更新日:2023/08/24 15:01
創業主が赤穂浪士の息子さんというのですから、この「原了郭」の歴史がどれだけ古いものか想像に難くありません。創業は1703年、なんと300年以上。赤穂四十七士の1人である原惣右衛門の子・原儀左衛門道喜がその創業主です。彼は漢方の名医山脇東洋先生の見立てた香煎の処方を学び、この地において商いを始めます。道喜は剃髪し、「了郭」と号しました。「原了郭」はこうしてこの祇園の地に生まれたのです。
もともと、香煎とは山椒、陳皮、大唐米、ウイキョウなどを粉末状にし、湯に溶かして頂くもの。江戸時代では一般的に引用されてきました。ただ原了郭の香煎は他とは一線を画します。徹底して高品質にこだわり、公家や茶人、宮家や文人墨客にまで愛されるようになります。明治、大正期には宮内庁御用品にも指定されました。一子相伝・独自の製法によって作られた香煎は、やがて「祇園香煎」と言われる京を代表する名物となったのです。
「原了郭」がこだわっているのは、とにかく品質です。材料を最良の状態で保つため仕事場には一切の冷暖房器具を置いていません。また季節によっても微妙な加減が必要なので、脈々と受け継がれてきた門外不出の製法と、作り手のカンだけが決め手なのだそう。そのおかげで、創業当時の風味を今も変わらず味わうことができます。現在では13代目当主が香煎をひとりで製造しており、季節や天候に合わせて作りかたを調整。素材、製法、カンとどれひとつ欠けてもいけません。まさに原了郭の奥義がそこに詰まっているのです。
中でも代表格と言えるのが「黒七味」。濃茶色ともいえるこの黒い七味は、ふりかけただけで、そのインパクトに驚かされるでしょう。原料は一般の七味と同じ、<白ごま・黒ごま・山椒・芥子の実・麻の実・青のり・唐辛子>。ただ品質にこだわるため季節によって産地を変えるなど、全ては作り手である当主の目利きにかかっているのです。厳選したこの素材を乾煎りし、唐辛子の赤色と山椒の緑色が消えるまで、手で揉みこむ。すると原料から油分が出てくるため、しっとりとした質感に変わるのです。そして赤と緑もいつしか黒色へ変化。黒七味が漆黒の理由、普通の七味とは違った風合いを醸し出すのは、こんな過程を踏んでいたからなんですね。
原了郭の薬味は今や、通販でも買うことができます。そこで「京都でしか手に入らないものはないですか?」と尋ねると、「辛極」がそうだと教えてくれました。これは原了郭で売られている「一味」をさらに辛くしたもの。赤唐辛子をパウダー状になるまで細かく挽き、普通の一味より細かくすることで香りと辛さを、さらに引き出したのです。筆者も試してみましたが、これはなかなかキレがある!ガツンと刺激が欲しい人には、この「辛極」、試さない手はありません。
さらに長年の技法を駆使し、薬味のノウハウを生かしたカレーパウダーを開発!15種類のスパイスに、先ほどの「辛極」を加えた「スパイシー」と、カツオや昆布、シイタケなど、日本人に馴染のある素材で優しく仕上げた「マイルド」。
5種類のハーブに生姜やニンニク、赤穂の焼き塩を加えた「ミックススパイス」。
それぞれに特徴的な味わいがあり、揚げたてのポテトやコロッケの種、もちろんカレーにもどうぞ!普段の料理に合わせれば、あっという間に本格スパイス料理に早変わりします。
※2023年8月追記:カレーは京都駅八条口店のみで提供されています。
薬味やスパイスのお店というのは、どれもほんのわずか手に取って味見。手軽ですが、イマイチ香りや味が、しっかり確認できないことも多いと思います。でも原了郭では、もっと本格的に味わってもらいたい。気軽にいろいろな薬味を試してもらいたい、とのことでカレー屋をオープン!祇園本店ではカウンターのみでの提供となり、大和大路ではカフェ&ショップ「Ryokaku」として、さらにくつろげる空間でのお食事と、薬味のお買いものが楽しめます!
「Ryokakuカレー」はプレーン。京野菜の賀茂ナスと万願寺唐辛子をトッピングした「京野菜カレー」は大定番。テーブルには各種スパイスが置かれていますからお好みでふりかけましょう。少しずつ、いろいろな味を確かめてみるのも楽しいですし、思い切り辛さに挑戦してみるのも悪くありません。そのために基本的なカレールーはマイルド仕上げ。さらにエリンギ、しいたけ、しめじをトッピングした季節限定のカレーや夏のみ提供のスムージー、2013年冬よりカレーうどんも始まりました。各種カフェメニューもあります。食事をしながらゆったり薬味選びなんて、まさに風情を感じるひと味違った京都の楽しみかたですよ!
原了郭の商品は「送って喜ばれる京都土産」で堂々のナンバーワン!仰々しいお土産に抵抗がある人も、スパイスを持ち歩きたい薬味好きな人にもおススメです。少量で、可愛らしい入れ物に入ったこれなら、便利ですよね。八角形の木製の筒もお洒落ですし、缶に入ったもの、1回分の小分けになった袋入りなどもあります。
通販や新幹線乗り場などでも気軽に買うことができ、2014年にはレトルトカレーなども販売されるようになりました。でもやはり創業の地で味わってみるというのが、奥底からその魅力を感じる秘訣。実店舗でスパイスを試しながら頂く出来たてカレーもまた格別です。京都へお越しの際、または関西まで来たのなら、あえて足をのばしてみるのもいかがでしょうか?
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