国道429号線を車で走っていると突如目に飛び込んでくる巨大な廃墟。それこそが、「東洋一」と謳われた神子畑選鉱場の跡地です。かつて、ここ神子畑は1,000人を超える鉱山の町でした。操業は夜を徹して行われ、不夜城とも言われました。しかし、時代の流れには逆らえず、現在は閉山。山の斜面を覆い尽くす廃墟のみが残されたのです。
神子畑選鉱場で最も目をひくのは、選鉱場の最下部に位置するシックナー(鉱石を選別する装置)の跡。複数あるシックナーのうち2つを間近で見学することができます。中には当時使用していた機械や階段がそのまま残されており、なんともいえない生々しさ!一方で夕暮れ時は、太い柱の間から柔らかい夕日が差し込み、シックナー内部はオレンジ色に輝きます。その幻想的な雰囲気たるや、まるで古代の神殿に迷い込んだようです。
選鉱場跡の左端に山に向かって伸びるのは、神子畑インクラインの線路。選鉱場の閉鎖とともに廃線になったものの、保存状態は良好で、レールや枕木、貨車の操作室(写真中央奥)まで残っています。
また、すぐ傍には「1円電車」と呼ばれた車両があります。これは明延鉱山と神子畑選鉱場を結んだ明神電車で使用されていたもので、そのレールの一部も見ることができます。
かつて多くの人で賑わっていた神子畑。その頃の面影を伝えるもののひとつが、神子畑選鉱場の隣に位置する神子畑小学校跡です。現在は閉め切られた体育館と、シーソー、ブランコ、そしてジャングルジム等の遊具が残るのみ。しかし、錆びついた遊具を見ていると、ふと懐かしい気持ちになり、校庭を走りまわっていた小学生の頃の自分を思い出すのです。
神子畑選鉱場で選別された鉱石は専用の運搬道路を通って生野へと下って行きました。その道路の面影は現在も国道429号線の傍に残っています。運搬道路の見どころは、やはり日本最古の鋳鉄橋である神子畑鋳鉄橋、そしてアーチが美しい羽渕鋳鉄橋でしょう。これらの橋は現在でも実際に歩いて渡ることが可能。まさに「鉱石の道」を自らの足で体感できるのです。
いかがでしたでしょうか?
神子畑選鉱場跡は、JR播但線の新井駅から国道429号線で10km程にあります。車で行くのが一般的ですが、「鉱石の道」を存分に楽しみたいのであれば、ハイキングやサイクリングがおすすめです。往時の面影を探しながら、途中にある小さな集落を繋いでいく旅になります。
また、「鉱石の道」は他にも明延鉱山周辺を巡るコース、生野鉱山周辺を巡るコースがあります。時間が許せば、ぜひこちらも訪れてみてください。
明延から神子畑へ、そして生野へと続く近代日本を支えた道は、100年の時を経て、今改めてその歴史的価値が見直されようとしています。ノスタルジックな気分に浸る、印象的な旅になること間違いなしです!
(本文下MEMOに「鉱石の道」へのリンクがあります)
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(2024/4/20更新)
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