛くて写真を撮ってしまう観光客を見かける程。夏のヒホンの名物となっています。また、波が高い事から、サーフィンが年間を通して盛んに行われており、釣り人も多く見かけられます。
ビーチ沿いには舗装された広い歩道が続いており、ここは通称「メタボロード」と言われています。常に美味しいものに囲まれるヒホンの人々が糖尿病、高血圧、肥満、運動不足などと医師に診断され、運動が必要になった時にこの道を往復する事からそう呼ばれるようになったそうです。潮風を浴び、美しい景色を眺めながらお散歩出来るのならば、苦痛にならずに楽しみながら続けられそうですね。
写真:Aya Maria
地図を見る写真の料理は地元の人々が愛してやまない「ファバダ・アストゥリアーナ(Fabada Asturiana)」と呼ばれる伝統料理です。白インゲン豆を、チョリソー、モルシージャ(豚の血入りの黒ソーセージ。コクがあって美味しいです。)、豚の三枚肉と煮込んだシチューのような一品です。地元の人の間では、大抵の場合この料理をメインとしてではなく、前菜として食べられています。基本的にヒホンのランチメニューは「前菜・メイン・デザート」となっており、値段は8ユーロ〜16ユーロ(約1200円〜2300円)程で、この前菜によくファバダのチョイスがあります。ランチメニューにはミネラルウォーター、ハウスワインのボトル、ビール、シードラ、そしてパンまでもが無料でついてきて、更にはそれぞれの料理は数種類の中から選ぶ事が出来、ボリューム満点です。
またアストゥリアスを訪れたら体験したいのが「シードラ(Sidra)」と呼ばれる、りんごから出来たお酒です。日本や他の地域や国でもりんごを使ったお酒や「シードル」と呼ばれるものは見かけますが、アストゥリアスの「シードラ」はとても特徴的で独特な飲まれ方をします。
緑色のボトルシードラを右手に持ち頭上に高くに掲げ、シンプルなコップを左手の出来るだけ低い位置に持ち、その状態でグラスへ勢いをつけながら少しずつ、そして少量をグラスに注ぎます。
実際には炭酸は含まれていないお酒なのですが、そうする事でグラス内には微量の炭酸が発生し、よりまろやかで爽やかな味わいを楽しむ事が出来ます。
基本的にシードラは「一気飲み」するのがマナー。自分で注ぐのは難しいので熟練の店員さんに注いでもらいますが、グラスを受け取ったら炭酸の消えないうちに一気飲みします。しかしこの時飲みきらずにほんの少量はグラスに残し、そのまま床に捨てるのが伝統のルールです。この為、アストゥリアスにあるバーではシードラを捨てるための排水溝がカウンターの真下に用意されていたり、水分を吸うための木くずが敷かれていたりします。ほんのり甘くてすっきりとした味わいですが加糖はされておらず、アルコール度数は4%〜8%程あります。
写真:Aya Maria
地図を見るアストゥリアス料理としては、子牛(Ternera)のステーキや、牛肉料理、カブラレス(Queso de cabrales)と呼ばれるブルーチーズや他チーズ類、そして野菜も新鮮で甘くて美味しいです。
しかしヒホンでは、アストゥリアス州全土で美味しい乳製品や牛肉だけでなく、新鮮なシーフードが食べられるのも魅力です。どれも新鮮で何を食べても美味しいのですが、大きなエビ(Langostino)や、ぷりっぷりのムール貝(Mejillones)は特に絶品です!写真のエビは、この5匹で一人前で、ランチメニューの前菜として出されました。ヒホンはどこのレストランへ行ってもコストパフォーマンスが最高なので、是非お気に入りのお店探しをしてみて下さい。
また冬の時期に旬を迎えるウニ(Oricios)は、海外では大変珍しく「生」でも食されます。10個程ウニが乗ったお皿を頼んでも、7ユーロ(およそ1000円)程度で、日本と比べてびっくりする程お安く堪能できるヒホンの冬の味覚です。冬以外に訪れた場合でも、ウニのパテやペーストであれば食べられます。スーパーでも売られているので、お土産にしても面白いかもしれませんね。
写真:Aya Maria
地図を見る最後にご紹介するのは、ヒホンを見下ろせる絶景スポットです。
ラボラール大学(Universidad Laboral)は、まるで大聖堂のような美しい建築物としても楽しめるスポットで、一般人も気軽に足を運ぶ事が出来ます。
先ほどまでの中心部やビーチからは少し離れた山側にあり、市内からは公共バスで15分程で訪れる事が出来ます。
公共バスは、距離に関係なく乗車時に1.25ユーロ(約180円)を支払います。何度も利用される予定の方は、観光客用の定額カードも購入可能です。
天井が遥か上にある豪華な大学の入り口をくぐり抜けると、キリスト教文化を感じる銅像達やアーチ、そして石畳が訪れる人を迎えてくれます。数カ所カフェがありますが、こちらも一般客でも利用可能で、地元の人達もよくお茶をしに来るそうです。そして奥へ進むと、117mの高さのある塔が見えますので、そちらから展望台へ訪れる事が可能です。展望台からヒホンを見下ろせば、美しい山と緑、そして海に囲まれるヨーロッパの街並を堪能する事が出来ます。展望台の営業時間は時期によっても異なりますので、下記【MEMO】のリンクにあります「ラボラール大学展望台スケジュール」(残念ながら英語、スペイン語、フランス語のみ対応)を事前にご確認下さい。
ヒホンの最寄り空港であるアストゥリアス空港への日本からの直行便は残念ながらありません。その為、まずは首都マドリードや東スペインのバルセロナへ向かい、そこから更に飛行機を乗り継いで1時間程度かかります。スペインへの直行便もない為、なかなか日本人観光客が足を運ぶ事は少ないアストゥリアス州ですが、各都市から格安航空会社も一日に数本運行していますので、スペイン旅行を計画される際にチェックしてみて下さい。
そもそもアストゥリアス州は、代々「皇太子の土地」として扱われ、正式名称は「アストゥリアス公国(Principado de Asturias)」となっています。まだまだ日本人にはメジャーではない北スペインですが、青々と茂る美しい緑と山の大自然、独自の伝統、比較的安い物価と美味しい料理にお酒、と魅力がぎっしりつまった場所です。
アクティビティとしては、夏にはビーチでのんびり、あるいは川でカヤックやラフティング、洞窟探検、冬は雪山でスキーやスノボ、春や秋はトラッキングやハイキングなど、一年中どの時期に訪れても楽しむ事が出来ます。
新しいスペインの姿を発見しに、そして安くて美味しいグルメを堪能しに、是非ヒホン旅行を計画されてみてはいかがでしょうか?
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(2023/12/1更新)
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