私の初めての異国体験はこの市場でした。小学生の頃、生野区に住む知り合いの家に遊びに行く時は必ず市場の中を通っていました。というより、市場を通らざるを得なかったのです。小さな子どもの目に映った国際市場は巨大で不思議な所でした。行くたびに、もしも一筋間違って曲がってしまったら二度と同じ所へは戻れない、そんな恐怖心と、非日常感に包まれました。あの頃は細い路地がひしめく市場の中が迷路のように感じられたのです。チマチョゴリの色合い、キムチの匂い、聞きなれないハングル、「鶴橋」という地名は特別な意味を持ってインプットされていきました。
韓国食材が集まるエリアは高麗市場と呼ばれます。ここから少し離れた場所にあるコリアンタウンとともに生野区に暮らす在日韓国人の人たちが作り上げたエリアです。一つの文化といってもいいくらい。この歴史は韓国本土にもよく知られています。たとえば焼肉などは、鶴橋で生まれ、韓国に逆輸入されて、韓国の食文化になったとも聞きます。キムチや韓国食材、調味料を販売するお店が細い路地を埋めるように軒を連ねています。店頭でチヂミやホルモンを焼き、軽くイートインできたり、テイクアウトしたり。安く、気軽に韓国の味が楽しめます。
朝から夕方まで、細い路地はお客さんでいっぱい。ふだんは近所の人たちの市場ですが、週末は観光客で賑わいます。人気はやはり食材のお店が集まる通りです。店頭で味見をして、お目当ての店を探して、歩きます。最近では、韓国本土からやって来る人も多いということです。
本通りに人気の「韓国食堂アリラン」があります。ふわふわのチヂミがおすすめ。まるでお好み焼きのような厚さです。いろんな種類があり、チヂミ以外のメニューも充実。「韓国食堂アリラン」の隣では韓国の伝統的な宮廷菓子の実演が行われています。
鶴橋の市場は戦後、闇市からスタートしました。戦後の貧しさの中で露天商が集まり、少しずつ店舗の形になって発展したそうです。鶴橋市場全体のエリアは広範囲に及びます。在日韓国人の人たちで構成される高麗市場もこの歴史の中で形成されていきました。
日本全国で昔ながらの市場が大型マーケットに席巻されて衰退していく時代に、鶴橋の市場の放つパワーは魅力的。市場という舞台は、その土地の風土と歴史を見ることができる一大観光地でもあります。独特のエネルギーを放つ鶴橋の市場を、ぜひ一度覗いてみてください。
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(2024/12/14更新)
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